端午の節句にこいのぼりの絵本を読もう!『とらのこさんきょうだい かえうた かえうた こいのぼり』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより】
ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめするweb連載「親子の読み聞かせに。今日の絵本だより」。過去にご紹介した絵本の中からピックアップ。親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。今回は、こどもの日の時期に読みたいこちらの絵本をご紹介します。
とらのこさんきょうだい
かえうた かえうた こいのぼり
『とらのこさんきょうだい かえうた かえうた こいのぼり』
石井聖岳/作 講談社 1650円
今年ももうすぐ、こどもの日。
先日、かっぱの家族のお話をご紹介しましたが、今回は元気なとらの家族のお話、『とらのこさんきょうだい かえうた かえうた こいのぼり』をご紹介します。
「やねよ〜り〜 た〜か〜い こいの〜ぼ〜り〜♪」
とらのお父さんが歌いながら、家の前にこいのぼりを出しています。
すると3兄弟のこどもたちが、家から出てきて大はしゃぎ。
「こいのぼりったら、こいのぼり!!」
こいのぼりったら、こいのぼり!!」
そして、替え歌を歌います。
「くもよ〜り〜 た〜か〜い こいの〜ぼ〜り〜♪」
屋根でなくて雲、すごい!
表紙の絵のようにみんなでこいのぼりに乗って、ゆうゆうと大空散歩、気持ちよさそうです。
「かっこいい うた、かんがえるねえ。」
とお父さんに言われて、
「じゃあ、つぎは 2ばん!」
「いえよ〜り〜 で〜か〜い こいの〜ぼ〜り〜♪
おおき〜な〜 からだ〜が〜 おもたそう〜」
あらあら、大きすぎるこいのぼりの下で、みんなのおうちがつぶれそうですよ。
お父さんがほめ上手なものだから、こどもたちの替え歌はどんどん続きます。
へびより長いこいのぼり、何でも食べるこいのぼり、それからそれから……。
次々できる愉快な替え歌を一緒に歌うのも楽しいですし、オリジナルの替え歌を作ってみても!
ふだんは絵本をあまりじっと聞かないような、おふざけ大好きなお子さんこそ、盛り上がるかもしれませんよ。
こいのぼりや鎧兜を出して飾って、柏もちやちまきを用意して、菖蒲湯はどうする……と、お節句には準備のあれこれに追われがちなのが大人ですが。
本当はラストのお父さんのように、こどもたちの成長を肌で感じられたら、それが一番なんですよね。
こいのぼりのイベントも、全国的に中止が相継いでいる今年ですが、来年はきっとまた、今年とは違うこどもの日。
一回り大きくなった子どもたちと、大空を泳ぐこいのぼりを、お外でのびのびと見上げられますように。
選書・文
原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、司書、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。
※こちらの記事は2020年5月にウェブ掲載したものを再編集しています。