2018年10月10日

脳科学者・瀧靖之先生「やる気のスイッチを押せる子を育てるには、やっぱり親の力が不可欠!」


楽しいから知りたい!という気持ちを後押ししてあげる


――普段から子どもの好奇心を伸ばすためには、
どんな環境を整えてあげるといいでしょうか?

子どもたちが何かを習得するときに大事なのは、「ファミリアリティ」と呼ばれる、親しみ度です。脳が一番伸びる時期に、いろいろなことに興味、親しみを持ってくれるよう働きかけるといいですね。ものごとは、0と1の差が究極に大きいので、まったくやってないよりも、ちょっとでもやっておくのがいい。
私の子どもには図鑑を与えていますが、自然科学に対するファミリアリティを上げたことは、非常に大きかったなと思っています。最初は親しみを持つだけだったところから、もっと知りたいという知的好奇心が伸びていくと、もうすさまじい勢いで、言葉も覚えるし、ひらがな、カタカナはもちろん、漢字まで覚え始めているんです。6歳で。また、なんでもかんでも読めるようになると、ほかのところに興味が広がっていくんですね。

それから、バーチャルとリアルを結びつけるというか、図鑑で見たものを、今度は本物を見せに、博物館だったり、野山だったりに連れて行ってあげることを繰り返していると、世の中に対する興味がものすごく広がっていきます。一緒に図鑑を見ているはずなのに、博物館に行ってみて、私も知らないような深い話が、ポンポン出てくるんですよ。人の好奇心って、とてつもなく伸びるものなんだなと感じました。
 

――ひらがななどの勉強を、楽しくやるコツはありますか?

文字は、まず読み聞かせなどで、言葉を音から覚えていくのだと思います。そのうち絵本や図鑑などを見ながら、音と文字をリンクさせていきます。文字うんぬんより、これも知的好奇心だと思うのです。たとえば、3歳の子が恐竜図鑑を見ても、恐竜の名前なんて読めませんよね。でもそのうち、自分で読みたくなると、文字を覚え始めるんです。

重要なのは、子どもにとって楽しい状態を作ること。「快・不快」と「記憶」には、強い結びつきがあります。記憶をつかさどる「海馬」と感情をつかさどる「扁桃体」は隣り合わせになっていて、非常に密な情報の伝達をする繊維連絡があるんです。ですので、楽しい状態を作ると、勉強もより覚えやすくなると脳科学的によく言われています。

もちろん文字に楽しく興味を持ってもらおうと、図鑑を買って、子どもにハイッて渡して、親がスマホをいじってたら説得力ないですよ。図鑑は、むしろ大人が読むといいんです。昔とは変わっている事実もあって、おもしろいですから。まず大人が楽しんで読んで、その横に子どもをちょこんと座らせるだけでもいいんです。子どもは、大人から楽しさを学んでいきます。結局、教育の本質は子どもに何かさせるんじゃなくて、大人がその姿を見せて一緒にやるということで、子どもが自然に学んでいことにあります。

→子どものモチベーションを保つには?

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