2017年7月28日

絵本作家・植垣歩子「お年寄りを描きたくて、大好きだった絵本の道に」

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好きなものに囲まれて

―― おうちのことも少し聞かせてください。子育てされているのにすっきりしたお部屋です。あちこちにかわいい雑貨やおもちゃがたくさんありますね!

 私の趣味で、持ってきたものがほとんどです。実家で使っていたものとか。ものが好きなのでついつい雑貨とか買っちゃうんです。リサイクルショップで掘り出しものを見つけると、もう買わずにはいられません。あと、私はほんとうにおもちゃ屋さんが好きで。見るだけで我慢していましたけど、子どもが生まれたから、今は堂々と買っています。
 子ども時代は、長い人生の中ではほんの一瞬だって思うんですね。本当にあっという間です。でも、息子にとっての、この一瞬って、どれほど大切なんだろうって思うんですよね。このおもちゃもすぐに使わなくなるんだろうなって思うけれども、彼にとっての1か月2か月ってすごく大きいと思うんで、今必要かなどうかなって考えて、それを基準に選ぶようにしていますね。
本棚のうえには、愛らしくどこかとぼけた味わいのある雑貨がずらり。

おままごと道具は日当たりのいい窓辺に。

息子さんの好きな車のモチーフのモビール。

―― アトリエも拝見。広々とした机で気持ちのいい空間ですね。忙しい毎日の中で、いつ絵本を描いていますか?

 まだ保育園に入っていないので、仕事があるときは、おばあちゃんとおじいちゃんに見てもらっています。でも、子どもに体力がついてきてだんだん大変になってきたので、ちょっと考えどきかなって。在宅なので難しくってどうなるかわからないんですけど、一時保育も考え中です。
 子どもがそばにいたら描けないので、作業は夜です。夜3時までとか描いてますね。夜に仕事するってことは出産するまでなかったです。夜描くのが好きっていう作家さんも多いんですよね。でも私は、夜って静かすぎて余計なことを考えてしまいがちなんです。老後の心配とか……(笑)。私の場合、夜遅くまで仕事していると、気持ちがささくれてくるんですよね。いっぱい寝たいですねえ。朝寝坊もしたい。


絵の具のパレット。ここからあの魅力的なキャラクターたちが誕生するのです !

「楽しかったね」は魔法の言葉

―― 絵本制作と子育てのお忙しい毎日だと思いますが、リラックスタイムはありますか?

 リラックスタイムは、息子が寝た後の数時間ですかね。こちらも抜け殻みたいになってるんですけど(笑)。ほっとするっていうか……ああ、今日も1日を生き延びたなあ、今日もケガはなかったなあ、よかったなあっていう感じですね。先のことはなかなか考えられないですね。3日無事に過ごせたら、次の3日考えるみたいな感じですね。
 毎晩寝る前に、息子と布団でゴロゴロしながら、「今日も楽しかったね」と言うことにしています。赤ちゃんの頃からの習慣です。「今日、息子は楽しかったのかな?」と不安になってしまう日、自分の気持ちがイマイチな日、息子に怒ってしまった日、いろんな1日がありますよね。そんなときでも、そう言うことで、その1日が楽しかったように思えるんですよ。今日もイヤイヤ言われて大変だったけど、ごはん食べて遊んでお布団で眠れることが「楽しかったね!」というわけです。息子も最近では自分から「楽しかったね」と言ってくれるんですよ。このひと言は、魔法の言葉です。

―― いい言葉です。どんなお子さんに育ってほしいですか?

 なんでしょうねえ……好きなことを見つけてほしいですね。自分らしく生きていってほしい。あとは、自立してください(笑)。以前テレビで、サバイバル登山家の服部文祥さんのドキュメンタリーを見まして、鹿の皮をはいで、背負って雪の中を何キロも歩いていて、こういう人に育ってくれたら、お母さん安心して死ねるなあって思いました(笑)。私が体力がないので、憧れです……。
 とにかく、どんな形であれ幸せになってほしい。大人になるといろいろ辛いこともたくさんあると思いますけど、子どもの頃の幸せな記憶が少しでも人生の支えになってくれたら、と思いながら日々過ごしています。

壁に『毎日かあさん』の切り抜きが。迷いながら笑いながら、息子さんとの豊かな日々は続きます

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