子どもが増えるということは。【菊田まりこの子ども是好日・17】
子どもが増えたら、増えたぶんだけの世界が広がりますよ。そして、幼い子どもを通して広がる世界は、一緒にママも居れる世界です。でも、子どもが成長していくほどに、子どもの世界は子どもだけのものとなり、やがて、ママの居場所はなく、同じ世界で同じ景色をみていけなくなります。まあ、自然なことですよね。そういう日が来ることを、当時もうっすら察していたのでしょう。わたしは子どもと同じ世界に身を委ねて遊ぶことを家事よりも優先順位は……密かに上位に置いていました。密かに。いつの頃からかな。そう自分に許してあげたのです。今よかったなって思ってます。
菊田まりこ
きくたまりこ/絵本作家。絵本『いつでも会える』でボローニャ国際児童図書展で、ボローニャ児童賞・特別賞を受賞。絵本に『ゆきの日』(白泉社)『ひとつぼし』(学研プラス)『月のしずく』(WAVE出版)、育児エッセイに『だっこしておんぶして』『君へのてがみ』(角川文庫)、翻訳を手がけた絵本『わたしのそばできいていて』『おばあちゃんのおくりもの』(WAVE出版)など。
http://kikutamariko.jp