
【ヨシタケシンスケさん&柴田ケイコさん対談】「絵本って、本当にできる人じゃないと作っちゃダメっていう意識があって」
絵本界のトップランナーのおふたり、ヨシタケシンスケさんと柴田ケイコさんがkodomoe初対談! お互いの作品の魅力を熱く語っている本誌の対談には掲載されなかった、おふたりの絵本の作り方についての話をご紹介します!
※こちらの記事は2024年5月にウェブ掲載したものを再編集しています。
本当にできる人じゃないと、絵本を作っちゃダメっていう意識がありました
ヨシタケ 以前、柴田さんのインタビュー記事で読んだのですが、自分のお子さんにいろんな絵本を読んでいたことが、後の絵本づくりにすごく役に立ったと。
柴田 そうですね。「子育てで、自分ができることってなんだろう?」って考えたときに、外でボール遊びとかはできないけど、イラストレーターだったので「あ、絵本の読み聞かせぐらいだったらできる」と思ったんですよ。寝る前に読んだらすぐ寝てくれるっていうのもあって(笑)。それでずうっと読んで、その蓄積で絵本づくりがなんとかできた感じです。
ヨシタケ 柴田さんの本は、絵本としての大事な部分、要所を全部押さえている完成度があって、そこに個性というか、けれん味みたいなものも入ってる。その基礎体力みたいなものをすごく感じます。とても絵本らしい体裁になっていることが、僕にはすごく憧れというか。
でも、前からずっと絵本を目指していたわけではない?
柴田 全然やってないです。ヨシタケさんと同じようにイラストレーターで、そもそも絵本って、本当にできる人じゃないと作っちゃダメっていう意識があって。
ヨシタケ そうそう。僕もすごくそれがありました。今でもあるんですけど(笑)。
自分が「楽しい」って思える方向に
ヨシタケ 僕は最初、絵本ができるとも思ってなかったし、絵本作家になれるとも思ってなかったんです。でもいくつか絵本を作って、ある程度経験ができてくると、「じゃあ、あれをやっても大丈夫なんじゃないか」って。自分の子どもたちが大きくなる中で、また別のテーマが自ずと出てくるし。「あ、こういうこともできるんじゃないのかな?」っていう可能性は、どんどん増えてきますよね。
柴田 うんうん、そうですねえ。でも、その時々でちょうどいい問題を拾い上げてるっていうのが、ヨシタケさんだなあと思って。
ヨシタケ 僕は今なら、子どもが巣立っていくとか、自分が年をとっていくとか、そうした方向に目が向いていますね。
柴田 私も結構、自分が「楽しい」って思える方向に集中してやっている感じですね。
ヨシタケ 結局、自分が楽しみながらやらないと。ちゃんとテンションが上がってるかどうかって、すごく大事だから。
柴田 そうですね。「自分の描きたいものって、一体なんだろう?」って自問自答して。自分は今、何に興味があって、何がやってて楽しくって、何を描けば自分らしくて、みたいな。やっぱりそこに行っちゃいますよね、ベクトルが。「子どもが喜ぶためにはどう描けばいいか」って意識しすぎて、視野が狭くなったり、路線が違っちゃうと面白くないので。
基本的にはエゴサーチとかしないです(笑)

柴田 ヨシタケさんはたくさんの本を出されていて、その分ものすごいプレッシャーもあるんじゃないでしょうか。
ヨシタケ いや、僕の場合は、基本的にはエゴサーチとかしないですし(笑)。好意的なご意見だけを、後で編集者の方から聞くだけに留めているので。
柴田 あ、できるだけシャットアウトして(笑)。
ヨシタケ もう、一生懸命シャットアウトしてますねえ。僕は絵本を「子どもの頃の自分だったら、こういうの喜んでくれるかなあ」っていう基準で作っているので、そこからなるべくブレないように、他の方のご意見を聞かないようにしてますね。その作り方で「もう要らない」って言われれば、それはもうしょうがないので。
柴田 うん、そうですよね。その潔さも必要だなと思います。私も「何部売れましたよ!」とか言われても、ハハハって聞き流しちゃうんです。それで何か描けなくなってしまったら嫌だと思って、あんまり心に溜めないようにして。でも私、エゴサはします(笑)。
ヨシタケ アハハハハハ。
子どもからのお手紙はすごい大事にしています
ヨシタケ そう、すごく聞きたいんですけど、作品をほめてくれる人もいるけれど、「思ってたのと違う」みたいなご意見もあるじゃないですか。そう言われて、どうしてます? 「つまんない」って言われても、自分にはこれしかできないので。
柴田 そうですねえ。私、あんまり気にしないんですよね。次の日に忘れちゃうこともあるので。でも、いいことも忘れちゃうからいけないんですけど(笑)。
ヨシタケ ああ、でもそれなら、エゴサーチできますね。いいですね、いろいろリセットできて。
柴田 だから、エゴサとかSNSのご意見はあまり気にしないけれど、子どもから来るお手紙はすごい大事にしています。それが活力になっているので。
ヨシタケ ああ。あれはうれしいですよね。申し訳なくなるぐらい。
柴田 はい、本当に。1歳、2歳の子が一生懸命、まだ絵になっていないけれど、「パンどろぼうかきました」という絵とか。
ヨシタケ もう、あんなにダイレクトなごほうびをいただけるって、こんなやり甲斐、他にないですからね。あのお手紙につながるかと思うと、「やらいでか」ってなりますよね。
柴田 はい。もうそこを大事にして、モチベを上げてる感じです。基本だなあと思って。「文句言って作業してちゃダメだな」とか思っちゃう。で、そうしたお手紙を読んで自分も感動するわけですよ。この感動する気持ちは、なくさないようにしようと思っていて。
ヨシタケ えらいっ! 美しい!
柴田 いえいえいえ(笑)。それがなくなったら、もう終わりだなと思っています。
ヨシタケ 自分を原点に戻してくれる、そうしたものがあり続けるっていうのは、すごく幸せなことですよね。

柴田ケイコさんお気に入りの
ヨシタケシンスケさんの絵本はこちら!

理由があれば、いいんじゃない?
『りゆうがあります』
ヨシタケシンスケ/作
PHP研究所 1430円
ぼくがハナをほじっちゃうのには、ちゃんと理由があるんだよ。いろんなクセのそれぞれの理由に、思わずうなずいたり、笑ったり。

読みながら親子で
スキンシップ
『こねてのばして』
ヨシタケシンスケ/作
ブロンズ新社 1078円
こねてのばしてまたこねて、たたいてゆらしてころがして。一体何をこねてるの?柔らかいものの気持ちよさ満載からのラストにびっくり。

希望と現実は隣り合わせ
『かみはこんなに くちゃくちゃだけど』
ヨシタケシンスケ/作
白泉社 1100円
「いつか かしゅに なりたいの」「かみはこんなに くちゃくちゃだけど」。前からと後ろから、読む順番で印象が変わる2コマのお話。
ヨシタケシンスケさんお気に入りの
柴田ケイコさんの絵本はこちら!

柴田さんの絵本デビュー作
『めがねこ』
柴田ケイコ/作 手紙社 1650円
めがねこは、森で評判のねこのめがね屋さん。ある日、ねずみの3兄弟が、お店のめがねを盗もうとします。その理由を聞くと……。

謎の依頼主の正体は?
『めがねこのぼうけん』
柴田ケイコ/作 手紙社 1650円
「もりの3ちょうめのぬし」から、大きなめがねの依頼が届きます。めがねことねずみ3兄弟が、完成しためがねを届ける旅に出発!

パンへの愛はどこまでも
『パンどろぼう』
柴田ケイコ/作
KADOKAWA 1540円
おいしいパンを探し求めるパンどろぼう。「せかいいちおいしいもりのパンや」を見つけて喜びますが……!? シリーズ5作が発売中。
インタビュー本編では、ヨシタケシンスケさん、柴田ケイコさんが選ぶお互いの好きな作品紹介のほか、お互いの印象を描いた貴重なオリジナルイラストも。kodomoe初対談! おふたりの貴重なインタビューは、kodomoe2024年6月号掲載です。
ヨシタケシンスケ
よしたけしんすけ/1973年神奈川県生まれ。2013年の絵本デビュー以来、MOE絵本屋さん大賞第1位を7回受賞。新刊に『おしごとそうだんセンター』(集英社)。
柴田ケイコ
しばたけいこ/1973年高知県生まれ。「パンどろぼう」シリーズ(KADOKAWA)が累計300万部を突破。新刊に『パンダのおさじと ふりかけパンダ』(ポプラ社)。
撮影/大森忠明 ヘアメイク/中村曜子(柴田ケイコ) 編集協力/原陽子




































