新型コロナ、RSウイルス、胃腸炎……この時期親子で気をつけたい感染症対策は「手洗い」「密回避」+「内側からのケア」
なかなか収まる気配を見せない新型コロナに加え、毎年恒例のインフルエンザやウイルス性胃腸炎も心配な季節がやってきます。また、去年からのコロナ禍による外出自粛や休園・休校などで人との接触が減ったことにより、例年なら獲得できるはずの免疫が獲得できず感染症にかかるリスクがかえって高まっているとも言われています。家族で取り組みたい感染症対策など、kodomoeママパパの疑問に小児科医の森戸やすみ先生が答えます! 不安な季節を元気に乗り切りましょう!
毎日の感染対策Q&A
Q 園でウイルスや病原菌をもらってくるのを避けることはできないですよね?
A 「園から帰宅したらまずせっけんで手洗いを。ただの水より石けんを使うほうが、ウイルスをしっかり落とせます。飛沫感染がいちばん多いので、手についた飛沫を体に入れないために、目をこすったり鼻をほじったり、粘膜に触れるようなクセは控えるように大人が見てあげましょう」
Q 家でも消毒剤を使ったほうがいい?
A 「各自が外出先から戻ってきたときに消毒剤を使えばOK。ウイルスは自然発生するものではないので、家の中にずっと同じ家族がいる状態で、何度も消毒剤を使う必要はありません」
Q 手が洗えないとき、ウェットティッシュなどで拭くだけでもOK?
A 「濃度70%以上のアルコールを使用しているウェットティッシュなら、消毒効果があるので、手が洗えない場合に使うのは有効です。おしりふきなどのような水だけのものは消毒効果はないので、拭かないよりはまし、という程度でしょう」
Q マスクはやっぱりつけさせたほうがいい? 子どもが使うならどのタイプがおすすめ?
A 「マスクは適切に使わないと、マスクの中が鼻水だらけだったり肌荒れを起こしてしまったり、デメリットも多いもの。WHOでは5歳以下の子どもはマスクをしなくてOKとしていますが、そうはいかない場合も多いようですね。園などで素材が指定されている場合は別ですが、肌当たりのいい布がおすすめ。不織布を間に挟めるものもありますよ」
Q 加湿器は使ったほうが感染予防にいいの?
A 「部屋の湿度が適切だと、飛沫に含まれるウイルスがほこりと一緒に舞い上がるのを防ぐことができます。今年は湿度の高い夏にもRSウイルスがはやったことを見ると、一概に言い切れない部分もありますが、使わないよりはいいでしょう」
Q 日々の体調と感染・発症に関係はある?
A 「体には、ウイルスや細菌などの病原体が体に入ったとしてもそれらを体外に追い出したり攻撃する力があります。それがいわゆる免疫力。体調が悪いとその力を十分に発揮できない可能性があるため、寝不足やバランスの悪い食事にならないように気をつけることは大切です」
Q あれもこれも、やることが多すぎる気がして。「これだけはしっかり」という感染症対策を知りたい。
A 「コロナ対策で、人混みや密を避けることや、手洗いが感染症の予防に効果があることは分かっているので、引き続き継続しましょう。あとは免疫力を落とさないことも大事。夜は早く寝てゆっくり体を休める、バランスよくしっかり食べるなど、体の内側からのケアを心がけるといいですね」
「こんなときどうする?」Q&A
Q お友だちと遊ぶ際に気をつけるべきことは?
A 「空気中にウイルスが漂っていることもあるので、部屋の換気をこまめにすること。手洗いや手指の消毒は『〇分ごと』などと決める必要はないので、おやつを食べる前などシーンが変わる際におこないましょう。少しでも具合が悪い、熱があるなどの際は遊ぶのは避けましょう」
Q 夫が接客業。ウイルスや病原体を持ち帰ってこないか心配。
A 「人と会うのが避けられない仕事の方も多いですよね。そうした場合は、ワクチン接種、マスクの着用、帰宅したらすぐ手洗いすることなどを徹底してもらいましょう。できることをきちっとやるしかありません」
Q 年末年始は、おじいちゃん&おばあちゃんと会わないほうがいい?
A 「新型コロナやインフルエンザなど、予防接種があるものは接種したうえで、手洗いやマスクなどの感染対策をとって会うことをおすすめします。そうしても感染のリスクはゼロではありませんが、最低限必要なことです。新型コロナウイルスのデルタ株は感染力が強いので、会う時間を短くしたり、食事をいっしょにするのは避けることもひとつの手です」
Q プールや大浴場などは感染リスクが高い?
A 「新型コロナも含め、冬に流行しやすい感染症は水を介してうつるものはありません。心配なのは水ではなく更衣室での密状態や人との距離。なので、そうした注意喚起をしっかりしている施設を選んで利用するようにしましょう」
新型コロナ最新Q&A
Q 大人(親)の予防接種が済んでいたら、子どもには感染しにくい?
A 「その通りです。子どもは行動範囲が狭いため、感染するのは家庭内感染、つまり親からの感染がほとんど。親(一緒に暮らす大人)がきちんと予防接種することが、子どもをコロナ感染から守る大事な手段になります」
Q 子どもの予防接種はいつからできるようになるの?
A 「現状日本では、接種による不利益(発熱など)が利益(感染防止)を上回ることが確認されていないため、12歳以下の接種は未定。世界を見ても国ごとに対応は分かれています。子どもが接種するよりも、大人が3回目を打つことのほうが現実的です」
Q 妊娠中に新型コロナに感染したら重症化しやすい?
A 「重症化しやすいのはもちろんですが、そもそも妊婦さんを受け入れられる病院自体が少ない現状があります。そうしたリスクを避けるためにも、妊婦さんなら必ずワクチン接種をしましょう!」
Q 冬だから感染しやすいなど、季節は関係ある?
A 「一般的にカゼのウイルスは低温・乾燥を好むのですが、この夏は冬に流行しやすいRSウイルスが大流行。このように、新型コロナをはじめ他のウイルスも季節関係なく流行ることがあるので、1年を通した感染症対策が大事になるでしょう」
まとめ
新型コロナを含め、さまざまな感染症を避けるためには、手洗いや密を避けるなどの「体の外側のケア」に加えて、食事や睡眠で体調を整えるなどの「体の内側からのケア」も大切。予防接種があるものは、きちんと受けることもポイントです。各自ができることを実践して、この冬も元気に乗り切りましょう!
教えてくれたのは
森戸やすみ先生
もりとやすみ/どうかん山こどもクリニック(東京・台東区)院長。メディアやブログを通じ子どもの健康、医療、子育てについての正しい情報を発信。
イラスト/matsu