2018年8月3日

【第3回】年中・年長でまた号泣!「行きたくない!」を楽しみに変えるには?

「行きたくない!」を怒るのでなく、楽しみに変える

日下:
朝は泣かない子でも、「行きたくない」「帰りたくない」と
ぐずぐずっとするときはたくさんあります。
たとえば、「靴下はきたくなーい」と言われても、
「早くはきなさい」と叱ったり、「はいたら、お菓子あげるから」と言って、
なんとか自転車に乗せるというお母さんもずいぶん見かけました。
靴下をはく気になるまで子どもの気持ちを待ちたいけど、
そこまでは待てない…というお母さんに、
何かほかの方法で子どもの気持ちをうながすことはできますか?

小林:
そうですね、待つことは大切ではありますが、やっぱり大人は忙しいじゃないですか。
だから、待つ時間を「遊びに変える」というのをおすすめしています。
遊びに変えちゃうと、やる気になって集中したりするんです。
でも必ず「一緒にやる」っていうのが基本になります。

日下:
「やらせる」じゃなくて「一緒にやる」なんですね。

小林:
そうです。たとえば、いつも靴をはきたがらない子に、
「この靴をはいたら、○○に飛んでいけるかも!」というごっこ遊びにしてみるとか、
あとは「ここまでやったら、こっからは○○さんが手伝ってくれるよ」って言って、
指でつくったオオカミさんが来て手伝ってあげるとか、そういうふうに
ちょっとした遊びにしてあげると、それだけでスピードって格段に上がるものです。
ちょっとした手の遊びでいいんですよ。
二本指で歩かせるだけでも人のように見えますし、指でキツネの形を作ったり、
ピースすればウサギになります。
お母さんが「早くはいて」と言って全然聞かなかったときも、
指のオオカミさんが「ねえねえ」って話しかけて、
「早く靴をはいて一緒に遊ぼうよー」って言ったら、
それだけで履く子もたくさんいます。

日下:
確かにそうですね。
大人に言われるとプイッとするのに、好きなキャラクターのぬいぐるみで
「じゃあ、ぼくが〇〇くんのために魔法をかけるよ」なんて言うと、
のってきてくれる。
大人は一人二役ですからコントみたいになるんですけど、
頭では、お芝居だということがわかってるのに、
子どもはその世界に入ってしまうって不思議ですよね。

小林:
これは、親が言っても聞かないけど、先生が言えば聞くというのと同じなんです。
先生がすごいとか、先生が好きというだけでなくて、
喧嘩してたときも第3者が入ってきたら、ちょっと落ち着いたりするじゃないですか。
それと同じ発想なんですよ。
お母さんと子ども2人っきりの時間が長いご家庭は多いでしょう。
2人っきりだから、第3者なんて難しいっていうときにも、
手や人形といったものが使えます。

日下:
年中や年長になっても、これは使えますか?

小林:
使えます、使えます。
大きくなると、ごっこ遊びに冷ややかな言葉を送られることもありますが
実はそれを逆手にして、笑いとか楽しみに替えられると、4,5歳でも通用します。
「何やってんの」と言われても、すぐにやめないで「そんなこと言わないでよ~」と
そのままツンツン体をつついたりしているうちに、
「やめてよ(笑)」「一緒にいこうよ」となったりします。
人形に興味がなければ、「ここに、すぐ履けちゃうスイッチがあるよ」って
体をポチッと押してみるとかね。

日下:
まだ年長ぐらいだと、「楽しそう」を演出すれば、まだまだのってきますものね。
出かける先まで、「新幹線」になってみたり、「ミッション」を課してみたり、
遊びに変える方法は、いろいろと考えられる気がします。
「早く行きますよ!」と急かすよりは、ずっと効果的かもしれませんね。

POINT:
・子どもが慣れるのを待つより、安心できるまで大人が一緒に入ってあげる
・環境を整えてくれる、よく見てくれる保育士さんをチェック
・子どもを待つより、一緒に遊ぶことで気持ちを変えよう
・身近なものを使って第3者をつくることで、母子育児をラクに

小林さん直伝【手や指をつかって、遊ぶように誘ってみよう!】



聞き手:日下淳子
くさかじゅんこ/kodomoe編集ライター・元保育士・一児の母。親子と絵本と音楽をテーマに活動中。

イラスト:山川あかね
やまかわあかね/イラストレーター・布人形作家。インスタグラムにて育児日記を公開中。https://www.instagram.com/dummpuppe/

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