「リフレーミング」で短所が長所に!? 親野智可等さんに聞く、思春期と向き合う4つのコツ【杉浦さやかの「機嫌のいいママになりたい!」8】
いよいよ本格的な反抗期がはじまりつつある、小6のわが娘。著書『反抗期まるごと解決BOOK』の著者で、教育評論家の親野智可等先生にお話を伺い、本誌では “親友親子” を目指すコツを書きました。「思春期の子どもとは、親子関係を悪くしないことがなによりも大切」――親子関係さえよければ、子どもは誤った道には行かないものなのだとか。「できないことは生まれつきの性質によるところが大きい。責めるのではなく、考えて工夫してあげましょう」と先生。
帰ってくるなり投げ出されるランドセル、その底でいつまでも出されないプリント、忘れられた宿題。叱るのではなく、それを出せるように「合理的な工夫」をするのが先決なのだそう。
玄関にランドセルの中身を出す箱を置き、休憩の前に宿題を出して、机にセットする準備だけをさせておく。名前を書いておこう、一問だけやっておこう、と声をかけたら、宿題の全体像が見えるから、取り掛かりやすい。部屋を片付けられない子は、家族一斉のお片付けタイムを作る。
甘やかすのでも放置するのでもなく、手助けをしてあげる感じがいいんだな。
「それでも改まらない時は、持って生まれた性質だから、嫌味や小言は言わずやってあげればいいんです。自分でやらせないと自立の妨げになる、というのは迷信です」 「友達が困っていたらやってあげて」「困ったら助けてって言っていい」というメッセージを出すことは、大切なこと。
“持って生まれた性質” を無視していると、争いが絶えず、親も子も疲弊してしまう。娘の性質でつらいのが、神経質で不安感が強く、物が見つからない時や遅刻しそうな時に尋常ではなく大騒ぎするところ。「裏を返すとそれは “慎重で思慮深い” 長所になりますよ」と言われて、ハッとしました。確かに無茶なあぶないことはしないし、宿題の提出は決して忘れないもんね。
「人間は自分の角度でしか見られないから、意識的にちょっとずらして “リフレーミング” するといいですよ」。
リフレーミングとは、物事を違う視点から捉え直すことを意味する、心理学用語。
「短所と長所は背中合わせ。いいほうだけもらっておくことは、絶対にできません。自分のトリセツがわかるようになると、子ども自身も短所と折り合いをつけられるようになりますよ」子どものうちに完成品にする必要はない、という言葉に深く納得。
わが家のもめごとのきっかけ第1位の、タブレット問題。とにかくタブレットばっかり。使っている最中に声をかけると嫌な態度をとる。1日1時間のルールなのに、時間をごまかして言い合いなる。毎日これのくり返しで、使っている姿を見るだけでムカムカするように……。
「もう一度ルールを民主的に決め直したらいいと思いますよ。どれくらいなら時間を守れる?
と子どもの意見をきちんと聞いてあげて」タブレットで絵を描きたいときは延長したりしていたものを、「全部ひっくるめて1日2時間」というルールに変更しました。これだけでもめごとはだいぶ減りました。中毒にならないか心配だったけれど、「親としっかりコミュニケーションが取れていれば、ならないですよ。中毒になるのは、孤独な状態にある人」と先生。
もうひとつ教わった解決法が、夢中になれるものを増やして伸ばしてあげること。タブレットのほかに好きなものは、ジグソーパズル、レジンのアクセサリー作り、ビーズ編み、紙でのお絵かき。「闇(タブレットばっかり)に注目するのではなく、ろうそくの光(好きなこと)を増やせば、闇は薄まるはず。一緒に難しいパズルを探すとか、教本を揃えるとか、画材を買ってあげるとか。そっちが手つかずで、やっちゃダメ! だけだとなかなかむずかしいですね」なるほど~。
そう、「そればっかり」じゃなく、もっといろんなことに挑戦してもらいたい。遊びはやることをやった後で、というお約束で、思う存分さまざまなことを楽しんでほしいもの。余計な小言を極力減らして、お互い機嫌のよい時間を増やすべく、日々奮闘中です!
kodomoe12月号 Vol.8では、いつも一緒に楽しみ笑い、言うべきことは伝えられる「親友親子」になるには? あらためて反抗期の子育てについて、活かしたい心構えや言葉がけのポイントをご紹介しています。本誌でもぜひお楽しみください♪
親野智可等さん
おやのちから/教育評論家。教師だった経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係などを提案する書籍や講演会が人気。メルマガやInstagramで発信されるメッセージが多くの子育て層に共感を得ている。『ずるい子育て』『子育て365日』(いずれもダイヤモンド社)、『反抗期まるごと解決BOOK』(日東書院本社)など著書多数。
親野智可等さん公式ホームページ 親力で決まる子供の将来
杉浦さやか Sayaka Sugiura
1971年生まれ。日本大学芸術学部卒業。在学中よりイラストレーターとして仕事を始める。著書に『えほんとさんぽ』『おきにいりと暮らすABC』『おやこデート』(白泉社)、『おたのしみ歳時記』(ワニブックス)、『ニュー東京ホリデイ』『たのしみノートのつくりかた』(祥伝社)他多数。新刊『すきなもの 楽しいことA to Z -’80s~’90s少女カルチャーブック』(祥伝社)も好評発売中。
kodomoeでの連載「おやこ プチプラごっこ」を基にまとめた書籍『わたしたちの歳時記』(ワニブックス)が12月下旬発売予定。
現在、小学6年生の娘・蕗と夫と3人で東京に暮らす。
おやこ プチプラごっこ+plus(web版連載)
https://kodomoe.net/serial/sugiura_gokko/
杉浦さやか新刊プロジェクト(祥伝社)
http://www.shodensha.co.jp/ssp/
杉浦さやかX(旧Twitter)
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杉浦さやか『おやこデート こどもと楽しむおでかけガイド』好評発売中!
WEB版「おやこデート」では鎌倉・江の島、浅草など、よりぬきおさんぽコースを紹介
デザイン/畠山香織