2020年9月25日

産後3か月で復帰!意外とフレンドリーではないアメリカの産休制度【教えて!世界の子育て~アメリカ~】

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海外ではどんな子育てをしているの? 日本から離れて子育てをするママたちに、海外でのようすを教えてもらう「教えて! 世界の子育て」。
場所や文化が違うと、子育ては違うのでしょうか。日本での子育てや生活と同じことや違うこと、各国からリアルな声を伝えてもらいます。

アメリカで子育てをする由美子さんは、5歳の女の子ママでありロサンゼルスの大学病院で看護師をするワーキングママ。今回は、アメリカの産休制度について紹介してくれます。由美子さんが、意外にもフレンドリーではないのかも!? と感じたアメリカの産休制度とは?

実はフレンドリーではない!?
アメリカの子育て制度

こんにちは。あっという間に9月に入り、新学期がスタートしましたね。
アメリカはこの夏、新型コロナウィルス感染者・死者数が世界一となってしまいました。カリフォルニア州の感染者数もニューヨーク州を抜いて、全米第一位。そのため、遊園地や映画館、プール、テーマパークなど、本来夏休みに子どもを連れて遊びに行ける場所は閉鎖されたまま、いまだにソーシャルディスタンスは続いています。

長期旅行にも行けずステイホームが多くなった日々を豊かにするため、この夏、行き場のない子猫2匹を受け入れることで、我が家に癒やし旋風が巻き起こりました。5歳の娘は、すでにオーナーシップの精神を発揮し、子猫たちのお世話をしてくれています。そんな娘に、子猫たちもすっかりなついて、夜も寄り添って寝ています。

さて今回は、コロナ禍に関わる子育て情報から離れ、アメリカの子育て制度についてお話ししたいと思います。
実はアメリカは先進国の中でも、政府が補償する「有給の産休制度」を持っていない唯一の国。子育て支援難国といっても過言ではないほどです。

アメリカの国の法律として、産休制度には Family and Medical Leave Act(FMLA)と言われる育児や介護に関する家族・医療休暇法があり、要件を満たすことで適用されます。
産休は「無給で12週間」保証されています。と言っても、最高12週間休業をしても解雇はされないということで、経済的な援助が保障されているわけではありません。

一方、国の法律以外にそれぞれの州によっても産休制度があります。今後施行される予定の州もありますが、50ある州と特別区のうち、有給の産休制度を取り入れているところは2019年時点で4つの州のみ。
なぜか私は出産するまで「アメリカは全米一律、有給産休制度がある」と思いこんでいたので、そうではないことに驚き、そして偶然にも有給産休制度を州法として保証している数少ないここカリフォルニア州で出産できたことはラッキーでした!

産後3か月で復帰!意外とフレンドリーではないアメリカの産休制度【教えて!世界の子育て~アメリカ~】の画像1

産後3か月で復帰!意外とフレンドリーではないアメリカの産休制度【教えて!世界の子育て~アメリカ~】の画像2

妊娠34週目頃、安産祈願と出産前祝いで産まれてくる赤ちゃんを喜びのシャワーで迎えてあげるベイビーシャワー。食事を囲んでベイビーに関わる面白いゲームをしたり、みんなからのプレゼントを開けて披露します

アメリカの
有給産休制度とは

アメリカの有給産休制度は少し複雑です。

カリフォルニア州のPaid Maternity Leaveと呼ばれる「有給産休制度」は2種類あります。この2つを繋げても、産後の産休はたったの12週間。産後3か月以内に仕事に復帰しないと、仕事の保証もなければお給料ももらえないというわけです。

2種類のうち、まず最初に適用されるのが State Disability Insurance (SDI)といわれる州からの「障害保険」です。取得できる期間は、出産予定日の4週間前から産後6週間まで(帝王切開の場合は産後8週間まで)。私は帝王切開だったため、産後8週間まででした。
この期間お給料の約55%が支給され、会社によっては残りの45%をカバーしてくれるところもあります。
ただし、最初の1週間は申請期間とみなされ保険がすぐにおりないので、その間は自分のSick Day(病欠:病気の有給休暇、一般の有給休暇とは別に取ることができる)を使って申請がおりるまでの期間をつなぐ人もいます。

このSDIを使い切ると、次に適用されるのが Paid Family Leave (PFL)といわれる「有給家族休暇」です。先のSDI を取った場合は申請期間なしですぐに適用され、最長6週間まで休暇を取得することができます(2020年からは8週間へ変更)。この期間は分散させて取ることも可能です。

これらの期間以上に休みたい人は、はじめに述べた国の連邦法FMLAか、それと同等の州法 California Family Rights Acts (CFRA) による「無給」の産休制度を申請して産休期間を延長することが可能ですが、多くの人は有給である病欠などの有給休暇を利用していると思います。

アメリカの産休日数は
平均で10週間ほど

アメリカ全土でみると、産休を取る日数の平均は10週間ほど。そもそも最初に書いたように、国の制度では「産休は無給」なので、みんなそうそう休んでいられず、仕事復帰せざるをえないのが現実のようです。
たとえ州からの障害保険(SDI)がおりたとしても、お給料の55%ではやっていけないという人も多く、妊娠36週目からは産休に入らず、出産ギリギリまでお仕事を続ける人も多いアメリカです。

産後3か月で復帰!意外とフレンドリーではないアメリカの産休制度【教えて!世界の子育て~アメリカ~】の画像3

妊娠36週目の産休に入る直前。職場の病棟にセラピー犬が来てくれて、大きなお腹を抱えての記念撮影

私の妊娠・出産はかれこれ5年前。
当時はカリフォルニアの小児科専門病院で入院患者数が60人近くという忙しいNICU(新生児集中治療室)の病棟勤務でした。産休は36週目から入り、産休延長を希望したけれど職場が忙しいという理由で却下され、産後3か月で泣く泣く復帰。
そのため、産休から仕事復帰までの間は、本当にこの上ない至福のときでした。

産後3か月で復帰!意外とフレンドリーではないアメリカの産休制度【教えて!世界の子育て~アメリカ~】の画像4

妊娠33週目の頃

当時、パートタイムの同僚などは、病欠や休暇時間もあまり残っていないため、驚く事に6週間で仕事復帰する同僚もいましたが、現在の職場では産後12~24週間、つまり3〜6か月程で仕事復帰する同僚が多いです。

正直、出産するまでアメリカは「働く女性にとって育児環境や支援は整っている」と思っていたけれど、意外に支援は乏しく、悲しい事に先進国で最下位と言われているのも納得です。おまけに、保育料も月平均1000ドル、日本円で約10万6500円(8月25日現在)ほどかかり、懐にも厳しい……。
意外と手厚い日本へ帰国するたび、日本のママがうらやましく、日本での子育てに憧れます。

【参照サイト】

・ユニセフ 子育て支援策(2019年レポート)
https://www.unicef.or.jp/news/2019/0087.html

・有給の産休を取り入れている州について
https://www.nationalpartnership.org/our-work

・有給家族休暇について
https://www.edd.ca.gov/Disability

・産休取得について
https://www.thebalancecareers.com

 

産後3か月で復帰!意外とフレンドリーではないアメリカの産休制度【教えて!世界の子育て~アメリカ~】の画像5今回の海外ママは
由美子さん
アメリカ留学中に夫と出逢い、大学卒業後、2年間の遠距離恋愛を経て国際結婚。今年の夏、24年目を迎えます。 元ボストン在住、アメリカ某航空会社の乗務員でしたが、アメリカで起きた9.11をきっかけに転職し、現在はロサンゼルスの某大学病院で看護師をしながらワーキングママとして子育て奮闘中です。5歳の女の子のママ。

Photo by Adobe Stock

 

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