お笑い芸人 くわばたりえ「困ったときは『助けて』と言える子に育ってほしい」
街で怒っているママがいたら「大変やな」って思わないと
くわばたさんのブログは、現在登録読者数が21万人以上。妊娠、出産、子育ての悩みや喜びを等身大の言葉でつづり、アメブロのママブロガーランキングでは常に上位にランクイン。全国の読者からのコメントも、すべて自身で目を通している。くわばたさんと気軽におしゃべりできるイベント「メガネのママ友会」も各地で定期的に開催、ブログファンを中心に毎回たくさんの親子が集う。
――見る人の多いブログだけに、時には心ないコメントもあると思いますが、コメント欄を誰でも投稿可にされているのは、励まされる言葉の方が多いからですか?
というよりも、コメント欄を読む人が多いんですよ、私のブログ読者って。だからそれがなくなったら読んでる人が困るかなと思って。たとえば、「これどう思う?」って言ったら、ひとつの問いに対して100人全員答えが違う、それも私は勉強になってて。「育児って大変やね」みたいなこと書いたら、「私もこんなんで大変で、あんなんで大変で……」って書いてるのをみんなが読んで、「あ、みんな大変なんや」って思えてたりとか。
――ママ友会は、最初はどういうきっかけで始めたんですか。
元々は私自身、全然ママ友がいなくて。ママたち同士でしゃべる機会があればいいなっていうので始めてみたんです。その場でいろんな話が聞けるのがありがたいし、参加するみんながその日を楽しみにしてくれているから、やってよかったなって。で、みんな私を知ってる、ブログを読んでくれてるっていう共通点がまずあるから、しゃべりやすいみたいで、各テーブルで結構みんな盛り上がっていて、「え、元々友達なん!?」って言いたくなるほど。
結構長いことやってるんですけど、いろんなママとお話しして楽しかったっていう人や、そこでお友達になって一緒に家族旅行に行ったりする人もいるし。今はみんな子どもが小さいけど、子どもが中学生くらいになったら、夜のママ友会をしたいなと思ってるんですよ。子どもをお父さんに預けてママだけで飲み会したら、めっちゃおもろいんちゃうかな、って。
ママ友会では、みんなほんまに楽しそうにしゃべってるんですね。で、あるとき赤ちゃんのいるママに「夜は寝てる?」って聞いたら「もう全然寝ないんですよ、30分おきです、毎日」ってニコニコ笑って言うから、「いや、めっちゃしんどいやろ」って、「別に無理して笑わんでいいで」って言った瞬間に、そのママ、号泣したんですよ。「もうしんどいんです」って。そのときに、笑ってるけど本当は辛いのを我慢してる人っていっぱいいるんやなと思って。我慢してたのか、無理してたのか。この前も熊本で、イヤイヤ期の上の子と生まれたばかりの赤ちゃん抱っこしてるママがいて。で、その上の子がよその子をパンッてたたいたんですよ。そしたらそのママが「ごめんなさいね」って、パチーンって自分の子の顔をたたいて。ほんで、私が「え、お子さん何歳と何歳? 大変やねえ」って言ったら、「そうなんですよ〜。もう最近、子どものことすぐたたいちゃって」。「まあ、大変やもんなあ」「……たたきたくないのに、たたいちゃうんです。ウワ〜ッ」て、とんでもない号泣と嗚咽。それで、そのママと一緒にごはん食べたら、初めはすごく暗い顔やったのに、帰るときは超笑顔で帰って行ったんですよ。だから、ほんまにそのとき思いました、しんどいことを人に話す、誰かに話を聞いてもらうことって、大切やなって。
だからよく街で、すっごい子どものことを怒ってるママがいるけど、そんなママほど、ほんまはすごい闇を抱えてるんやということをわからないと。「なにあのママ!?」でなくて、「うわ、あのママ大変やな」って思わなあかんな、と思って。
家族で偉いのはお父さん
姉弟で偉いのはお姉ちゃん
――ご自身がママになってから、ご両親への気持ちは、どんどん変化していきましたか?
そうですね。私、二十歳になったときに、「今まで育ててくれてありがとう」、嫁ぐときにも「今までありがとう」って言ったけど、どっかで形式上言ってた感じなんですよ。子どもができてからですね、心の底から「ありがとう」って言えるようになったのは。すっごいいろんな思いして育ててくれたんやな、って。特に、ブログとかでお父さんのことよう書いてますけど、うちのお父さん、育児はするんですけど、家事はまったくしない九州男児やから。お母さん大変やったやろうなって思うんです。でも、お父さんは商売やってるからしゃべりも上手やし、マンションの会長みたいな役も20年近くボランティアでやっていて、それはすごいなって思って。
お母さんがいつも言うのは、絶対に旦那さんを、お父さんを尊敬しなさいと。実家では、お父さんの椅子には子どもが座るもんじゃないとか、お父さんのお茶碗とお椀は食器棚でもみんなより一段上に置いてるとか。だから子どもたちも自然と「お父さんは偉い人」となって。お母さんがお父さんの前を歩いてるとこ、一度も見たことない。必ず後ろを歩くようにしていて、私も今そうしてます。
桑波田家は女、女、男の3姉弟なんですけど、その中で長女の私が一番偉い、というふうに両親が育ててくれてた。姉弟の中で一番偉いのはお姉ちゃん。たとえばウインナーを何本ずつって分けるときは、私が必ず一番多くて。
――そのお姉ちゃんがお笑いの道に進みたいと言ったときは、反対はされませんでした?
無茶苦茶されました。特にお母さんに。「恥ずかしい、桑波田家の恥」みたいに、泣きながら「やめてくれ」って言われたけど、私が「どうしてもしたい」って、長い手紙をお父さんに渡したんです、高校卒業する頃に。もともとお笑いはずっと昔から見てたんですけど、なんばグランド花月に家族で行ったときに、初めて生の漫才を見て、「なんかすっごい楽しそう」と思ったんですよ。で、「あ、あそこで立って漫才したいな」と思って。それが中学のときかな。
――人前で話すことが好きで?
真逆です、超人見知りで。だからうちのお母さんは「そんなのお姉ちゃんにできるわけない」って感じでしたね。NSCってお笑いの学校でも、全然人としゃべれなかったですね。最近ですよ、人見知り治ったのは、この5年ぐらい。なんか図々しくなっちゃって。それまでは全然、知らない人とはしゃべられなかった。しゃべったとしても、しゃべれる自分を演じてたんです、一生懸命。まあだんだん、こんなんなっちゃって、アハハハハ。
――5年ぐらいっていうと、ちょうどママになってから。
そうですそうです。お笑いの人って結構、人見知りの人多いと思いますね。カメラ回ってるときはべらべらしゃべるけど、楽屋では無口な人たくさんいるし。
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