2019年11月8日

お話の世界に一緒に入っていく大切な時間。杉浦さやかさんの絵本の読み聞かせ【うちの読み聞かせ・1】

絵本の読み聞かせ、気になるあのママ・パパは、どんなふうに楽しんでいるの? 親子の読み聞かせについてお話をうかがう新連載がスタートします。第1回目はkodomoe本誌やウェブの連載でもおなじみ、イラストレーターの杉浦さやかさんです。

喧嘩のあとに読み聞かせをせがまれたことが。
小さくても、絵本の力がわかっていたんですね。

1歳半。いっちょまえに読んでる風でも、逆さまですよ。

――連載にも登場しているふきちゃんは、いま6歳ですね。絵本の読み聞かせは、いつごろから始めましたか?

娘が1歳くらいからでしょうか。小学校に入学するまでは、毎晩寝る前に1〜2冊読んでいました。集中して聞けるようになったのは2歳ごろからだったと思います。2歳のこだわり期に入ったころは、気に入った絵本を毎日2回も3回も繰り返し読まされました。

――読み聞かせの絵本は、どうやって選んでいるんでしょうか?

ズバリ私が読みたいものです(笑)。 通っていた保育園の通園路に大きな図書館があり、8〜10冊ほど借りてはいろんな絵本を読み聞かせました。娘が選ぶものはわずかで、ほとんどが私の好み。娘が好きそうなテイストももちろん加味しますが、読んでいる自分がワクワクする絵本が読みたくて……。好きな絵本だと、聞かせる時の熱の入りようが全然違いますよね。雑誌で気になった絵本紹介を見つけると、スマホのメモに記録して、それを参考に探しました。

――読み聞かせをするときに、決めていることはありますか?

一晩2冊まで。 寝るのがどんどん遅くなっちゃうので、そこは無理やり約束していました。

――これは読み聞かせをした影響かな、と思うことはありますか?

よくセリフを言いながら一人でおままごとをしているのですが、そのストーリーテリングが見事なほどで。物語やシチュエーションを作る力は我が娘ながらすごいなぁと思います。 それは、絵本がいつも身近にあったからかもしれません。

ほかにも、3歳になったころ、母娘で喧嘩したあとに、まだ怒りながらも自ら絵本を差し出して、読み聞かせをせがまれたことがありました。 こんなに小さくても、絵本が気持ちを鎮めてくれるのをわかっているんだな、 自分で気持ちを切り替えようとしていてすごい! と感心したものです。

――ところで、杉浦さんご自身は、子どものころ読み聞かせをしてもらった思い出はありますか?

おもちゃは全然買ってくれなくても、絵本だけはたくさんある家でした。 母が趣味で絵を描く人で、マリー・ホール・エッツや、フェリクス・ホフマンのラプンツェルなど少し渋かったり美麗な絵本が多かったのは、母の好みだったと思います。 読み聞かせは、寝る前に布団の中で、2つ上の兄と並んで川の字になって。母が定期購読していた「暮しの手帖」の中の、藤城清治さんの影絵のお話をよく読んでもらいましたね。

5歳くらいのときのことでしょうか、6つ上の姉が、『長くつ下のピッピ』のような元気な女の子を主人公に童話を書いていて、 何も書いていないノートを開いて、「お姉ちゃんにしか字が見えないんだよ」と言って即興でお話を読んでくれたことがあって。 普段あまり相手にしてもらえなかったので、すごく嬉しかったことを覚えています。

そればかりを読んでほしがった、2〜3歳の頃のお気に入りの3冊

――では、杉浦さんがふきちゃんに読み聞かせた思い出の絵本3冊を教えてください。

いちばん読み聞かせに夢中だった2〜3歳の頃のお気に入りの3冊をご紹介します。 今はお気に入りがありつつもいろんな本を読みたがりますが、その頃はとにかくそればかりを読んでほしがりました。 この3冊は私も好きな絵本で、何度読んでも苦痛ではなかった……かな(笑)。3冊とも食べ物の本。おいしそうな絵本はやはり強いですね。ここ2年くらいずっと大好きな絵本も、どいかやさんの『ねこのかあさんのあさごはん』(小学館)ですし。

『ぼくのぱん わたしのぱん』
(神沢利子/文 林明子/絵 福音館書店)

私も小さいころ大好きだった本で、独身時代に懐かしくて買い求めたもの。 意味がよくわかっていない時から夢中でした。 林明子さんの美味しそうなパンの、絵の力だなぁとつくづく。 3歳になる直前に、地域センターの親子パン教室に参加して、一緒にパンを作ってみました。

2歳11か月。親子パン教室で、ロールパン作り

『おさるのケーキやさん』
(安西水丸/作 教育画劇)

私の師匠、安西水丸さんの絵本。 『がたん ごとん』も好きでしたが、何度も読まされたのはこっち。 トビラのおさるのひょうきんなポーズに、飽きもせず必ず笑っていました。 生前水丸先生に「画像検索しますか?」と聞いたら、「そんなもんしないよ」とおっしゃったように、 実に自由にデフォルメされた動物たちですが、その圧倒的な絵の強さが幼児にも伝わるんだなぁと感動していました。

『おべんとう だれと たべる?』
(あずみ虫/作 福音館書店)

今でも好きですが、2歳の時に本当に夢中で、この本が枕元にないと、「おぬんと(お弁当)、な〜い!!」と絶叫して 泣くほどでした。自分でお弁当をレイアウトできる切り抜きページが付いていて、それで遊ぶのも大好きでした。

2歳2か月。『おべんとう だれと たべる?』とぬいぐるみ達を総動員して、2階の寝室へ。

――絵本の読み聞かせは、杉浦さんにとってはどんな体験になったのでしょうか。

読み聞かせを始めた頃は、照れがありおそらく一本調子だったのですが、だんだん吹っ切れて、 おじいさんの声や子どもの声など、なりきって読むのが楽しくなりました。 娘が小学校1年生になった今も、寝る前の読み聞かせは細々と続けています。 でもふとんに寝転がって自分で読むのに夢中で、そのまま時間切れで電気を消すことも。

面倒だなぁと思ったこともありましたが、いざ終わりが見えてくるととても寂しいものですね。 ひとつのお話の世界に一緒に入っていく感覚は、今思うととても大切な時間だったなぁと思います。

杉浦さやか Sayaka Sugiura
1971年生まれ。日本大学芸術学部卒業。在学中よりイラストレーターとして仕事を始める。 著書に『えほんとさんぽ』『おさんぽ美術館』『おきにいりと暮らすABC』『おやこデート』(白泉社)『世界を食べよう! 旅ごはん』『すくすくスケッチ』(祥伝社)ほか多数。「月刊MOE」「kodomoe」をはじめとする雑誌や、書籍など多方面で活躍。現在、6歳の娘・蕗と夫と3人で東京に暮らす。
親子で楽しむ季節のあれこれを綴った、新刊『おたのしみ歳時記』(ワニブックス)が11/24に発売予定。

杉浦さやか新刊プロジェクト(祥伝社) https://www.shodensha.co.jp/ssp/
杉浦さやかTwitter https://twitter.com/saa_aya

杉浦さやかさんの連載「おやこ プチプラごっこ+ plus」

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