2020年8月13日

お尻が痛くなる前に! 骨盤ゆるみの整え方【妊娠中のトラブルシューティング・2】

妊娠するとカラダのあちこちが痛かったり、お腹が張ったり……。マイナートラブルが絶えないものの、その対処法がわからない人も多いはず。そこで、産前産後のママ25000人の体を整えてきた助産師の是枝貴子さんが、妊婦の痛みや辛い症状のメカニズムとその対処法を伝えます。Vol.2は妊婦のお尻の痛みの原因となる骨盤のゆるみを整えます
モデル/惟村寛子 撮影/志田三穂子 取材・文/野々山幸(TAPE)イラスト/原田晃 スタジオ/マミースタジオ 

指で円を作ると、骨盤の大きさがわかる

まず、両手の中指と親指をくっつけて円を作ってみましょう。この円の大きさが、骨盤の大きさだと考えてください。また、人差し指と親指をくっつけた円は、赤ちゃんの頭の大きさ程度。これを見れば、ママの骨盤と赤ちゃんの頭の大きさは、比率的にそこまで余裕がないことがわかります。出産時に赤ちゃんを通過しやすくするためには、中指と親指をくっつけた骨盤の大きさを示す輪っかの円周を広げなくてはなりません。そのために妊娠すると骨盤がゆるむという生理的な現象が起こるのです。

ただし、Vol.1「妊娠したらお尻が大きくなるの?」でもお話したように「リラキシン」というホルモンの作用で骨盤はゆるんできますが、ゆるみすぎるとさまざまなマイナートラブルが発生。適度なゆるみを維持するためには、骨盤を整えることが必要です。

マミーサロンを訪ねる妊婦さんたちの声
「妊娠したら腰まわりが重くて時には痛みも。デスクワークで長時間座り続けていると、お尻も痛い…。」
「1時間に1回はトイレに行きたくなって頻尿になったと感じたり、くしゃみしただけで尿もれして不快だったり。妊娠してから尿のトラブルが多いんです。」

「骨盤高位」の姿勢で、内臓の位置を戻す

骨盤がゆるみすぎると、子宮を含む内臓が下がりやすくなります。下がった内臓をあるべき位置に引き上げる体勢のことを「骨盤高位」といいます。骨盤高位の姿勢をとって内臓の位置を引き上げることで、ゆるみすぎをケアできます。

OK!盤高位の正しい方法

まず、横になり、お尻の下にかませるようにクッションなどを敷き込み、腰が反らないよう、背中から腰にかけて床に密着するように位置の調整を。
クッションを敷き込んでしばらくしてからお腹を触ってみて。立っているときよりもふわっとした感触であれば上手に「骨盤高位」ができている証拠。骨盤高位をすると、子宮が重力から解放される形になるので、立っているときよりも子宮がリラックスしてふわふわになるはず。感覚に自信がない場合は、クッションを敷いてから5〜15分間を目安に。特に長時間外出した日などは、テレビなどを見ながらでいいので骨盤高位で圧抜きタイムを作ってみてください。
仰向けが辛いという方は無理しないでくださいね。

NG!体に負担がかかるクッションの位置

この写真のように、お尻の下にクッションがすべて入ってしまうと、腰が反るので腰の下に隙間ができます。腰が反った状態で骨盤高位をすると、呼吸が浅くなりリラックスできませんし、骨盤の中に潜り込んでしまった内臓が引きあがりにくくなってしまいます。また、骨盤高位のまま寝てしまうのはNG。

おすすめアイテム 骨盤のゆるみをサポートするおたすけグッズ

骨盤をサポートするベルト
骨盤周囲にベルトを巻くと、骨盤がサポートされゆるみすぎを予防・改善することができます。骨盤高位の体勢で巻くのが◎。適度な強さでのサポートが大切なので、助産師さんがアドバイスしてくれるお近くの施設で試着して選ぶことをおすすめします。(参考商品/トコちゃんベルト 青葉)


kodomoe shop 1/4折ソフトさらし
骨盤のゆるみチェックや普段の骨盤ケアに使用できるマミーサロンでも愛用者の多いさらし。通常のさらしの1/4幅に加工されているのですぐに使える優れもの。数量限定でkodomoe shop(※8/13〜16は出荷・問い合わせは休業中)でも購入可能。詳しくはこちらへ。(1000円+税 大衛)

日常の動きを意識するだけで、骨盤が締まる!

1)お尻を締める

お尻をキュッと締めると、骨盤を自力で締めることができるように。トコちゃんベルトやさらしなどのアイテムを使うことも大事ですが、できるだけ自分の筋肉で骨盤を締めておけるようにしておきましょう。
信号待ちのとき、キッチンに立っているとき、電車に乗っているときなど、気づいたときに「ながら」でいいので、お尻のほっぺにえくぼを作るように、キュッと引き締めてみて。

2)骨盤まわりの筋肉も使いながら歩く
NG!ペンギン歩き

 

妊婦はお腹が大きくなるにつれ、重心や姿勢が大きく変わります。その姿勢を安定させるため、妊婦は左右の足を広げ、つま先を外に向けたガニ股に。また、お腹に振動を与えたくないので、歩幅を小さくしペタペタとペンギンのような歩き方になりがちです。「妊婦はウォーキングしましょう!」といわれますが、ペタペタ歩きだと骨盤まわりの筋肉はほとんど使わないので、歩けば歩くほど内臓や子宮は下がり、骨盤も広がりやすくなります。妊婦のウォーキングは量より質!左右の足を広げすぎずペタペタ歩きにならないように気をつけましょう。

OK!歩幅を広く
ペタペタ歩きにならないようにするためには、普段より歩幅を広くするのがコツ! 無理をして歩幅を広くすることはありませんが、いつもより少しだけでも歩幅を大きくするように意識してみましょう。骨盤まわりの筋肉や股関節が大きく動き、腕の振りも自然と大きくなるため運動の強度が上がります。スキップをするように地面を蹴りながら歩くことで、次の一歩を踏み出すようにすることで推進力が生まれやすく、足腰への負担も軽減されます。
大股で歩いてとはいいませんが、普段の歩きよりも2〜3cmでも良いので歩幅を広く取るように意識を!ただし、大股で歩くとお腹が揺れ振動大。お腹への振動を最小限にするために、お腹をサポートするさらしや妊婦帯を使用すると、お腹への振動も気にならずしっかり歩けるはず!

おすすめアイテム 足元から骨盤をケア!

kodomoe shop マミーサロン 布ぞうり
鼻緒が太く作られているマミーサロンオリジナルのアイテム。親指と人差し指で鼻緒をギュッとはさむと内ももの筋肉や骨盤まわりの筋肉に効いて、骨盤を自力で締める筋トレにもなります。数量限定でkodomoe shop(※8/13〜16は出荷・問い合わせは休業中)でも購入可能。詳しくはこちらへ。(3000円+税 マミーサロン)


インソール
足裏のアーチをサポートする機能がある。インソールを入れて足と靴をフィットさせると歩きやすくなります。ペタペタ歩きしてしまっている方はぜひ! 各社から発売されているインソールは、スニーカー、パンプスなど靴の種類によっても異なるので生活シーンに合わせて選びましょう。

妊娠中は筋トレなど体に無理な負荷を加えることはできないので、骨盤高位や立ち方、歩き方、インソールの選び方など日々の生活の中で無理なく骨盤を整えることを意識しましょう。
妊娠中の骨盤のゆるみを最小限に抑えることで、産後の体にも大きな影響が。産後のケアがスムーズだったり、トラブルが少なかったりといい効果をもたらしてくれます。

次回のVol.3では、妊婦に多いお悩み「恥骨部の痛み」について解説します。

是枝貴子
これえだたかこ/産前産後のママとベビーのためのヘルスケアサロン「マミーサロン」主宰。助産師、鍼灸師、フットケアトレーナーなど数多くの資格を持つ。産科勤務時代、ママのカラダを助けたいと一念発起し骨盤ケアを学ぶ。25000人以上の妊婦、産後ママをケア。現在月200名以上の施術に従事。
5歳の男の子、1歳の女の子のママ。仕事と子育てに追われる日々を綴るブログやインスタも人気。
マミーサロン http://www.mommy-salon.com
ブログ https://ameblo.jp/diary-mommysalon
Instagram https://www.instagram.com/mommy_salon_kore/?hl=ja

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