2026年6月21日

父の日に読みたいお父さんの絵本。いろんなおとうさんの絵本の中でも、一段と目を引くタイトル!『なんにもできないおとうさん』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより】

ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめするweb連載「親子の読み聞かせに。今日の絵本だより」。過去にご紹介した絵本の中からピックアップ。親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。今回は、父の日に読みたいこちらの絵本をご紹介します。

なんにもできない
おとうさん

父の日に読みたいお父さんの絵本。いろんなおとうさんの絵本の中でも、一段と目を引くタイトル!『なんにもできないおとうさん』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより】の画像1

『なんにもできないおとうさん』
ひがしちから/作 あかね書房 1430円

今年の父の日は、6月21日。
おとうさんの絵本を読むとしたら、何がいいでしょう。
いろんなおとうさんの絵本の中でも、一段と目を引く、こんなタイトルがありますよ。
『なんにもできないおとうさん』。

 元気な女の子のみーちゃんが、まだ寝ているおとうさんに乗っかって、
「おきろー!」
今日はふたりで公園へ行く約束をしているのです。
「もう、おとうさんたら みーちゃんより
 はやく おきられないの!」
おとうさんはみーちゃんより大きいのに、できないことがたくさんあります。
みーちゃんみたいに、三輪車を上手にこげません。
ねことお話もできません。
公園の生垣の、秘密のトンネルもくぐれません。
すべり台もすべれないし、砂場で楽しく遊ぶこともできません。

「もう、おとうさんたら なんにも できないんだから!」
言われっぱなしのおとうさんには気の毒ですが、ふたりの風景がなんともほほえましくて、読んでいるこちらも頬がゆるんでしまいます。
いろんなことができるよと、自信満々のみーちゃん。
公園で宝物も見つけられるし、ちょうちょと一緒に踊ることもできる。
転んだって、ひとりで立ち上がって。
こんなに立派な物言いもできて、何のてらいもなく自分を誇れるのは、おとうさんへのまるごとの信頼があってこそ。
娘と父の、何の遠慮も忖度もない関係が、ちょっとうらやましい。

ひがしちからさんの描く子どもは、いつも子どもそのものの明るさに満ちていて、あたたかい肌のにおいがするようです。
赤ちゃんだった頃からこれまで毎日、少しずつ成長を重ねての、公園での平和なひととき。
何でもないような時間は、何にもかえがたい宝物。
自分もこのおとうさんになって、みーちゃんに
「なんにも できないんだから!」って言われてみたいなあ、なんて思います。
子どもからこんなにまっすぐな言葉を投げられる時間は、いつのまにか過ぎてしまうもの。

みーちゃんを、慣れた様子でひょいと肩車して、帰るおとうさん。
最後にみーちゃんから、素敵な約束をしてもらいましたよ。
こんなことを言われたら、父の日のプレゼントよりも、うれしいのではないかしら。
最後のページの、少し頼もしそうなおとうさんの後ろ姿に、じっと見入ってしまいます。
裏表紙のふたりの姿も、どうぞお見逃しなく。

選書・文
原陽子さん
はらようこ/司書、フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

※こちらの記事は2019年6月にウェブ掲載したものを再編集しています。

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