そのまま土に埋めたり挿したりするだけで、ちゃんと育つ、イモやニンジン【良原リエの「台所ではじめよう カンタン!リボベジ栽培」・2】
親子で植物を育ててみたい! 収穫できるものなら、なおいいな……。そんな風に思っても、実際にガーデニングに挑戦するのはちょっと面倒。そんなかたにおすすめなのが「リボベジ」です。都会のまんなかの小さな庭で、たくさんの植物を育て、『食べられる庭図鑑』という著書も出している、音楽家・良原リエさんの連載です。
第2回 土に埋めたり挿したり、でOKの野菜編
12月に入り、ようやく寒い日が増えてきました。私はサツマイモが大好きで、この季節はオーブンで焼き芋にして毎日のように食べています。
サツマイモもリボベジで楽しめます。春になったらぜひチャレンジしてみてください。サツマイモの端っこを水に浸けておけば、しばらくすると芽が出てきます。赤みがかった茎や葉はとても美しく、このまま飾っておくだけでもきれいですよ。葉が数枚出てきたところで土に植え替えれば、秋にはお芋が期待できるかもしれません。葉の軸(葉柄:葉と茎をつなぐ部分)も食べられます。きんぴらにするととても美味しいのです。色がきれいで丈夫なツルは、リースの材料にもなります。サツマイモには楽しみがたくさんあるのです。
ところで、ジャガイモから芽が出てしまうことがありますね。芽が出てしまったら、そのまま土に埋めてみてください。発芽に適した気温になれば、元気な緑の葉が出てきます。ジャガイモは収穫までの期間が短いのでとても手軽。3月に植えれば、6月には新しいジャガイモに出会えますよ。
サトイモも簡単です。スーパーで買ったサトイモをひとつ、ビニール袋で栽培してみました。湿り気が好きなので、たっぷりの水やりを心がけたくらいであとは放ったらかし。それでも秋には、ビニール袋の中に新しいお芋がちゃんとできていました。自分で育てれば、美味しい小芋はもちろん、あまり市場には出回らない親芋も手に入ります。大きくてユニークな葉は、子ども達にも大人気。葉を傘代わりにして遊んでいました。
野菜は植物ですから、土に植えればよく育ちます。土は100均でも手に入りますし、スーパーの片隅にも置いてあることがありますね。鉢やプランターの代わりには、土が入っていた袋をそのまま使うのが手軽です。買い物で手に入ったビニール袋やゴミ袋でも代用できます。いずれも底面に穴をあけて、水が抜けるようにすればOKです。
さて、この時期ならではの私のおすすめはニンジンです。ちょうど、美味しいニンジンがたくさん出回っています。そのまま食べるのが一番ですが、もし食べ頃を過ぎてしなびてしまったら、そのまま土に挿しておきます。
食べる部分は再生されませんが、もっと大きな楽しみがあるのです。ニンジンの花です。
春先に芽を出し、暖かくなれば茎が空に向かってまっすぐに伸びていきます。1メートルぐらいにはなるでしょうか。初夏になる頃にはその先端に、レースフラワーに似た白い優雅な花をつけます。その美しさはため息もの。この花を眺めたくて、わざわざニンジンを土に挿すのです。
茎が伸びる様子や美しい花は、ニンジンはもとより、日々食べている野菜が植物であると実感させてくれます。子ども達も驚きを持って、楽しく観察できるのではと思います。
ただ、セリ科のニンジンにはキアゲハの幼虫がつくことがあります。虫が苦手な方も多いと思いますが、昆虫の育ち方は小3の理科でも学びます。見つけたら、成虫まで育てて観察してみてはどうでしょうか。植物や生きものを身近に感じることで、学習にもきっと役立つはずです。
良原リエ
よしはらりえ/音楽家。アコーディオン、トイピアノ、トイ楽器の奏者。E テレ「いないいないばあっ!」の音楽をはじめ、映画、TV、アニメ、他アーティストの楽曲の演奏、 制作に関わる。トイ楽器を用いた子ども向けコンサート、ワークショップなども行っている。著書に『食べられる庭図鑑』『まいにちの子そだてべんとう』『たのしい手づくり子そだて』(アノニマ・スタジオ)『トイ楽器の本』(DU BOOKS)など。