今週の無礼講デーには、バーバーイーツが登場!?【我が家のごはん日記/吉川愛歩さんちの食卓・3】
忙しいママにとって、日々の家事の中で悩ましいのがごはんのこと。適度に手を抜きたいけれど、家族には栄養のあるものをバランスよく食べてもらいたい。では、食にかかわるお仕事をしているママたちは、家族のごはんをどうしているの?
今月の「我が家のごはん日記」を担当いただくのはフード&ライターで、12歳女子と4歳男子のママである吉川愛歩さんです。今週は大忙しの吉川さん、外食あり、季節を感じるメニューもあり、そして恒例の無礼講デーにはバーバーイーツが登場!?
吉川愛歩さんちの食卓 #week3
1月もすでに半分が過ぎ、3週目のごはんです。今週はわたしのお出かけが多くて、外食が増えました。ふだん自分でつくることばかりなので、外食っていうだけでテンションが上がる! 日頃の自分の料理を見直したり、新しいヒントに出会える機会でもあるし、なにより最高の気分転換になるので、ひとりランチでも何を食べるか前日から考えたりしちゃいます。
<火曜日・朝>
二度見しちゃう写真ではじまってすみません。子どもたちより早く起きて、冷凍庫を開けたら目に入ったので、朝から内緒でアイスを食べました。わたしがこの世でいちばん好きな食べ物です。 子どもたちはもちろんいつもと同じ、ごはんとお味噌汁。なんかごめん。
<水曜日・朝>
小正月。今日は夕食がつくれないので、朝ごはんに小豆粥を炊きました。お粥に茹でた小豆と焼いたお餅を入れ、粗精糖をかけていただきます。七草のときと違ってお餅があるので、少しスープ感のあるお粥です。
季節や暦を感じられる食べ物は、なるべく取り入れるようにしています。それはただ単純に、好きだから。一年を経て同じ季節がめぐってきたときに「ああ、またこの時期が来たなあ」と思うことや、「そろそろこの食べ物がやってくるな」と楽しみに待つことが、ありふれていてぼんやり流れていってしまう日々の、差し色になる感じがするのです。
そうはっきりと思うようになったのは、まだひとり目を産んだばかりだったころ。当時わたしは仕事を辞め、子どもの世話に明け暮れていました。きのうと今日があまりにも変わらない日々で(それはとても平和なことでもあるけれど)、毎日おむつを換えて、毎日おっぱいをやって、世間は忙しそうに動いているのに、温室のなかに取り残されたような感覚で。今日が何曜日なのか、何月なのかを忘れそうになったとき、季節の移り変わりや暦に目を向けるようになったのでした。つまり、今日で13回目の小豆粥。12歳女子が0歳だったときにつくったときのことを思い出して、やさしい気持ちになった朝です。
<水曜日・夜>
今夜はお仕事で遅くなったので、帰りに火鍋を食べて帰りました。お野菜たっぷり。
こちらは実家にお預けした子どもたちの夕食。母が唐揚げをつくってくれたそう。
<木曜日・朝>
めずらしくチーズとハムのホットサンドの朝。12歳女子に少し小麦粉のアレルギーがあり、摂取量をコントロールしているので、パンやパスタはちょっぴり特別なごはんです。わたしはコーヒーとりんご。
<木曜日・昼>
お昼は、料理家さんによるキムチ教室へ。キムチと茹で豚をたっぷりのお野菜で巻いて、ランチにいただきました。
<木曜日・夜>
夜は高野豆腐を揚げました。だし汁に浸しておいてからフライにして、熱々で中がとろりとしたところを急いでいただきます。お惣菜はセロリの浅漬け、うどとにんじんのきんぴら、かぼちゃの煮たもの、青菜の煮浸し。
セロリやうどなどのちょっとクセがある野菜、子どもたちは食べるときと食べないときがあります。味つけや切り方で素材の香りが変わるので、個性を強く感じるときは食べず、そうでないときは食べるんだと思います。苦手だとわかっているものはあえて勧めませんが、食べたことのないものは「できたらひとくちは食べてみて」と言っています。
味の記憶って、おいしかったものより、すごく苦かったものとか、びっくりしたものの方が残っていませんか? はじめて食べた秋刀魚のワタ、苦味しか感じなかったビール、衝撃だったブルーチーズ。それをおいしそうに食べる大人と自分にはずいぶん距離があるんだなあ、って思ったものです。そういう味の経験からくる気持ちの動きも、大切にしたいな。
ごはんは酢飯にして、焼いたシャケと胡麻の混ぜごはん。本当はここに刻んだ紫蘇をたっぷり入れるのですが、4歳男子が苦手なので別々に。わたしはごはんの上に柚子の皮をちょっと削って。
<金曜日・朝>
保育園のおやつに出ておいしかったからと、お汁粉をリクエストされる朝。お汁粉なんて朝からつくれないよー! と言ったけれど、そういえば緑豆でつくったあんこが冷凍してありました。お餅を焼いて緑豆あんこをのせて、お味噌汁といっしょに。
緑豆はあっという間に煮えるので、とっても便利。うっすら甘いなあ、という程度の甘さで塩気がちょっと強めです。
<金曜日・昼>
ばたばたした日。お昼抜きを覚悟していたのに、料理家さんが撮了したロールケーキを出してくださり、おいしいお昼ごはんに。手作りのジェノワーズって大好き。
<金曜日・夜>
今週の無礼講デーには、母が参加。バーバーイーツだよと言って、漬け込んだスペアリブをたくさん持ってきてくれたので焼きました。ナイスネーミングすぎる。
その他メニューは、かつおぶしとにんじんのサラダ、スペアリブといっしょに食べるえごまの葉やセリやレタス。それから子どもたちがクッキー型ではんぺんをくり抜きはじめたので、それをごま油とお醤油で焼いて、同じくごま油で炒めた水菜の上にのせた謎の料理、冷凍庫で眠っていた残りものカレー。4歳男子にリクエストされたカリフラワーの豆乳スープ。残ってたかぼちゃの煮物も入れちゃうか、ってしたので、正しくはカリフラーとかぼちゃの豆乳スープです。あとはごはん、チーズ、茹でピーナッツなどのおつまみも。
そして燻製! 実はこのあいだ100円ショップで燻製キットを見つけ、うっかり買ってしまったので、庭でプロセスチーズとうずらの卵を燻製にしてみる夜。子どもたちが「できた? できた?」と蓋を何度も開けるもんだから、全然煙が充満しない! やっとのことでできました。おいしかった〜!
<日曜日・朝>
朝は時間がなくて、グラノーラ。オーツ麦にメープルシロップと米油を混ぜてオーブンで焼き、そこにナッツやドライフルーツを入れたものを常備してあります。疲れ果てて動けない朝も、「グラノーラ……」と言えば子どもたちが準備できるので楽ちん。
<日曜日・昼>
お昼はお仕事でした。 病気や障がいを持つお子さんや家族もいっしょに楽しめる場「arTeaTreaT」で、出張料理のお仕事を定期的にしています。ふだん外食が難しいご家庭の方も多くいらっしゃいます。いつもの野菜いっぱいのおうちごはんを作り、ブッフェのように好きに取っていくスタイル。
病気や障がいがある、って聞いてもはじめはうまく想像できなかったけれど、たとえば色に強い思いを持っていて、限られた色の食べ物だけ口にするという子がいたり、チューブで食事をするので、スープなら食べられるんですと言って召し上がってくださる方がいたり。
たくさんの人で食事を囲む場にごはんを持っていくとき、「キツネとツルのごちそう」っていうお話を思い出すんです。キツネが、ごちそうするよと言って出した平たいお皿のスープは、くちばしの長いツルには飲めず、ツルの家で出された筒の中のお肉をキツネは食べられないという、あれ。なんていじわるな話なんだろう! と、子どものころに憤慨したんですけど、ああいうことって日常の中にもあって、実はみんなが同じように同じものを食べられるって、そう簡単じゃないんですよね。でも、だからこそいっしょにおいしいねって食べられるものはなんだろうなって考えたいし、家でごはんをつくるときも、それぞれが楽しめたらいいなと思っています。
さて、次回は最終回。来週もやや忙しいので、「夕飯におけるスモールステップの法則」でごはんづくりを乗り切ります。それにしてもこうして記録してみると、ハンバーグみたいな子どもが喜ぶメニューがさっぱりなくて自分でも驚きです。来週も多分出てきません……。
フード/ライター。4歳と12歳の母。出版社で勤務したのち、フリーライターに。雑誌やweb、パンフレットや食品パッケージなどの調理と執筆の仕事をしている。ときおりオウチゴハンヤとして、お弁当のケータリングや出張料理を行う。野菜を中心にした、飾らない普段のごはんが好き。
Instagram @yoshikawaayumi