2026年7月7日

インパクト抜群の『とうもろこしぬぐぞう』が生まれるまで。デビュー前に描き続けたスケッチを見せてもらいました。【夢眠ねむの絵本作家に会いたい!・9】

大人もこどもも、幸せな瞬間を

夢眠ねむ(以下夢眠) はらしまさんはデビュー作が『とうもろこしぬぐぞう』で、2作目が『ピーちゃんとナッツくん』なんですね。

『とうもろこしぬぐぞう』
はらしままみ/作・絵
ポプラ社 1320円

『ピーちゃんとナッツくん』
はらしままみ/作・絵
ポプラ社 1430円

 

はらしままみ(以下はらしま) はい。1作目の2年半後に出しました。でも、制作は同時期なんです。

夢眠 あっ、同時期に。でもこれ、『ぬぐぞう』と同じポプラ社ですよね。同じ出版社で、2冊同時に進めてたんですか?

はらしま そうなんです。最初に『ぬぐぞう』を売り込んだときに、「もう1作見せてください」ってサクッと言われまして(笑)。
「急いで考えなくちゃ」っていろいろ作ってみた中から、「あ、これだったら見せられる」となったのが、しかけ絵本の『ピーちゃんとナッツくん』でした。2作目も『ぬぐぞう』のような力強い野菜シリーズで行くのかなと思いきや、「違うパンチを見せましょう」ということになりまして。
『ぬぐぞう』を進めながら、同時に『ピーちゃんとナッツくん』も作り始めたので、これも『ぬぐぞう』と同じく、制作に約5年かかっているんです。
このお話のきっかけになったのは、息子の保育園の運動会で、先生がゴールに飛び込んでくる子を、手を広げて迎えて抱きしめるのを見たことです。自分の子じゃなくてもすごく大事にしてくれる、愛情を注いでくれているその様子が、見ていてとてもうれしくて。

夢眠 あ、これですね。「おててを ひろげて……」「ピーナッツ! ぎゅっぎゅの ぎゅうー」。

はらしま そうです、そこです。「ぎゅうー」って子どもを抱きしめる瞬間って、大人にとってもすごく幸せだし、子どもも幸せになれる、そんな時間だと思うんです。こういうぎゅっとしてもらえる瞬間、あったかいスキンシップの時間をたくさん作りたいと思って、描いた絵本です。
実際に図書館の読み聞かせで『ピーちゃんとナッツくん』を読ませてもらったら、お父さんとお母さんとお子さん、家族みんなでぎゅうーってしてるところが、目の前で見られたんです。幸せな時間と空間が本当に生まれている、この絵本を描いてよかった、と心から思いました。

家族の思い出の絵本

夢眠 はらしまさんは、小さい頃にも絵本は読んでいたんですか。

はらしま 「あかちゃんのほん」(まついのりこ/作 )という文字のない絵本を、母がいつもオリジナルの言葉をつけて読んでくれていました。お出かけのときに一緒に持っていったり、おうちでも読んでくれて、今でも本棚にあるんですけど。

あかちゃんのほん 1集セット
『おたんじょうび』
まついのりこ/作
偕成社 550円

あかちゃんのほん 1集セット
『おはよう』
まついのりこ/作
偕成社 550円

あかちゃんのほん 1集セット
『あめふり』
まついのりこ/作
偕成社 550円

 

夢眠 うわあ、素敵!

はらしま 家族にとって、思い出の絵本です。「お出かけするといつも、あれを読んでたんだよねえ」って。

夢眠 幸せな記憶ですね。

はらしま はい。そんな体験もあって、誰かにとってそういう存在になる絵本を自分も作れたらいいなあって。ずうっと覚えてもらえるような本になれたらいいなって、いつも思っています。

夢眠 はらしまさんは、お子さんが大きくなってから絵本作家デビューされていると思うんですけど、我が子から何か反響はありました? 制作中に「どう?」とか、見てもらったりするんですか。

はらしま 『ぬぐぞう』のときは「こういうポーズをとって」とか「ジャンプして!」とか、いろいろ頼みました。「ここにタオルを巻いて」とか。

夢眠 ポージングモデルをやってもらった。

はらしま だけど、「それ、ママがやって」って言われたりとか。

夢眠 でもママは描く側だから、やれないから(笑)。

はらしま そうそう。「ぜーんぶ ぬげた!」の場面とかは、子どもに何度もジャンプしてもらいました。だけど、「もうモデルはやらないから」って、すでに言われてます(笑)。

夢眠 いや、でもきっと内心、誇りに思ってるのでは。だってママが絵本作家って、格好いいですよねえ。しかも、絵本だけでなく会社員のお仕事もしていますからね。

はらしま いえいえ、ゆっくり、ゆっくりやっています。

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