モデル・俳優 栗原類「お母さんたちも自分の時間を大切にしてほしい」
何かを「できない」と子どもを責める前に
――お母さんは例えば、栗原さんに当たったりすることはなかったんですか。
なかったと思いますね。アメリカの教育委員会の人に「何かできないと子どもを責める前に、まず自分が子どもの頃にできなかったことをたくさん思い浮かべてください」と言われた、とはよく言っていました。母親もそれを実践していて、「なんでこれができないの」とは言われませんでした。
――お互いぶつかり合ったりすることもないですか。
何度かあったとは思いますね。ただやっぱり、自分に関する記憶があまりないので、きちんと覚えてはいないんですが、反抗期はちゃんとありました。例としては、結構母親が遠いところにいるときに、「そこのテーブルにあるゴミを、ゴミ袋に入れといて」とか、そういうのに「はあい」って返事はするんですけど、実行は一切しなかったとか。
――反抗期と言うには、すごくかわいらしい(笑)。
ええ。一般的な家庭では返事すらしないか、最悪「うるせえクソババア」って言うかもしれないですけど。少なくともそのときはちゃんと返事はして、でも実行はしないという時期はありましたね。多分それが僕の中での反抗だったと思います。
――親子でお互い信頼の深い、すごくいい関係のように思えます。最後に、お母さんへの思いを聞かせていただけますか。
僕の母にですか、なんだろう……、まあ22年間、つきあってくれて本当にありがとう。で、これからもいろいろと迷惑はかけるとは思いますが、母がいてくれたことにより、今の僕はあると思います。22年間、今でもそばにいてくれて、自分はまだ全然不完全な人間で、他人に比べたらできないこともいっぱいあるけれど、それでも本当に我慢強く見てくれたことに、とても感謝しています。世間知らずな若造ではあるんだけど、でもこれからも頑張っていきたいと思います。
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発達障害に向き合い、葛藤を通じて学び、モデル・タレント・役者として歩んできた道のりを、自らのことばで真摯に語る。類さんを見守り続けた母親・栗原泉さんと主治医・高橋猛さんのインタビュー、友人の又吉直樹さんとの対談も掲載。
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