2021年6月20日

『パパとタイガのとびっきりキャンプ!』【今日の絵本だより 第218回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『パパとタイガのとびっきりキャンプ!』【今日の絵本だより 第218回】の画像1『パパとタイガのとびっきりキャンプ!』
セバスチャン・ブラウン/作 聞かせ屋。けいたろう/訳 教育画劇 1650円

6月20日は、父の日。
それにちなんで、パパとぼくとのキャンプデビューのお話、新刊絵本の『パパとタイガのとびっきりキャンプ!』をご紹介します。

今日は、お休みの日。
テント、リュック、ガスバーナーにフライパン、山もりの荷物を車に積んで、パパとタイガがふたりでキャンプに出かけます。
タイガの一番のお楽しみは、カヌーに乗ること。
さあ、出発進行!
長いドライブの間、しりとりをして、歌を歌って……、さあ、キャンプ場の看板が見えてきました。
あれ、でもまだまだ、なかなか着かない……。
ようやく着いたら、キャンプ場はもう真っ暗。
テントを張るのも、パパは大苦戦。
お隣のテントには、くまの家族。
とうさんぐまが顔を出して
「よかったら おてつだい しましょうか?」
って 声をかけてくれたけど、パパは断っちゃった。
パパ、ほんとに大丈夫?

到着から前途多難なキャンプ初日ですが、翌日も朝ごはん、山登り、パパは奮闘むなしくピンチ続き。
そのたびにとうさんぐまが親切に声をかけてくれるけど、パパは断っちゃう。
でも、最大のお楽しみのカヌーに乗ったら、しゃれにならない大ピンチが……!

母親目線だと、タイガの安全優先で「おいおい、パパ! そこは素直に手伝ってもらってよ!!」と思ってしまうのですが、パパには譲れない矜持があるのでしょうね。
「ふたりで できますから」
「ふたりで つくれますから」
と、「ふたりで」を繰り返すパパの言葉に、後からいろいろ感じてしまいました。

そんな大人の推測はさておき、この絵本にはお楽しみのポイントがいっぱい。
合間に出てくる歌や、それぞれにキャンプを満喫しているありやかえるたち、それから、パパのしょっているリュック!
伏線がいっぱいで、読み直すたびに「あ! そういうことか!!」と発見があります。
そういうことはたいてい、子どもの方が上手に見つけるんですよね。
何しろ読み聞かせのプロ、聞かせ屋。けいたろうさんの訳がリズムよく心地よく、絵本を読み慣れていないパパでもきっと、ストレスなく読めること請け合いです (これ大事!)。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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