2022年4月7日

この魚は?ヒントは、黄色いすじだよ。日々体験したことを心に残してほしい【我が家のごはん日記/かのうかおりさんちの食卓・1】

忙しいママにとって、日々の家事の中で悩ましいのがごはんのこと。適度に手を抜きたいけれど、家族には栄養のあるものをバランスよく食べてもらいたい。では、食にかかわるお仕事をしているママたちは、家族のごはんをどうしているの?

ひさしぶりに「我が家のごはん日記」が始まりました。4週間レポートをしてくださるのは、チーズ研究家・料理家のかのうかおりさんです。長男りんごどん(中3)、長女いちごちゃん(小4)、次女さくらんぼちゃん(小2)、3人の子どものお母さんでもあります。

かのうかおりさんちの食卓 #week1

<水曜日・朝>

平日の朝は、「ご飯、ご飯にのせるもの、汁物」と決めている。
ご飯につけるものは、納豆、生卵、ちりめん、しゃけ、明太子、高菜など、各々好きなものをのせる。汁物は日替わりで具沢山のものを。今日の汁物は、大根、ごぼう、豆腐のおすまし。

 <水曜日・夜>

【メニュー】
鶏もも肉とパプリカ・新玉ねぎの炒め煮
いとよりの刺身、お茶漬け
ゆでキャベツサラダ オーロラソース
若竹汁(旬!)

母の手術が成功した。
新型コロナウイルス感染症の流行により病院は面会禁止で、母はひとりきりのベッドの上で手術の日まで不安だったに違いない。日が近づくにつれて毎日電話をし、手術室に行くギリギリまで話をした。ここでは、私が子どもである。でも、「大丈夫、私がいる、安心して」と勇気付けたりしていると、ときに、母を子どものように感じてしまう。母が私を思ってたびたび届けてくれていたお魚便は、現在お休み中。壱岐のお魚が恋しい。

今晩は女3人の食卓。いとより(長崎産)は、あっさりとした淡白な味が子ども達に人気の魚で、お刺身、お茶漬け、汁にしていただきます。わかめの入った若竹汁は、いちごちゃんの好物。

いちごちゃん、パパにテストが100点だったことをお話ししたいのに、パパがいなくて残念だ。すごいでしょ〜アピールを紙に書いて置き手紙を。食卓は、嬉しかったこと、楽しかったことなど気持ちを存分に伝えることができる、心解き放たれた場所。これを見たパパは、ひとり飯でもみんなが一緒にいる!と思うことだろう。

<木曜日・朝> 

今日の汁物は、昨夜の残りの若竹汁。
昨夜のいとよりの話。私は魚をさばく前に、これなんの魚だ?とみんなにクイズを出す。色や形を見て、子どもは頭の中の図鑑を探して答えを出す。わからなければ、「ヒントは、黄色いすじだよ、わかるかな?」「今日のはヒレには黄色い糸のようなものが伸びているね」というふうに。こうして、頭の中のページをどんどん増やしていく。難しい計算なんて覚えなくていいんだ、そんなのいつかは忘れちまう。日常で体験して感じたことが心に残って、さまざまなことに作用していくのだと思う。

【メニュー】
わかさぎ(青森産)の唐揚げ
島らっきょうの天ぷら
鯛(長崎産)の塩焼き
じゃがいも煮っころがし
ロマネスコサラダ
若竹汁

りんごどん、中3です。
部活は週5、塾は週4。塾から帰宅する10時半頃から夕食。私のその頃は、そんなに体力なかっただろうなあ。

私は、子ども達に「頑張って」という言葉をかけません。私は若かりし頃、頑張らなきゃ!と自分を追い詰めてしまったせいで、長いこと身体を壊し、もう大丈夫だ、と思えたのは、干支をひとまわりした頃でした。頑張る!というのは、何がなんでも、無茶苦茶にやらなきゃ、やらねば、という感じがします。だから、その頃から、頑張る!という行為も、人に頑張って!と声をかけるのもやめました。子ども達には、「いい加減にね、ほどほどにね、辛かったら休みなさい、楽しめないようならやめていい」と言っています。大丈夫、大丈夫。

<金曜日・朝>

今日の汁物は、大根、玉ねぎ、豆腐、しめじの味噌汁。
朝飲むお茶は、緑茶、夜飲むお茶は、ほうじ茶。なくなったら、気がついた人が作って用意します。

<金曜日・夜>

【メニュー】
鶏ひき肉ハンバーグ
れんこんロースト
ロマネスコサラダ
じゃがいも煮っころがし
なめこおろし

あじの開きと丸干し

 あじの開きは、沼津の hal 後藤さんから送られたきたもの。丸干しは、母の友人が干したものを冷凍して送ってくれたもの。

いちごちゃん、さくらんぼちゃんは、いつもぎゅーってしてくれます。
りんごどんに、ぎゅーってしようとすると、うわあ、やめてー!と言われます。でもたまに、ママー!と言ってぎゅーってしてきます。そんな時は、おいでおいで〜、と私もぎゅーってし返します。

<土曜日・昼>

【メニュー】
ラーメン
おにぎり
きのうの残りのロマネスコサラダ
鶏ひき肉ハンバーグ

 グルテンフリーの米粉のラーメン。すごくクオリティが高い。アレルギー人口が増えたと言っても、りんごどんが通った保育園、小学校、中学校では、小麦アレルギーは彼ひとりだけ。昨日のアレルギー面談では、いつものように長い話し合いになり、心が落ち込みました。厄介者に思われてしまうようなこの思い。この思いを受け止めてくれるのは、ご自身がアレルギーをお持ちの美容師さん。髪を切ってもらいながらアレルギーあるある!のお話をしたら、前向きに明るい気持ちになりました。

<土曜日・夜>

【メニュー】
春巻き(青じそ、ささみ、チーズ、梅干し)
ロマネスコサラダ
鶏ひき肉ハンバーグ

 明日の区民親子料理教室の準備で夜が遅くなりました。

この春巻きの皮は米粉製。小麦と変わらない、いや小麦よりもカリッとしていておいしい。米粉の餃子の皮や、でき上がった米粉餃子は、最近ではずいぶん売られるようになったけれど、春巻きは、なかなか見かけないのですごくレアなもの。近くのオオゼキで売っており、販売中止になってしまったら困るので、定期的に買うようにしています。

<日曜日・夜>

【メニュー】
はっさくと食用花のサラダ
ちらし寿司
ホタルイカと菜花
手羽元の甘辛煮
イワシのシチリア風
米粉春巻き
いちごゼリー
豆花
いちご
はっさく

 

ご近所さんと持ち寄りパーティ。
りんごどんが、0歳の頃からの仲間たちです。「オレはコップ配るから、おまえ、水入れて!」と、家族のように手際がいい。それに、当たり前のようにアレルギー配慮のメニューを持ち寄ってくださることには感謝してもしきれない。子どもたちの話もたくさんするけど、自分が昔好きだった音楽とか、昔バカやってた頃の話とか、今ハマっていることとか……。歳を重ねるごとに、ありのままの自分をオープンにすることが少なくなってくるので、この仲間たちとの集まりは本当に居心地がいい。

かのうかおり
チーズ文化を学ぶために渡仏。「カオリーヌ菓子店」では、バスクチーズケーキが人気に。五感を使った食材の味わい方、食の持つ力や自然を大切にする心を育む活動をしている。フランスチーズ鑑評騎士、J.S.A.ソムリエ、フードコンシャスネス研究員。著書に『カオリーヌ菓子店のチーズケーキ』(主婦と生活社)、『チーズの絵本』(平澤まりこ/イラスト mille books)。

https://kaorinne.ocnk.net
Instagram : @kaorinnedesu

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