2018年3月23日

絵本作家・牛窪良太 「見えていない部分」を見てもらえたら。

「コドモエのえほん」シリーズから、『まちあせは木のところ』を刊行したばかりの絵本作家・牛窪良太さん。1年間の季節の移ろいを、濃密なタッチで描いたこの作品の制作秘話をお伺いしました。素敵なアトリエや作品づくりに欠かせない画材もお見せします!
撮影/牛窪良太

うしくぼりょうた/大阪で生まれ、東京で育つ。桑沢デザイン研究所卒業。第21回講談社絵本新人賞受賞。絵本に『ポッチのかんがえてること』『おすしのうた』(教育画劇)、『おさるのれっしゃ』『ペンギンホテル』(アリス館)他。Facebook

『まちあわせは木のところ』

白泉社 880円+税
くわしくはこちら

きっかけは、「キツネ時間」を知ったことです。

ーー今回、このテーマの絵本を描こうと思ったきっかけはなんですか?

 「ある木のもとで、いろんな動物たちが、好き勝手なことをしている」というイメージは漠然とあったのですが、「キツネは生まれてたった1年でオトナになる」ということを知り、曖昧だった世界に「1年間」という時間の枠とともに、四季の流れが生まれました。だからきっかけは、「キツネ時間」を知ったことです。ウィキペディアに感謝です(笑)。

ーーこの絵本の構成・ラフを作る段階で、苦労した点やこだわった点は?

 僕にとって絵本の制作過程で最も楽しい時間は、構成を考えたり、ラフを描いているときです。まだすべての可能性の扉が開け放たれているとき。だからそこに苦労があったとしても、真っ白で何もないところから、ひとつの世界を起ちあげるためのものです。その苦労が大きければ大きいほど、作品世界の厚みが増すと信じています。
 「苦労は喜び」、絵本制作においてのみ、そう捉えることができます。日常においてもそうあるべきだとは思いますし、うちの奧さんには強くそう望まれていますが、そこまではなかなか……(笑)。

最初のラフです。この時点で本画とほぼ構図が変わっていないということに、自分で驚いています(笑)。

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