「オシャレなんて私には関係ないって、気持ちをこじらせてました」スタイリスト玄長なおこさんとマンガ家うつみさえさんが対談!【『40代からのキレイのつくりかた』書籍化記念】
人気連載「40代ママのキレイをアップデート」を書籍にまとめた『メイクもファッションも迷子になってない? 40代からのキレイのつくりかた』が好評です。本の発売記念として、ファッション編で取材した、スタイリストの玄長なおこさんとうつみさえさんが対談! 前回の、資生堂ヘアメイクアップアーティストの齋藤有希子さんとの対談に続き、本の見どころをお伝えします。聞き手は、連載でアラフィフ代表として登場した、担当編集Mです。
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40代でおしゃれな人がいるのは知っていたけど、私には関係ないと思ってた
編集M(以下、M) この本では、ファッション編を2回にわたって取り上げています。メイク編もそうでしたが、ファッションも40代、50代になると何を着たらいいかわからなくなって迷いがち、という話をよく聞きます。うつみさんは、取材前と今とで、ファッションに対する意識って変わりましたか?
うつみ 取材前は、グレーのセーターに、黒いズボンをはいて、黒い上着を着て、靴もバッグも黒でした。常に全身重たく、真っ暗で。それが、おしゃれなメガネして、赤いズボンをはく日が来るなんて……。玄長さんに会わなかったらありえませんでしたね。
M うつみさん、今日は白いトップスに赤いパンツで、重さも暗さもないですね!
うつみ 振り返ってみると「これがオシャレ」とか「これが流行」とかって、自分とは関係ない世界のことだと思ってました。そういうものが存在していることも、40代でオシャレな人がいるのも知っていましたけど、私とは違うって。たとえて言うなら、中学生のときに周りのみんなが、彼氏がいるとか欲しいとか言ってるけど、ああ、私には関係ないなって眺めているような感覚。その隔たりがなくなって、あ、これ、私の話なんだって今は思えて。そしたら、世界が変わりました。今、娘とららぽーとに行くのがほんとに楽しくて(笑)。
玄長 それはよかったです!
M 自分はメイクもファッションも関係ない、興味ない、って思ってしまうのは、実は本心じゃなかったりしますよね。認めるのが恥ずかしい、というのか……。
うつみ そう。本当はうらやましいけど、自分はどうせオシャレじゃないから関係ないという、こじらせた感情ですね。いいかも、と思った服で出かけても、あとから写真を見てがっかりすることも多かったから、数々の失敗体験から、もう土俵にあがるのが嫌になってました。
少し入るだけで抜け感が出る「白」の効果
玄長 ファッションもメイクも、基本的な知識や情報を持っているのってけっこう大事かなと思います。私は、メイクはあまりしないし詳しくないですが、知り合いのヘアメイクさんに「ナチュラルメイクなら、ファンデーションはこういうのを使うといいよ」とか、「つけてないように見えるリップではこういうのがあるよ」とか情報をもらえると、たしかに自分にフィットするメイクになる。だから、ファッションも「知ること」って大事なんじゃないかと思います。ちょっとした着こなしのポイントを知っているだけで、いい感じに見えますから。
うつみ そうですよね。たとえば黒とグレーの服を着るにしても、白を挟むだけで抜け感が出てそんなに重たくならない。見え方が変わるんですよね。
M 「抜け感」ですね。私もアラフィフで白いシャツって、なんか恥ずかしくて着れない、って思っていましたが、トップスの下に着て、襟とか、すそからちょっと白をのぞかせるだけでも、すっきり見えるんですよね。
玄長 取材では話が出なかったですけど、靴下も白があると便利です。白い靴下ってスタイリングではよく使うんですけど、意外と持っていないかたが多い気がします。黒いパンツに黒い靴を履くときに、ちらっと白が入ると抜け感が出るんです。
M そういえば、「写真編」でも、白のトップスはレフ版効果で顔が映える、と習いました。
うつみ 私は前回の取材も白、今回も白いトップスです(笑)
玄長 うつみさんすごい! ちゃんと実践してますね。
M うつみさん、さきほど、買い物が楽しくなったと言っていましたが、取材のあと、服の選び方は変わりましたか?
うつみ お店に入って、私、ここにある服全部の中から選んでいいんだ、買っていいんだっていう気持ちになりました。
玄長 え、今までは買っちゃいけないと思っていたんですか?
うつみ はい。ここは若い子のお店だし、とか、ああいう派手な色は自分には関係がないからって、まず入る店に自分で制限をかけていました。入ったとしても、無難でシンプルで、グレーとか黒とかベージュのコーナーだけ。黒、と言ってもモード系のお店も違うと思っていたから、行ける店が限られてました。買い物って、楽しいものではなかったかも。今は、娘と一緒にどの店でも「わーい、入ってみる!」ってなりました。自分の服が気に入っていると堂々としていられるから、どこの店でも気後れせずに入れるようになったのも大きいかも。
玄長・M (拍手)
「好き」って思える服を着るのが正解
うつみ 取材のときに玄長さんが、今日は講師として出るから襟のついた服を着るとか、TPOによって、服を選ぶ、という感覚が、自分にはなかったので驚きでした。これまでずっとその日の気候だけで選んでいたので、会う人や、目的で服を選ぶ、というのも「へーっ」って思いました。
M うつみさんは、スーパー行くのも保護者会も一緒だったって話していましたね。
うつみ はい、保護者会だから、一応デニムを黒いパンツにするか、くらいは変えていたと思いますが、間違い探しに近い差ですね。アクセサリーもずっとおんなじ小さいやつを着けていました。でも、今日の対談は、本の発売をお祝いする意味で、赤、白、金のコーディネートにしてみました(笑)!
玄長 いいと思います(笑)。TPOだけじゃなくて、うつみさんのようにテーマを決めてコーディネートを決めるのも、楽しいですよね。推し活でも、推しのテーマカラーを身に着けると気持ちが上がるって言いますし、そういう服の選び方もいいと思いますよ。
M 似合う服を探すというのも大きなテーマですよね。今年の流行はこれ、って言われるとそこから選ばなくてはいけない気がするし。さらに、50代だから落ち着いた感じで、みたいに絞っていくと、けっこう正解の幅が狭くなりますよね。だんだん、失敗したくないから無難な方へ、みたいな感覚が身に付いていく気がします……。
うつみ 正解は自分の中にあるんですよね。でも、何が好きかも最初はわかりませんでした。私、最初に玄長さんに会う前に、事前取材として、どんなスタイルが好きか聞かれて、コンサバで上品っぽい感じで、と答えた気がするんですけど、実はそういうことでもなかった。もっと面白いかっこうが好きだった。いろいろ着てみて、自分を解放して気が付きました。そして、実際にそのほうが似合ってるような気がします。
玄長 そうですね、「好き」って思える服を選ぶのは大切だと思います。
M 好きな服、イコール似合う服、ってことでいいですか?
玄長 うーん、実はそうとも限らないんですけど、「可愛い!」と思って試着して、似合わなかったらやめればいいんです。特にトップスは、着た瞬間に顔周りがどう見えるかで似合うかどうかがわかるので、あれ?と思ったらやめたほうがいいかもしれません。色の選び方も大事。たとえば「水色」といっても、黄色が入った水色とか、赤味のある水色とか、いろいろあるので、先入観で決めずに、試着してみるのがおすすめです。逆にボトムは、顔から遠いから、わりとどんな色でも挑戦しやすいと思います。
M カラーパンツが挑戦しやすい、という話もありましたね。私たちもカラーパンツはいてみましたし(笑)。
うつみ 私もボトムはめちゃめちゃ冒険できるようになったんですよ。実は、今回の本、カバー部分をを外すと、私のズボンの変遷のイラストが入っておりまして……。
玄長 あ、ほんとだ、気づかなかったです! ズボンの色が変わっていくんですね。
うつみ はい、黒とデニムだった私のズボンが、白になり、カラフルになり、いまはピンクと柄ですから、すごくないですか(笑)?
玄長 紙の本を買ったかたの特典ですね。これ、面白いです!
おしゃれのテクニックもイラストでわかりやすく
M 服の着方とか合わせ方を、ちょっと意識するだけで、ぐっと素敵に見えますよね。シャツをインするとか、手首を出すとか、縦ラインを気にするとか。値段の高い服を買えばオシャレか、っていうことでもなくて、ちょっとした着方が大事というのも学びました。シャツを冬に着てもいいっていうのもね。
うつみ そうですよ、冬になったら、薄いシャツはしまうものだと思ってました。重ねて着れば年中着ていいっていうのも、知らなかった。
玄長 冬だからウールのパンツにニットを着なきゃいけないってことはないんですよ。コットンのパンツにざっくりニットだって可愛い。寒くないようにするのは大事ですが、素材感が違うものを合わせるのはいいんですよ。冬にリネンのシャツを着たっていい。正解はないんです。
うつみ あとはストールの巻き方も、私の周りでは好評で。玄長巻きって言ってるんですけど……。
M 顔をうずもれさせるから、小顔効果があるというポイントですね。本の中ではイラストで解説されています。
うつみ 取材してから、おしゃれが自由で楽しくなりました。「誰も人の服なんて見ていない!」っていうのも名言。
M はい。周囲からどう見られているかなんて、私たち自意識過剰すぎましたね。
玄長 逆に素敵だなって思う人のことは見ると思うんです。人がたくさんいたら、まず「素敵だな」って思う人に目が行きませんか? そうでなければそんなに記憶に残らないし、ジャッジもしない。だから、見られていたら、自分は注目されているんだと思った方がいいですよ(笑)。
ファッションも、写真写りもメイクも、すべてつながっている!
玄長 この本はファッションの話だけじゃないんですね。オバショット変革期!? これはなんですか?
うつみ 「オバショット」っていうのは、写真の撮られ方で、動きのない写真のことを言うんですけど、手や体の向きを変えることで素敵に見えるという、写真編で教えていただいたテクニックです。
M 手に動きを付けると、写真で見たときにそちらにも目が行くから、顔だけに視線が集中しなくていい、っていう効果もありましたよね。
玄長 あ、それは洋服も一緒です。体型の気になるところから視線を散らす方法は知っていると便利ですよね。
M メイク編でも習いました。ほうれい線を消そうとがんばるよりは、ほうれい線以外のところに視線を散らすほうが効果的だそうです。「視線を散らす」テクニックって、ファッションも写真写りもメイクも全部つながってるんですね。
うつみ 私、この本の取材をしたことで、おしゃれなおばあさんが、派手なメガネをかけて大きなアクセサリーをしているのは、そういうことなのか、シワとかシミに目が行かないようにしてるってことか!ってわかったんです。だから、ああ、私、歳とっても全然大丈夫じゃん! って思えるようになって。ますます人生楽しくなりました(笑)。
撮影/成田由香利
玄長なおこ
げんちょうなおこ/『kodomoe』をはじめ、数多くのファッション雑誌で活躍するスタイリスト。日本人の体型に合った、自然体のコーディネートが人気。着やせコーデや、少ない服で上手に着回しするテクニックも豊富で、真似しやすいと評判。ファッションブランドとのコラボ企画も多数。夫と娘の3人暮らし。
Instagram: @naoko_gencho/
うつみさえ
1982年兵庫県生まれ。大人と子どもの狭間を生きる中学3年生の娘と夫の3人で、東京近郊に暮らす。いい歳して娘と本気で遊んだ話を漫画にした「娘とかくれんぼ」で「kodomoe マママンガ賞」期待賞を受賞し、漫画家に。kodomoe webで「大きくなってく娘と私」「40代ママのキレイをアップデート」を好評連載中。
Instagram: @th.e.96135
X(旧 twitter):@sae96135
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