「いっしょ!」を繰り返す子どもの、脳内で起きていること【ノンちゃん先生の「おうちでモンテッソーリ」・1】
新しい連載が始まります! モンテッソーリ教育を日米の保育現場で実践してきた小原希美さん(ノンちゃん先生)が、子育てに役立つモンテッソーリ的考え方をわかりやすくご紹介。子どもとの向き合い方がぐっとラクになります♪
皆さん、初めまして! ノンちゃん先生こと、小原希美です。
これまで約15年間、日本とアメリカで保育・教育現場のプロとして子ども達と関わってきました。その経験やこれまで私が学んで来たモンテッソーリ教育の理論は、日本でいま子育てしているママパパにとても役に立つものではないかなと感じています。
棋士の藤井聡太七段が幼少期に受けていた、ということでも話題のモンテッソーリ教育。天才を育てるようなメソッド、といったイメージをお持ちのかたもいらっしゃるかもしれませんが、実際に教育者としてかかわってみると、自分で好きな事を見つけて追求していく力、言うなれば「生きる力」を育む教育なのかなと思えます。
まず私が子育て中のみなさんにお伝えしたいのは「ふ〜ぅ」と肩の力を抜いてみること。上手な子育てへの近道は、何よりママパパがリラックスすることなんです。……って、わかっているつもりでも、目の前の子どもの行動になんだかイライラしてしまったり、不安になったりすることもありますよね。
このコラムでは、モンテッソーリの考え方から子育てが楽しく上手くなる「コツ」や「ヒント」を少しずつお伝えしていきたいと思います。皆さんの幸せな子育てを、しっかり応援していきますよ!
「いっしょだね!」をもっと一緒に
2歳くらいからの特徴的な言動として、「いっしょ!」と同一のものを指さして指摘することがあります。何度も繰り返し同意を求めてくる、この単調な行動に、ちょっと戸惑ってしまうママも多いかもしれません。でも、そんな時こそリラックス〜!
実はこの「いっしょ!」ブーム、お子さんの中に論理的思考が芽生えはじめた証拠。育ちのキーワードなのです。
一緒かどうかを判断するのは、モンテッソーリ的にいうと物の違いを区別できるようになってきたサイン。このサインを出しているとき、子どもは知的好奇心がビシビシ刺激されてとっても楽しい・嬉しい状態。だからこそ何度も繰り返すのです。
「色がいっしょ!」「形がいっしょ!」「音がいっしょ!」。
日々の生活の中で「いっしょ」を見つけられた喜び・感動を、大好きなママ・パパと共有したい! それが子ども達の気持ちなんですね。
一緒であることを見つける「同一性」の他にも、物の大きさや長さなどを順番に並べる「段階づける(漸次性)」、また同じ仲間を見つける「分類」という、3つの脳の働きを使って、このころの子どもたちは物事を整理していきます。
大人になってからはこんな場面でも
この「同一性」「段階づける」「分類」は、実は大人も無意識に使っています。
例えば、スーパーで美味しそうなリンゴを選ぼうとした時、なるべく甘くて美味しそうなリンゴをと思って赤いリンゴを見つけようとしますよね。その時、大人は頭の中にある美味しそうで甘いリンゴのイメージと同じもの(同一性)を探そうとしています。賞味期限のあるものは、どれが新しいものか、つい周りに置かれているものと見比べてしまうし(段階づける)、醤油が欲しいと思ったら調味料がまとめられたセクションへ探しに行きます(分類)。
私たち大人はこれが無意識にできて、さらには頭の中のイメージだけでできてしまいます。これは幼い時に、五感を通して「同一性」「段階づける」「分類」をたくさん経験してきたからなんです。
モンテッソーリの世界では、0〜3歳で五感を通して様々な情報を無秩序に吸収し、3〜6歳でその情報を「同一」「順番」「分類」に整理し、7歳以降ではその知性を学びに活かしていくと考えられています。
そう考えると、3歳までは五感を通して行えるような経験をたくさんさせてあげたいなとか、3歳以降も子どもの「いっしょ!」にも付き合ってあげたいな、という気持ちになりませんか?
もしも、子どもから「いっしょ!」の「育ちキーワード」が出てきたら、その成長を一緒に楽しんでみましょう!
撮影/花田梢
小原希美(おばら・のぞみ)
幼稚園教諭としてモンテッソーリ教育と出会い、専門知識を深めるために単身渡米。創設者マリア・モンテッソーリの流れを汲む本場の専門教育を受け、教師資格を取得。その後も米国内にて3年間乳幼児施設に勤務し、経験を積む。15年間の教諭・保育士経験で延べ2,000名以上の子どもたちと関わる。 恵比寿にある『はじめの親子教室』ではモンテッソーリ教育をご家庭でも手軽に取り入れられるよう工夫した独自メソッドにて日々指導にあたっている。
はじめの親子教室 https://hajimenooyako.com/
Instagram @hajimenooyako
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