『野ねずみきょうだいの草花あそび 初夏から秋まで』【今日の絵本だより 第219回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『野ねずみきょうだいの草花あそび 初夏から秋まで』
相澤悦子/作 長谷川直子/絵 福音館書店 1210円
発売中のkodomoe6月号では「New草花あそび研究所」所長の相澤悦子さんに、「身近な自然を好きになる 小さな草花あそび」を教えてもらいました。
ナガミヒナゲシで作る「おめかしBag」や、タンポポの綿毛で作る「綿毛パンダ」などは、kodomoe webの【最新号からちょっと見せ】でもピックアップ。
お試しいただけましたでしょうか。
ごく身近な草花を使った、オリジナルの草花あそびを日々研究、発信している、相澤悦子さん。
SNSでの発信以外に、著作も多数ありますが、最新刊はこちら。
野ねずみきょうだいが主役のお話仕立ての一冊、『野ねずみきょうだいの草花あそび 初夏から秋まで』です。
初夏のいい天気の日、役に立つ草を集めにでかけた野ねずみきょうだい。
最初に見つけたのは、こいぬのしっぽのようなエノコログサ。
緑の穂はふかふかで、寝床に敷き詰めると気持ちよく眠れます。
みんなでたくさん集めているうちに、なんだか楽しくなってきた、野ねずみきょうだい。
長い茎で輪っかを作り、ふかふかの穂をそこに通したら、まあ!
エノコログサのねずみができました。
今度は穂を何本も集めて、くるくる巻いたら、長い耳をしたエノコログサのうさぎができました。
ドクダミは天使に、オシロイバナは女の子に。
野ねずみきょうだいが出会う植物はみんな、素敵な何かに変身してしまいます。
お話を読み終えたら本の後半には、野ねずみきょうだいが作ったものすべての写真つきの作り方が。
「自分も同じものを作れる!」といううれしさが、ぐっと押し寄せます。
本文は漢字にルビつきなので、kodomoe世代の親子よりちょっと年上向けかもしれませんが、その分長い間楽しめそう。
優しい気持ちになれるお話が、初夏、夏の夜、秋と3本仕立てなので、少しずつ読み聞かせするのもおすすめです。
シリーズ第一弾の『秋から春まで』(福音館書店)も、ぜひあわせてお楽しみください。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。