ひとりで読んでいる姿を見るのも好き。えちがわのりゆきさんの絵本の読み聞かせ【うちの読み聞かせ・2】
気になるあのママ・パパは、絵本をどんなふうに楽しんでいるの? 親子の読み聞かせについてお話をうかがう新連載。第2回目は娘のにちちゃん(3歳)とのほっこりとした日常を描いた4コママンガ「センチメンタルおとうたん」を kodomoeウェブで連載中の、まんが家でイラストレーターのえちがわのりゆきさんです。
娘が絵本を選んだり、ひとりで読んだりしている……。
そんな姿を気づかれないように見るのも好きなんです(笑)。
――連載でおなじみの「にちちゃん」と「おとうたん」のえちがわさん。おふたりは、絵本の読み聞かせをどんなふうに楽しんでいるんでしょうか?
いつも娘が「これ読んで」と絵本を持ってきたタイミングで、読み聞かせすることが多いです。 寝る前も「読みたい絵本持っておいで」と言うと何冊か選んで持ってくるので、それを読んでから寝ます。どんな本を選ぶのかな、というところが毎回楽しみですし、選んでいる姿を見るのも好きで。一緒に読み終わったあと、娘が眠るまで、お話を一緒に振り返ったり、「あのねこちゃん、どうしているかな~?」とお話の続きを想像して作ってみたり。そんな時間も、好きですね。
――絵本のお話の続きを想像して作るなんて、楽しそうですね。
その絵本を初めて読む時は、まず普通に文章の通りに読みますが、2回目以降は、登場人物や動物のセリフを勝手に考えてしゃべらせたりして読んだりします。登場人物たちの表情に言葉を添えたりすることもあります。 たとえば、泣いてる子がいたら「どうして泣いちゃったのかな〜、びっくりしちゃったのかなぁ〜?」とか。そうすると娘もいろいろおしゃべりしてくれるので、読んでいる方も楽しいですし、もともとの物語に自分たちだけのエピソードや世界観が加わったりするので、その絵本によりいっそう愛着が湧くこともあるんです。
そんなふうに、僕がふだんから絵本に勝手に色々とセリフをつけたり、言葉を添えたりしているので、娘が同じようにするときがあるのですが、選ぶ言葉や言い方がとても面白かったりします。子どもから思わぬ言葉が返ってくることがとても楽しいので、読んだ絵本について、こちらから言葉を投げかけることを大切にしています。
――そしてこのお写真、すごくかわいいですね! こんなに小さな時から一人で絵本を読むこともあったのでしょうか?
そうですね、我が家にはテレビがなくて、絵本が大きな娯楽となっているせいか、 娘は1歳の頃からひとりで絵本を読んだりしていることがよくあって。この写真もそうですが、その姿がいっちょ前でとても可愛らしくて、可笑しくて。いまも、娘がひとりで絵本を読んでいる姿を、そっと気づかれないように覗き見るのが好きなんです(笑)。
セリフをつけたり、登場人物を置き換えてみたり。
遊び方もいろいろ、思い出の3冊
――では、えちがわさんとにちちゃんの思い出の絵本を3冊、教えてください。
『みんなでね』
(まついのりこ/作 偕成社)
0〜1歳にかけて、一番読んだ思い出がある本です。 文章が少ないので、登場人物5人にそれぞれセリフをつけて、楽しんで読んでいたのですが、いつの間にかそのセリフを娘が覚えていて。初めて真似した時はとっても感動しました。
『11ぴきのねこ どろんこ』
(馬場のぼる/作 こぐま社)
登場人物が多いので勝手にセリフをつける甲斐がありますし(笑)、 11匹それぞれを身近な誰かに置き換えて、楽しんでいます。 「これはお父さん、これはお母さん、これはじいじ……」とか。物語のなかに、11匹のねこが恐竜にのって泥水に飛び込むエピソードがあるのですが、それを真似て、僕の背中に乗って、ごろりんって落ちる遊びが大好きで。今でもよくやっています。
『こわいわるいうさぎのおはなし』
(ビアトリクス・ポター/ 作 いしい ももこ/訳 福音館書店)
僕が読み聞かせした後に、娘が「つぎは あたしがよんであげる!」と言って、 読み聞かせしてくれた絵本。もちろん文字はまだ読めないので、僕の読み聞かせを覚えている限りの言葉で読んでくれましたが、 その言い間違いがとても可愛かったです。 それ以来、娘に読み聞かせしてもらうのがお父さんの大好物になりました(笑)。
――にちちゃんがおとうたんに読み聞かせしてくれるなんて、センチメンタルな気分になりそうですね(笑)。ところで、えちがわさんご自身は、子どものころ、読み聞かせをしてもらった思い出などありますか?
実は読み聞かせしてもらっていた時の記憶は、はっきりしていないのですが、家には絵本がたくさんありました。母がよく読み聞かせをしてくれていたようです。 僕が大人になっても絵本を読んだり、物語を考えたりすることが好きなのは、きっと幼いころにたくさん読み聞かせをしてくれた母のおかげだと思います。
――にちちゃんと絵本の読み聞かせを楽しむ時間は、まだまだ続きそうですね。
子どもが親の膝の上に乗っている時間って、きっと子どもにとって、とても安心でとても幸せな時間だと思うんですよね。それは、親にとっても子どもと触れ合える幸せな時間です。だから 「読んでほしい」と言われたら、忙しい時でも、娘を膝に乗せて絵本を読んであげる時間を取りたいと思っています。
心がざわざわしていても、子どもを膝に乗せるとスッと落ち着くことがよくあるんです。だから、僕にとっても読み聞かせは大切な時間。いつまで読み聞かせさせてくれるか分かりませんし(笑)、この時間を大切にしたいと思います。
まんが家・イラストレーター。著書に、まんが「ほわころくらぶ」(KADOKAWA)、絵本「うんころもち れっしゃ」「そっとね」(共にリトルモア)。雑誌「りぼん」でも連載中。
ウェブサイト http://www.echigawanoriyuki.com/
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えちがわのりゆきさんの連載「センチメンタルおとうたん」