2019年7月30日

集中力が自然と身につく! 3歳までにできること【ノンちゃん先生の「おうちでモンテッソーリ」・5】

モンテッソーリ教育を日米の保育現場で実践してきた小原希美さん(ノンちゃん先生)が、子育てに役立つモンテッソーリ的考え方をわかりやすくご紹介。子どもとの向き合い方がぐっとラクになります♪

「子どもにいろいろな経験を」と聞くけれど、お金をかけずにできることって?

【ノンちゃん先生の「おうちでモンテッソーリ」・5】の画像1

小さいころから多様な経験をさせることが重要だということがよく言われています。そうお考えの方も多いのではないでしょうか。

モンテッソーリ教育においても、乳幼児期の経験がその後の学びの土台となることが立証されています。だからといって、専門の施設や旅行に連れて行くにもお金がかかるし、いくつも習いごとをさせるのは経済的にも時間的にも負担が大きくなります。 そもそも、どんな経験をさせてあげればよいのでしょう? 実は、大人が思っているよりもずっと“普通”な経験で十分なんです。

坂道の上り下りが大切な経験!?

 何年か前に近所の遊歩道で、お父さんと1歳くらいの女の子が散歩をしている姿を見かけたときのこと。

2人は少し先にある公園を目指していたようで、その女の子はよちよちとお父さんの後ろを歩いていきます。きっとその女の子は最近一人で歩けるようになったのでしょう。なんとも楽しそうに歩いていたのですが、よく見ないと分からない程のちょっとした坂を上り終えた瞬間、彼女は振り返ってその坂を下ったのです。そして2度、3度と、自分の足取りを確かめるように上り下りを繰り返しました。

その後、先を歩いているお父さんの方を満面の笑みで振り返り、キラキラとした熱い視線を送ったのです。 そのときの表情を見ていたら、女の子の「ねぇ、今の見てた!?」という声が聞こえてきそうでした。でも、そのときのお父さんは、その先にある公園に早く到着することを意識していたのでしょう。その目的意識がじゃまをしたのか、その女の子の嬉しそうな表情に気づくことはありませんでした。

大人の価値観からすると、高いお金を掛けて大きなアミューズメントパークや専門の施設に行くことに価値がある気がしてしまいますよね。でも子どもにとっては、このエピソードにもあるように、どんな場所であれ、自分の身体を意思通りに動かせたことが大きな喜びであり、価値のあることなのです。

3歳までの体づくりで深い集中に入っていける

モンテッソーリ教育では0~6歳は、 人間としての基礎を作る時期とされており、身体はもちろんのこと、五感を研ぎ澄ませたり、語彙をたくさん吸収したり、数の概念を身に付けたりしていきます。また、この0〜6歳をさらに細かく分けると、0~3歳では自分の意思通りに動く身体づくり=運動が大きなテーマで、3〜6歳はその思い通りに動くようになった身体を使って、数や言語、文化と言った知的な分野に進んでいく時期とされています。 運動と言っても、スポーツ選手を目指すような運動ではなく、ベビーカーを降りて自分の足で歩いたり、坂や階段の上り下りや、家事のお手伝いといった日常生活の中での運動です。

私がこれまで見てきた中でも、0〜3歳の間に身体づくりをしっかりやってきたお子さんほど、その後の知的な分野での伸びを感じていました。体幹がしっかりしていることで、より深い集中へと入っていけるようです。

バギーの移動ばかりにならないように自分で歩く時間を増やしてみたり、階段を下りるときにすぐ抱っこしないで見守ってみたり……いつもじゃなくてもよいので少し意識してみてください。見守る方の大人はちょっと大変かもしれませんが、子どもは頑張った分だけその成長を見せてくれるはずです!

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撮影/花田梢

小原希美(おばら・のぞみ)
幼稚園教諭としてモンテッソーリ教育と出会い、専門知識を深めるために単身渡米。創設者マリア・モンテッソーリの流れを汲む本場の専門教育を受け、教師資格を取得。その後も米国内にて3年間乳幼児施設に勤務し、経験を積む。15年間の教諭・保育士経験で延べ2,000名以上の子どもたちと関わる。 恵比寿にある『はじめの親子教室』ではモンテッソーリ教育をご家庭でも手軽に取り入れられるよう工夫した独自メソッドにて日々指導にあたっている。
はじめの親子教室 https://hajimenooyako.com/
Instagram @hajimenooyako 

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