インパクト抜群の『とうもろこしぬぐぞう』が生まれるまで。デビュー前に描き続けたスケッチを見せてもらいました。【夢眠ねむの絵本作家に会いたい!・9】

強すぎる?「ぬぐぞう」のインパクト
はらしま 絵本づくりにあたっては、編集者さんに「悩みながら、しっかり困って下さい」って言われています。「悩んでしっかり困る。考えるということが大事」「目の前に子どもがいると思って作ることを忘れないように」って。なので、「これは2歳の子に、わかるかな?」「この構図でわかるかな?」と何度も考えながら、その都度描き直しています。絵本作家になるには、「絶対にあきらめないで作り続けること、自信がなくても見せることが大事」ということも、一番最初に言われました。
夢眠 私、本当に失礼なんですが、『とうもろこしぬぐぞう』を読んだときに、作者の方がまさかこんなに優しい女性とは思ってなくて。勝手に、もっと破天荒な方なのかと。
はらしま 初めてお会いする方には「男性かと思ってました」って、よく言われます。「ちょっと『ぬぐぞう』とはつながらない」とか(笑)。どちらかと言うと『ピーちゃんとナッツくん』の方が私っぽいって言われたり。
夢眠 思います、思います。でも私、『ぬぐぞう』がデビュー作ですごいよかったなと、勝手に思ってます。誰目線なのかわからないですけど(笑)。
はらしま でも私も、よかったと思って。「『とうもろこしぬぐぞう』を作りました」って挨拶すると、「あ、知ってます」と言ってもらえることが多くて、本当にありがたいです。
頼りになるのは「子ども先生」
夢眠 ぬぐぞうは格好いいですよね、尊敬できる感じで。私も理想の男性のように見ていますから。でもそれはもう、こうして何百枚も描いて、その中で一番素敵な方が選ばれて。
はらしま (絵本には出てこないけれど)ぬぐぞうの家族構成とかも、考えました。
夢眠 え~っ、それ見たい!
はらしま (スケッチを見せながら)ぬぐぞうがいて、お母さん、お父さん、妹、弟、という5人家族で。あとは友だちとかも描いてみました。
夢眠 あ、友だち、『やさいで チャチャチャ』(Gakken)勢もちょっといますね。メモもいろいろ書かれてますね、「とうもろこしぬぐぞうは、なぜぬぐのか」(笑)。「何が格好よさか」。
はらしま 絵本を作るときにまず、「なぜこの本を描くのか」って自問自答するんです。「この主人公の性格は?」「特技は?」「苦手なことは?」とか、書き出して分析して。
「ぬぐぞうはなぜぬぐのか」「気持ちがいいお風呂に入ってみたかったんだ」みたいに。喜怒哀楽はそれぞれこういう表情でと、試しに描いてみたりとか。

取材に持ってきてくれたたくさんのスケッチ
夢眠 めっちゃわかります。私もこういう書き方します。いや、でもこのレベルの試作を、こんなにたくさん作っていることがすごいです。本当に素晴らしい。
はらしま 作っている最中に、絵本ワークショップで「子ども先生」に見てもらうんですよ。実際の子どもさんの反応を見るんです。「よくわかんない」と言われたり、「面白い」って言ってもらえたりとか、いろんなときがあって。「あ、反応がちょっと薄いな」と思ったら、そこから作り変えたりとか。児童館で試しに読み聞かせしてみたら、赤ちゃんがハイハイで前進してきてくれたりとか。そうやっていろんなお子さんの反応を確かめながら、作っているところもあるので。
夢眠 ちゃんと読者の意見が入ってる、生かされてるってことですね。いやあ、すごいです。今日は本当にありがとうございました。
夢眠ねむ
ゆめみねむ/2019年、下北沢に予約制の書店「夢眠書店」をオープン。U-NEXT kids「ねむるま えほん」の企画監修・選書を担当。著書に『本の本』(新潮社)『夢眠書店の絵本棚』(ソウ・スウィート・パブリッシング)など。一児の母。
Web:https://yumemibooks.com/
X:@yumeminemu
Instagram:@yumemibooks
はらしままみさん
1983年東京都生まれ。明治大学商学部商学科卒。「パレットクラブスクール」「チャブックス」などで絵本を学び、2021年に『とうもろこしぬぐぞう』でデビュー。同作は第14回MOE絵本屋さん大賞・新人賞第2位、絵本ナビプラチナブック。一児の母。
『ピーちゃんとナッツくん』のためし読み動画
『やさいでチャチャチャ』の読み聞かせ動画
撮影/大森忠明 ヘアメイク/光野ひとみ 編集協力/原陽子




































