2020年11月19日

つらい腰背部痛を和らげるには?【妊娠中のトラブルシューティング・9】

妊娠するとカラダのあちこちが痛かったり、お腹が張ったり……。マイナートラブルが絶えないものの、その対処法がわからない人も多いはず。そこで、産前産後のママの身体を整える助産師の是枝貴子さんが、妊婦の痛みや辛い症状のメカニズムとその対処法をレクチャーします。Vol.9は大きなお腹で負担がかかりやすい、腰背部の痛みについて解説します。
モデル/福本マオ 撮影/志田三穂子 取材・文/野々山幸(TAPE) 絵/原田晃 スタジオ/マミースタジオ 協力/newR clothes

妊婦に腰背部痛が起こりやすい理由とは?

腰や背中の痛みや辛さを訴える妊婦さんはとても多いです。特に、お腹が大きくなる妊娠後期に痛みが強くなる傾向が。妊婦さんの腰や背中が辛くなりやすい原因は主に2つ。ひとつは出産の準備のために分泌されるホルモンの影響で、骨盤を支える靭帯や筋肉が緩み、その結果腰や背中の筋肉に負担がかかります(詳しくはVol.1参照)。もうひとつは、お腹が大きくなることで重心が変わり腰や背中を反るような姿勢となり、絶えず背中が張りやすい状態になります。

お腹が大きくなると重心が前へ移動し、背面の筋肉で後方へのバランスを取ろうとするため腰背部がこわばる。

腰背部痛の人が控えたいNG行動

以下の行動をついついやってしまいがちな方は注意してくださいね。
□長時間立ちっぱなし、座りっぱなしなど同一姿勢でいることが多い
□重たいものを持って負荷をかける
□(経産婦の場合)上の子どもの抱っこ
□掃除機をかけるなど、中腰の姿勢で長時間いることが多い
□高いところの物の出し入れ

マミーサロンを訪ねる妊婦さんたちの声
「背中が張りすぎて、呼吸が浅くなる」
「背中を丸めたくなるけれど、お腹があるので丸められない」
「背面に痛みがあるので、寝る体勢が定まらない」
「寝ても身体の緊張感が取れない」
「上の子を抱っこで、背中や腰が痛くなる」

腰背部痛を和らげる対策その①:猫のポーズで背中を丸めて伸ばす

腰背部痛を軽減するためのポイントは背中や腰の筋肉の緊張を和らげること。こわばった筋肉を優しくストレッチしていきましょう。

四つん這いの状態で、両手足は肩幅ぐらいに自然に開きます。背中はまっすぐ、ニュートラルな状態からスタート。息を吸って、吐きながら背中全体を丸めていきます。あごはひいて、目線はおへそを見るイメージで。背中を丸めるときに、腕が曲がらないように注意を。5秒ぐらいをかけて丸まり、呼吸に合わせてまたニュートラルな状態に戻して。

次に背中がまっすぐの状態から息を吸って、吐きながら背中全体を反らしていきます。あごを上げて、顔をまっすぐ正面に向くイメージで、背中をしならせるように。5秒ぐらいをかけて反り、呼吸に合わせてまたニュートラルな状態に戻して。丸める・反るを1セットで、2〜3セット行いましょう。決して無理はしないでくださいね。

腰背部痛を和らげる対策その②:足を左右に倒す

腰背部痛を軽減するために、普段動かさない方向にも優しくストレッチをかけてあげます。

仰向けになって軽く膝を立てます。左右どちらからでもいいので、ゆっくり両膝を揃えた状態で倒します。倒している方と反対側の手をまっすぐ上に伸ばして、軽くバンザイするような形に。自然な呼吸をしながら行ってみて。足を倒した状態で、無理のないところで力をキープ。止まった状態で3〜4呼吸したら、まっすぐ膝を立てた状態に戻しましょう。反対側も同じように行ってみて。
左右やってみると、体の癖や体質によって、人によって倒しやすい方、倒しにくい方が見つかるはず。倒しやすい方を1回、倒しにくい方を3回ほど行うと、左右のバランスが取れるのでおすすめです。

腰背部痛を和らげる対策その③:寝姿勢を整える

一般的に妊婦さんに良いとされているシムス位ですが、実際にやってみると楽だという妊婦さんはあまりいません。特に腰背部痛があると、上の写真のように体幹がねじれて腰が反ってしまい、かえって負担が大きくなることも。腰の反りをできるだけなくすような姿勢を取ることが大切です。

クッションや枕などを重ねて、体と同じぐらいの高さを作ります。足を置いたときに、腰がねじれない程度の高さが◯。この体勢ならば、腰の筋肉がリラックスした状態で寝ることができます。また、横向きで寝るときに枕が低すぎると下側の肩を圧迫してしまい負担大。頭と肩の差をしっかり埋められるぐらいの、ボリューム感のある枕を使いましょう。

その他、腰背部痛を和らげる方法としては以下もおすすめ。
腰や背中をホットパックやお灸などで温める(Vol.4参照)
骨盤をサポートするベルトで骨盤を支える(Vol.2参照)
お腹の位置が低いタイプの方はお腹を支えてみる(Vol.5参照)
□ペタンコ靴よりも2.3㎝のヒールがある方が◎
もしくはアーチサポート機能のインソールを使用するのもOK(Vol.2参照)
足を壁にくっつけるポーズ(Vol.4参照)

妊娠中はお腹が大きくなることで体の自由が効かなくなり、思いがけないところに痛みが出ることがあります。特に腰背部は、面積が大きく体のさまざまな活動に影響するので、できる限り痛みは抑えたいところ。今回お伝えした腰背部痛を和らげる対策は、マミーサロンでも実際に妊婦さんたちにおすすめしている方法。ぜひ、無理のない範囲で取り入れてみてください。

是枝貴子
これえだたかこ/産前産後のママとベビーのためのヘルスケアサロン「マミーサロン」主宰。助産師、鍼灸師、フットケアトレーナーなど数多くの資格を持つ。産科勤務時代、ママのカラダを助けたいと一念発起し骨盤ケアを学ぶ。25000人以上の妊婦、産後ママをケア。現在月200名以上の施術に従事。
5歳の男の子、1歳の女の子のママ。仕事と子育てに追われる日々を綴るブログやインスタも人気。
マミーサロン http://www.mommy-salon.com
ブログ https://ameblo.jp/diary-mommysalon
Instagram https://www.instagram.com/mommy_salon_kore/?hl=ja

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