2018年3月23日

絵本作家・牛窪良太 「見えていない部分」を見てもらえたら。

ーーこの絵本の絵はどんな画材・道具を使って、
どんなふうに描いていらっしゃるか、教えてくださいますか?

 基本的に色鉛筆の重ね塗りです。色鉛筆には、「軽く淡いタッチ」というイメージがあると思いますが、僕の場合、力まかせにグリグリ塗りつぶすという、たぶん間違った使い方をしているんじゃないかと思います。だから、あっという間に短くなります。そして腕も、「ホントに僕はクリエティブな仕事をしているのだろうか?」というくらい、疲れます(笑)。
 ……ということで、最近はアクリル絵具も併用するようになりました。色鉛筆とアクリル絵具のコンビは、ハンバーガーとフライドポテトのように相性が良くて気に入っています。

色鉛筆。最初の作品を描く際に「イーグルカラー」というとても
カッコいい名前に惹かれ使い始めたのですが、いつのまにか
「カリスマカラー」なんていうちょっと恥ずかしい名前になって
しまいました……。でも僕にとって最高の色鉛筆です。

リキテックス。色鉛筆のスーパーサブ的なポジションのアクリル絵具ですが、今後はもっと出場機会を増やしていこうと考えています。

 

葉っぱに魂を込めています。

ーーこの絵本を作っていて、特に楽しかった、大変だったところは?

 楽しかったところも、大変だったところも、ともに「葉っぱ」です。色鉛筆でわりと細密かつ濃密に画面を塗り込んでいくということが、僕にとっての楽しみであり、とても手のかかる大変なところでもあります。結果的に長い時間、作品と向き合うことになりますが、それが長ければ長いほど、そこに魂を込められると信じて、グリグリと色鉛筆を塗り、コリコリとカッターで削り、またグリグリと……ということを繰り返しています。
 また、僕は勝手にC・V・オールズバーグ先生に師事していて、いつか先生のように、一本の線にも密度と品格を感じられるような、そんな絵を描きたいと願っています。とにかく作品には常に真摯に向き合っていたいです。

※ C・V・オールズバーグ アメリカの児童文学者、イラストレーター。主な著書に「ジュマンジ」「急行 北極号」など

 

ちびた色鉛筆。春に原画展を開催した際に、それまで溜めていたチビくんたちを大放出したのですが、芳名帳に「鉛筆を大切にする人に悪い人はいません」と書いてくださった方がいて、とても嬉しかったです。

 

ーーここを見て欲しい!というポイントを教えてください。

 「見えていない部分」を見て欲しいです。……というのは、ここに登場する動物たちは、みんなこの木のまわりに暮らしていて、何かあるとこの木のもとで待ち合わせをします。だから例えば、アライグマが夜の探検に出ているときも、他の動物たちはその近くで何かをしているので、そういった画面には描かれていない部分を想像してもらえると、よりこの世界に親しみを感じてもらえるのではと思います。

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