すぐに叶えてあげられなくても。「食べたいものリスト」が便利な理由【我が家のごはん日記/かのうかおりさんちの食卓・3】
忙しいママにとって、日々の家事の中で悩ましいのがごはんのこと。適度に手を抜きたいけれど、家族には栄養のあるものをバランスよく食べてもらいたい。では、食にかかわるお仕事をしているママたちは、家族のごはんをどうしているの?
今回「我が家のごはん日記」で 4週間レポートをしてくださるのは、チーズ研究家・料理家のかのうかおりさんです。長男りんごどん(中3)、長女いちごちゃん(小4)、次女さくらんぼちゃん(小2)、3人の子どものお母さんでもあります。第3週目です。
かのうかおりさんちの食卓 #week3
<月曜日>
ソメイヨシノが満開です。
りんごどんがまだ幼い頃、私の母が言っていたことがある。「おばあちゃんはね、食べものは身も心も作るものだから、子どもにはおいしいものをたくさん食べさせてあげなさい、って言っているの。うまかろうがまずかろうが、てづくりのおいしいものを……ってね」。
料理好きの母と、おいしい素材の話が好きな家族との食卓の思い出は尽きないが、台所からいいにおいがしたり、トントンと心地のよい音がしたり、どんな料理が並んでいたって、あったかい食卓がつくれたらしあわせだと思う。
<月曜日・夜>
【メニュー】
鯛の頭のアクアパッツァ
すずきのムニエル
セロリマリネ
お刺身こんにゃく
昨日の残りなど
海のものが多めの食卓。価格が安くなっていたセロリは、アクアパッツァに少し入れ、あとはマリネに、葉っぱは冷凍して、いつかスープに使う。
<火曜日>
みんなが支度をしやすいように、子どもたちの成長にあわせて配置を変えてきました。リビングには米びつを。そして、いつも使う箸や小さな小皿、料理で使う道具などはキッチン側の下の方の引き出しへ。
<教室に通うお母さんから質問>
お手伝いをさせなきゃと思っているのですが、どうしたらよいかわかりません。
<お答えします>
私の場合は、いろいろ一緒にしてもらわなければどんどん時間が経ってしまい、寝かせる時間が遅くなってしまうから、一緒にやっていこう!と思ってやってきました。配膳などはもちろんですが、お肉をこねこねしたり、エンドウなどのさやものの筋取りをしたり、やってみたい!と言った時がチャンスだと思って、少しずつしてもらいました。包丁トントンは、子どもがやってみたいことの一つ。包丁は危ないものだ、とわかる年齢になっていれば、包丁を握らせても怪我はしません。逆に慣れてきた頃が危ないのかな、と思います。時間の取れる週末など、一緒に食材と対話をしながらやっていくと、食べものについての意識が高まるのでおすすめです。食事面以外でも、お布団を敷くのもみんなで、大量の洗濯物もみんなですれば神経衰弱ゲームをしているみたいなもの。子どもたちもチームの一員としてほどよく楽しくやりましょう。
<火曜日・夜>
[メニュー]
マカロニグラタン
鶏肉とスナップエンドウ炒め
キムチ
マカロニはグルテンフリーフジッリを使っています。
<水曜日>
[メニュー]
ミッキーのライスバーガー
ターキーレッグ
ディズニーランドに行きました。りんごどんは、もうディズニーに行きたがらないので、家族で行けるのもこれで最後になるのかな。
小麦と卵なしの食べ物を探すのは本当に大変ですが、チュロスはNGだけどポップコーンは平気、ピザはダメだけどターキーレッグは平気で、探せば案外なんとかなります。今回は、ミッキーのかわいいライスバーガーに出会いました。
<木曜日・昼>
今月の料理教室の最終日で、私も一緒に食べました。連日、賑やかでした♪ あぁおいしい、なんでこんなにおいしくなるの? 妖精さんの仕業? ひょっとして先生は魔法使いなんでしょ?という話に……。さぁ、どうでしょうねー。
子ども料理教室では、「味わい名人になろう♪」という、素材をテーマとした実験をした後に、郷土料理をつくります。今回の「味わい名人になろう♪」のテーマ「だし」については、前回の連載で書いた通りなので読んでみてください。
<第2回>
郷土料理は、自然が生み出す山の幸、海の幸を上手に活かして食材を無駄なく使うので、SDGsを可能にする料理だと考えます。食の多様化が進んで、食に対する意識は変化していると感じていますが、受け継がれる味や心も大切にしてほしいものです。
<木曜日・夜>
【メニュー】
ほたるいか、水菜ともやしのナムルとセロリのマリネ
イワシのカレー焼き
砂肝スパイシーグリル
ブロッコリーのサラダ
ほたるいかの目は、私は気にしないで食べますが、子どもたちのために一応とります。これはお手伝いしてもらいます。セロリのマリネを、水菜ともやしのナムルにほんの少しだけ混ぜ込んだら、「あ! セロリ入れたでしょう」と。それでもパクパク。嫌がられない程度に混ぜて、慣れてもらうことが、好き嫌いをなくすコツです。
今日のごはんは淡い味まで感じられました。淡い味とは食材の本来の味がひきたったバランスがよい味。こう感じられるということは、今日は心が整っている証拠です。
<土曜日・昼>
【メニュー】
キムチ炒飯
私は、渋谷区の「かぞくのアトリエ」での親子講座があったので不在。
この連載をしていることを知っている夫が、念のため撮っておいたよ、と画像を送ってくれました。上手にできてるね。
<土曜日・夜>
【メニュー】
そら豆(旬)
たけのこと豚肉の甘辛煮
かます
きのうのサラダの残り
焼きっぱなしのそら豆がおいしい。
<教室のお母さんからの質問>
旬の素材をどうやって料理したらよいかわからず、結局ありきたりのものを買ってしまいます。
<お答えします>
旬の素材は焼く、蒸す、煮る、それだけでいつもの料理とは変わった味になります。アクをとる、何度か煮こぼす、というように面倒なものはごく一部なので、少しずつ取り入れてみましょう。今回のそら豆はフライパンにほったらかし。たまに裏返して最後に塩を振るだけで簡単です。
<日曜日>
食べたいものリスト。子どもたちのあれ食べたい! これ食べたい! 忙しい中で、この願いをすぐに叶えてあげるのは難しい。でもこれがあれば、備忘録になるし、献立に困った時にあれ作ろう!というヒントになる。
<日曜日・夜>
りんごどんの友人宅でお魚とチーズパーティ。
お魚は
ヒラアジとイトヒキアジの刺身
石鯛中華蒸し
薬味たっぷり鰆のたたき
ちらし寿司
チーズは北海道づくし。
しあわせチーズ工房 幸
ニセコ高橋牧場 狩太
長万部ウォッシュ
共働学舎シントコ
江丹別の青いチーズ
今日はハレ(非日常)の料理の日。子どもたちの進級祝いや、最近あった話をたっぷりと。ウィスキーが大好きなご主人にたくさんのウィスキーコレクションのテイスティングをさせていただき、長い夕食のときを過ごしました。
かのうかおり
チーズ文化を学ぶために渡仏。「カオリーヌ菓子店」では、バスクチーズケーキが人気に。五感を使った食材の味わい方、食の持つ力や自然を大切にする心を育む活動をしている。フランスチーズ鑑評騎士、J.S.A.ソムリエ、フードコンシャスネス研究員。著書に『カオリーヌ菓子店のチーズケーキ』(主婦と生活社)、『チーズの絵本』(平澤まりこ/イラスト mille books)。
https://kaorinne.ocnk.net
Instagram : @kaorinnedesu