2018年3月23日

絵本作家・牛窪良太 「見えていない部分」を見てもらえたら。

最近ようやく絵本作家になれたのかなと思っています。

ーー牛窪さんが小さい頃の絵本の思い出があれば教えてください。

 絵本の思い出と言えるのかはわかりませんが、幼稚園での劇で『ちびくろサンボ』の父親役を演じました。からだが大きかったからです。今ではやらないでしょうが、顔を靴墨で黒く塗られたことと、劇中にステージに落ちていた画鋲を踏んで、でも痛いのを我慢して演じ続けたこと、虎が溶けてバターになるという結末に納得できなかったことを憶えています。これはたぶん、僕のもっとも古い記憶です。そしてこの3つの要素は、僕の人格形成においてのキーワードになるのかもしれません。僕には分析することができないので、なんとも言えませんが……(笑)。

ーー絵本を描こうと思ったきっかけ、
またどのようにして絵本作家になったのか、教えてください。

 あるとき、「絵本を作るべき!」と奥さんが道を指し示してくれたのがきっかけです。まるで「十戒」におけるモーゼのように。
 「バットをしんじて、力いっぱいふる。ただそれだけさ」というのは、僕の最初の作品『ガボンバのバット』での、象のホームランバッター・ガボンバの言葉なのですが、その言葉を信じて、ここまで続けてきて、最近ようやく絵本作家になれたのかなと思っています。

番犬ポッチ。咥えているメッセージは『なぜベス』(なぜベストを尽くさないのか?の略)。はじめは冗談半分で使っていたのですが、今では制作過程においてマントラのように唱えています(笑)。

 

ーー今後どんな絵本を作っていきたいですか?

 頭のなかには「これを作れたら楽しいだろうなー」という作品が、常に3つほどストックされているのですが、ひとつひとつに時間がかかるのでなかなか前に進みません。現在の色鉛筆グリグリ作品もより洗練されたものにしていきたいですし、『おすしのうた』というコンピュータで着彩した作品を以前に作ったのですが、タッチにこだわることなく、そんなコラージュ絵本もまた作ってみたいです。
 自分が楽しく向き合える作品、そして少しでも昨日の自分をアップデートできるように努めて、次の作品へ入りたいです。
 もしこれを読んでいるなかに編集者の方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください!と最後は営業チックに締めたいと思います(笑)。ありがとうございました。

 それと近々の予定というほどのものではありませんが、昨年末に刊行された『ペンギンホテル』という作品が、韓国で出版される予定です。

 

全著作。著作が5冊になったら絵本作家と名乗ってもいいかなと思っていて、この『まちあわせは木のところで』が6冊目になりました。いろいろな方々に、深く感謝しています。

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