絵本作家・おくはらゆめ 「うそでもいいから言われたかった! やすんでいいよって(笑)」
その絵本のどこをおもしろがっているのかは、ぜんぜんわからない(笑)。
――絵本は好きですか?
リビングと寝室にも絵本がたくさん置いてあって、よく読んでます。赤ちゃん絵本も結構大きい子向けのお話がある絵本も、気に入ったのは何回も読んでって言う。例えば、お笑い芸人の笑い飯さんの絵本で『ガムのようせい』っていうのがあるんだけど、何回読んでも笑う。お話が長いのは、ごめんなさいだけど言葉を短くして、絵をめくりながら、要約してどんどん見せてあげるんだけど……。
――どこにグッときてるのでしょうね。
それが、ぜんぜんわからないです……。この絵本は、顔が石井くんに似てるっていうのもあるかな(笑)。
――ほんとですね! そっくり(笑)。自作絵本も読んであげますか?
読んでます。『やすんでいいよ』は、寝る前によく読みたがる。よく早朝から絵本を読むんだけど、この本は朝には読まない。最近だと朝はコドモエの付録の「ノラネコぐんだんアイスのくに」とか読んでます。元気なのが読みたいのかな。
『やすんでいいよ』は、登場人物はちょうちょくらいしかわからない。くまはほかの絵本にもよく出てくるから、わかってる感じがするけど、ほかは本物を見たことがなくて。あと、まだ、みんながきつねにとまってやすんでるっていうのも、よくはわかってないと思う。だけど、「最後はみんなでおやすみしてる」のは、伝わってると思う。だから寝る前の落ち着きたいようなときに読みたいのかもしれません。
――太郎くんも少しずつ大きくなって、これから絵本生活がますます楽しいですね。
自分でもどんどん描きたくなりそうです。おくはらさんがこれから作りたいものは?
仕事では、童話に挑戦中です。絵本もやりたいけど絵童話にすごく興味がある。小学1年生が読むような絵がたくさん入った童話。前からもうちょっと長い文章を書いてみたかったのと、自分も小学低学年くらい向けの童話を読むのが好きだったから。
――それは楽しみです。おくはらさんの長い文章って今まで想像できなかったんですけど、この間雑誌で書かれたものを拝読したら、とってもよかった。子どもの頃は、どんな童話が好きでしたか?
ミヒャエル・エンデの『モモ』やリンドグレーンの『長くつ下のピッピ』がすごく好きでした。童話じゃないけど『窓ぎわのトットちゃん』も。この間、福音館書店さんの「母の友」の仕事で短いのを書いたりして。来年また別の童話を出せたらいいねって編集の人と話してるので、書き出してる。
――アイディアは以前から温めていらしたものなんですね。
前は自分の好きなことを突きつめている時間に、絵本のアイディアが湧き出てくる感じだったんですけど、今、ボーッとしたり何気なくブラブラする時間がなくなっちゃったし、あれしてこれしてって自分の時間も限られているから、新しいお話を自然に思いつく感じがあんまりなくて。出産前から思いついていた書いてみたい設定があったので、それから書いてる感じ。
でもこの間、すごく久しぶりに買い物……ウィンドウショッピングしました! 太郎が生まれてから初めてだったと思うんだけど。買うもの決めずにぶらぶら、30分くらいだったんだけど、すごく楽しくって……。
――少しずつ自分の時間が増えていきますね。描くこと以外で他にしたいことってありますか?
もうちょっと余裕が出てきたら、『やすんでいいよ』の発売記念原画展でやったライブペイントみたいな、一期一会なことをやってみたい。そこにいる人だけで共有できる、みたいなことは、絵本だけだとできないから、たまにそんなのができたらいいな。
たくさんの人に囲まれて1時間で大きな一枚の絵を描きあげました。
あとは引越し! この家の前に住んでいた、古い日本のおうちみたいな家にまた住みたい。その家には和室がいっぱいあったけど、今は畳がないから、畳のあるところを探したいです。
――太郎くんとの絵本生活の中から、また絵本の種が生まれてきそう。新境地の絵童話も楽しみです!