妊娠線を予防する!【妊娠中のトラブルシューティング・7】
妊娠するとカラダのあちこちが痛かったり、お腹が張ったり……。マイナートラブルが絶えないものの、その対処法がわからない人も多いはず。そこで、産前産後のママの身体を整える助産師の是枝貴子さんが、妊婦の痛みや辛い症状のメカニズムとその対処法をレクチャーします。Vol.7はできれば避けたい妊娠線の予防法を解説します。
モデル/福本マオ 撮影/志田三穂子 取材・文/野々山幸(TAPE) イラスト/原田晃 スタジオ/マミースタジオ
真皮と皮下組織が裂けてできる妊娠線
妊娠線とは、妊娠してお腹が大きくなると皮膚に表れるひび割れのような線のこと。ストレッチマークとも言います。週数が進み、お腹が大きくなると、当然皮膚も一緒に伸びていきます。皮膚は、外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」の三層で成り立っていますが、その中で伸びやすいのは表皮のみ。弾力性のない真皮や皮下組織は、この急激な伸びについていけず裂けてしまうのが妊娠線です。赤紫色やピンク色に出ることが多く、産後はだんだんと白っぽくなり目立たなくなるものの、一度できてしまうと完全に消えることはありません。できることなら、妊娠中のケアを徹底して、妊娠線ができることなく過ごせるのが理想的です。
妊娠線はおへそよりも下にできやすい
妊娠線はお腹にできると思っている人が多いと思いますが、お腹以外にも、お尻、太もも、胸などの脂肪が多い部分にできることもあります。もともとの体型や体重増加のスピードなどにより、個人差も大きいです。ただ、妊娠後期にはお腹がどんどん大きくなりボリュームが出るので、やはりお腹に一番できやすくなります。特に、おへそよりも下の下腹部に妊娠線ができやすい妊婦さんは多いです。下腹部を集中的にケアすることで、妊娠線を予防できるかも。
マミーサロンを訪ねる妊婦さんたちの声
「下腹部にひびが入ったような、赤紫色の線が目立つ」
「お腹が大きくなるにつれて、下腹部にかゆみを感じる」
「下腹部がどんどん大きくなり、お腹が下がり気味だ」
おすすめしている妊娠線のケア方法は「保湿」「マッサージ(手技)」「お腹を支える」の3つです。それぞれのポイントを解説していきます。
妊娠線予防の対策その①:保湿
妊娠線の対策に保湿はマスト。クリームをしっかり塗り込みましょう。体勢は問わないので、起きたままの状態でも寝た状態でもOK。1日に数回行ってもよいです。時間がない方は、最低限、朝と夜の2回は塗れるとよいでしょう。特に、夜のお風呂のあとに塗ると効果的です。冬場などの乾燥する時期はこまめに保湿を。保湿は妊娠初期からでもOK。安定期に入る妊娠5カ月頃からは確実に行いましょう!
おすすめはたっぷりの潤いと、体の循環も高めてくれるクリーム(ママズケア ボディトリートメントクリーム/4800円+税 モディッシュ)。数量限定でkodomoe shopでも購入できます。
妊娠線予防の対策その②:マッサージ(手技)
一般的に妊娠線予防のためのマッサージは、立って行うことが多いのですが、私のサロンでは仰向けでのマッサージをおすすめしています。骨盤高位(Vol.2参照)の体勢だとさらに効果的です。特に下腹部はお腹の重みを受けているので、皮膚がピンと張ってしまいます。仰向け(もしくは骨盤高位)の体勢になることで、腹壁の緊張が取れ、効果的にマッサージが行えます。これが妊娠線対策のマッサージの大きなポイントです。
マッサージをするときは、クリームだとすぐに乾いてしまうのでオイルを使いましょう。表面だけさらりと触るだけだと、表皮の奥の真皮や皮下組織まで届かないので、やさしく圧を加えるように、ほぐすイメージでマッサージを。1日1回寝る前のリラックスした時間帯に行うのが効果的です。妊娠後期(妊娠28週)から開始しましょう。
※マッサージの途中でお腹が張ってきたら中断もしくは中止してください。
オイルは拭き取ってもいいけれど、せっかくならオイルでそのまま保湿をするのが○。オイルは洋服につくとにおいが気になるので、マッサージのあとすぐに巻く、専用の腹巻きなどを用意するのもおすすめ。
妊娠線予防の対策その③:お腹を支える
お腹の位置が低いタイプの妊婦さん(Vol5参照)は、下腹部に妊娠線ができやすいように感じます。いくら保湿やマッサージを頑張っても、普段お腹に何も巻かず無防備な状態で生活していると、下腹部の皮膚や筋肉ばかりが引き伸ばされてしまい、妊娠線ができやすくなってしまうことも。できるだけ、下腹部ばかりが引き伸ばされないよう、お腹の位置の補正をしてください。さらしや妊婦帯などを用いて、お腹を下から上にグイっと支えてあげるとよいでしょう。
しっかりとした幅で支えてくれるので、お腹を下からサポート。(お腹支え用さらし/2400円+税 マミーサロン)
さらしを巻くのが難しい場合は、簡単に巻ける妊婦帯でもOK。妊婦帯もさらしも寝ながら巻くのがお腹支えの効果大!(写真は参考商品)
妊婦さんなら誰にでもできる可能性がある妊娠線。「一生消えない」と聞くと必要以上にかまえてしまいますが、しっかりと対策をすれば、妊娠線ができないまま出産を迎える方もたくさんいます。日々の地道なケアの積み重ねで実現するので、ぜひ安定期を迎えたらケアをスタートしてください。
是枝貴子
これえだたかこ/産前産後のママとベビーのためのヘルスケアサロン「マミーサロン」主宰。助産師、鍼灸師、フットケアトレーナーなど数多くの資格を持つ。産科勤務時代、ママのカラダを助けたいと一念発起し骨盤ケアを学ぶ。25000人以上の妊婦、産後ママをケア。現在月200名以上の施術に従事。
5歳の男の子、1歳の女の子のママ。仕事と子育てに追われる日々を綴るブログやインスタも人気。
マミーサロン http://www.mommy-salon.com
ブログ https://ameblo.jp/diary-mommysalon
Instagram https://www.instagram.com/mommy_salon_kore/?hl=ja