2019年6月18日

クマのパジャマで登園!? 朝のイヤイヤ、どうしたらいい?【ノンちゃん先生の「おうちでモンテッソーリ」・2】

モンテッソーリ教育を日米の保育現場で実践してきた小原希美さん(ノンちゃん先生)が、子育てに役立つモンテッソーリ的考え方をわかりやすくご紹介。子どもとの向き合い方がぐっとラクになります♪

「クマちゃんのパジャマしか着ない!」への切り返しは?

クマのパジャマで登園!? 朝のイヤイヤ、どうしたらいい?【ノンちゃん先生の「おうちでモンテッソーリ」・2】の画像1

子どものお気に入りの洋服ってありますよね。

でも、それしか着ないと言われると親としてはちょっと困ります。朝のバタバタと忙しいときに、「クマちゃんのパジャマがいい~!」とお着替えが終わらず、毎朝ぐったりしてるそこのママ。はい、リラ~ックス!

実はこれ、お子さんの成長の証なんです。

こだわりが強いこの時期は「イヤイヤ期」なんてネガティブワードで表現されることが多いですが、子どもにとっては乳児から幼児になっていくために必要な通過点のひとつ。そう考えれば、むしろポジティブにとらえられるはずですよね。今まで自分だけに向けていた意識が、だんだんと外に向けられ始めていく時期なんです。

この時、子どもの心の中がどうなっているかというと……

「ちょっと外の世界も冒険してみたい! でも、怖いなぁ……」です。

不安だからこそ、「いつもと同じ」を求めたくなる

私たち大人だって、聞いたこともない言語を話す異国にひとりポツンと置かれたら……。想像しただけでも怖いですよね。このときの子どもの心理はまさにそんな感じ。外の世界なんて初めてだから、冒険してみたい気持ちとは裏腹に不安でしょうがないんです。だから、少しでも自分が落ち着くモノを求めて離さない。クマちゃんのパジャマは、その一例です。

落ち着くのはモノだけとは限りません。落ち着く場所や配置、そして毎日行う動作ひとつにしても落ち着く順番(ルーティーン)というのが習慣の中でできてきます。

共通項は、「いつもと同じである」ということ。つまり、いつもと同じで落ち着ける「安全基地」を作った上で、自分の成長という冒険に出かけようとしているのです。クマちゃんのパジャマを着て、冒険に出かけようとしているわが子。そう思うとなんだか可愛くて応援したくなりませんか!?

イヤイヤ期は一生続くわけではありません

この時期のことをモンテッソーリ的には「秩序の敏感期」と呼びます。この時期の子どもをフォローしてあげる大人には、「まぁ、いいか」と思える心の余裕と発想の転換が大切です。困ったなというときこそ、「ふぅ〜」と深呼吸して、まずはリラックスしてみて!

毎日、クマちゃんのパジャマ。いいじゃないですか! 同じパジャマを7セット買っちゃいましょう!

パジャマを脱ぎたがらない。いいじゃないですか! そのままパジャマ着て行っちゃいましょう。上からジャケットを着れば見えませんよ。

というぐらいの心の余裕が持てるといいですよね。

大人からすると、周りの目が気になるし、この先もルールの守れないワガママな子になったりしないだろうか、と不安に思う気持ちもあるかもしれません。

でも、イヤイヤ期は一生続くわけではありません(断言!)。ひとつの事柄にこだわるのは、長い人生のうちのたった数日か、数週間です。生命の危険が及ぶ行為や周囲に迷惑が掛からない行為であれば、「まぁ、いいか!」の気持ちで、ど〜んと構えていてください。大人のリラックスした雰囲気が伝われば、子どもものびのびと成長の探索ができ、イヤイヤ期を早く抜け出す近道になることでしょう。

見守る大人も前向きな気持ちでいられるように、「今回のこだわりはずいぶん長く続いたね!新記録!」なんてカレンダーに記録しながら、お子さんと一緒に冒険を楽しんでみてくださいね。

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撮影/花田梢

小原希美(おばら・のぞみ)
幼稚園教諭としてモンテッソーリ教育と出会い、専門知識を深めるために単身渡米。創設者マリア・モンテッソーリの流れを汲む本場の専門教育を受け、教師資格を取得。その後も米国内にて3年間乳幼児施設に勤務し、経験を積む。15年間の教諭・保育士経験で延べ2,000名以上の子どもたちと関わる。 恵比寿にある『はじめの親子教室』ではモンテッソーリ教育をご家庭でも手軽に取り入れられるよう工夫した独自メソッドにて日々指導にあたっている。
はじめの親子教室 https://hajimenooyako.com/
Instagram @hajimenooyako 

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