2020年1月17日

子どもに料理させるのが面倒ではない理由は……【我が家のごはん日記/吉川愛歩さんちの食卓・2】

 忙しいママにとって、日々の家事の中で悩ましいのがごはんのこと。適度に手を抜きたいけれど、家族には栄養のあるものをバランスよく食べてもらいたい。では、食にかかわるお仕事をしているママたちは、家族のごはんをどうしているの? 

今月の「我が家のごはん日記」を担当いただくのはフード&ライターの吉川愛歩さんです。12歳女子と4歳男子のママである吉川さん、お正月が過ぎて冬休みも終わり、子どもたちの給食もスタート。日々のごはんも通常運転に戻りつつあるようです。

吉川愛歩さんちの食卓 #week2

お正月があけ、3学期がはじまった週。

学校と保育園がはじまるとなにが嬉しいかって、給食さまの存在です。子どもたちが通う学校と保育園では、基本にごはんを中心とした和食があり、ときおりお楽しみメニューを用意してくださっていて、わたしも食べに行きたいくらい毎日素敵な献立なんです。

1日1度は給食で栄養満点の食事が摂れていると思うと、「ま、朝晩はお腹が満たされればいいさ」って、母の気持ちにもゆとりが生まれるんですよね。冬休みの毎食調理で疲れもあり、極力手抜きして過ごしたいモードです。

<火曜日・朝>

1月7日。七草粥を土鍋で炊く朝。

きのう箱根で買ってきた燻製たまごと、七草粥の朝ごはんです。葉は塩茹でして刻み、かぶや大根といっしょに炊いたお粥に混ぜていただきます。

お粥って、体調によってはスープのような水分量でつくることもあるのですが、わたしは割とお米の粒がしっかり感じられるのが好き。お米2合を3合分強の水で炊きました。

<火曜日・昼>

わたしだけになったお昼ごはんは、セリ丼。朝食べて残った七草粥に、さっと湯がいたセリを刻み、鰹節と胡麻をたっぷりかけてお醤油を垂らしたもの。七味と柚子胡椒も少しずつ入れます。セリってなんでこんなにおいしいんでしょう。

でも、こんなふうに野菜を食べるようになったのは、ハタチをゆうに過ぎてから。会社で働いていたころはそれこそ毎日牛丼かコンビニ、みたいな生活でしたから、人って変わるもんです。

<火曜日・おやつ>

冬のおやつといえば、焼きいも。

さつまいもを、濡らしたキッチンペーパーとアルミホイルで巻いてストーブの上に置いておけばいいだけなので、毎日のように焼いています。よく行くスーパーには6〜7種類のさつまいもがあるので、その違いも楽しみながら。子どもたちは柔らかくてとろんとしたシルクスイートが好き。

<水曜日・朝>

さあ、今日から普通の日。
朝ごはんは毎日ほぼ同じ、ごはんとお味噌汁です。

普段はお鍋でごはんを炊きます。お米と水を入れたら、蓋を開けたまま沸騰するまで強火で加熱し、沸騰したら蓋を閉めて弱火で10分。あとは火を止めて10分ほど蒸らせば完成です。眠る前にお米を浸水させ、朝起きたらすぐ火をつけて炊きはじめます。

炊けたらおひつに入れておくと、子どもたちは支度が終わった順に各自ごはんをよそいます。おかずは特になし。冷蔵庫やキッチンカウンターにあるいろいろで食べています。お歳暮にいただいた佃煮の瓶詰めや、定番人気の納豆、しらす、焼き海苔、糠でつくったふりかけ、だしをとった後の昆布と鰹節を煮たものなどを常備しています。

わたしはといえば、朝から食べ物が入らないのでホットコーヒー。

<水曜日・昼>

うっかりしていたことに、12歳女子は学校がはじまったものの給食がなかった! 家にはなにもない……。普段なら何か買ってくるように言うけれど、外は大雨。

そこで、電話越しに伝えてつくってもらったのが「炊飯器ホットケーキ」です。炊飯器にホットケーキミックスとたまごと水(牛乳もなかった)を入れて混ぜ、炊飯ボタンを押すだけです。火を使わないので安心して任せられます。

焼けるまでそのへんのお煎餅でつないでおいてもらいつつ、「食べる前にちょっと写真撮っといて〜!」と図々しい母です。我が家ではこれを「ぐりとぐらのホットケーキ」と呼んでいます。ふっくらおいしそうにできてる!

<水曜日・夜>

 

夕食の買い物には、だいたい子どもたちと一緒に行きます。食材選びもみんなでして、それぞれ食べたいなと思うものをかごに入れていきます。この日の子どもたちは「いんげんにマヨネーズつけて食べたい」とか、なぜなのか「ごぼうがほしい」と言って買っていました。ただ、もちろんなんでも全部いいってわけではなくて、「旬が来たらもっと安くなるから今度に」とか「先週も食べたからいらない」とか、わたしも言いたいことを言います。

この日のメニューは、4歳男子作のシャケのホイル焼きに、きゅうりと若芽の酢の物。わたしはおからを煮て、スナップエンドウといんげんを塩茹で、ごぼうは太めに切って甘辛く炒め、ピーマンは細切りにしてお醤油で焦がしながら焼きました。あとはミニトマトと朝の残りのお味噌汁、ごはん。改めて書いてみると相当素朴すぎる夕食です。

4歳男子は、台所が大好き。保育園から帰ってくるとほぼ台所にいて、料理したり洗い物をしたりしています。シャケのホイル焼きは、彼のお得意料理のひとつです。

「子どもに料理させるのは面倒ではありませんか」と、本当によく聞かれるので、なんで面倒じゃないのかなあ、って考えてみました。たぶん答えは、「完成図が決まっていないから」です。 たとえば「ハンバーグをつくる」と先に決めてしまうと、きちんと捏ねられなかったり丸められなかったりと予定通りにことが運ばないので、「ああっ!  そうじゃないのに!」って苛々しちゃうんですよね。12歳女子が小さかったころは、いっしょに料理してもうまくいかないことばかりでした。

今はまず、なんにも決めずに料理させています。切っているうちに細かくなってしまったら、チョップドサラダみたいにしてもいいねってアイデアを出したり、縦長に切りたくなったら、炒めて金平もいいねって言ったりしながら、わたしは隣で別の料理をしています。こちらが主導権を握ってもいいことはないので、好きにさせちゃう。だからたぶん苛々しないんだと思います。いや、それでも苛々するときだってありますけどね。そういうもんです。

<木曜日・朝>

デジャヴかなっていうくらい、きのうとおんなじ朝食です。

ただ今日は4歳男子だけ玄米です。12歳女子は玄米より白米が、4歳男子は白米より玄米が好き。一度に4〜5合炊いて冷凍しておきます。わたしはコーヒーです、相変わらず。

<木曜日・昼>

打ち合わせがてらランチへ。 ヴィーガン仕様のグリーンカレーでした。やっぱりカレーは外で食べるに限る!

<木曜日・夜>

 

夜は、きのうのおから煮を片栗粉でまとめて揚げたおからコロッケと、その他お惣菜。前々回の「ごはん日記」を書いていらした八木さんの連載を読み返したら、アジフライの簡単な作り方があったので、ビニール袋に小麦粉とたまごを入れて衣づけする方法でつくってみました。「コロッケには向いていない」とあったんですけど、そーっとやったらじょうずにできました! これはめちゃくちゃ便利!

たくさんつくったおから煮。半分はコロッケにしましたが、もう半分は小麦粉少々と豆乳を混ぜて丸めて揚げ、シナモンパウダーをまぶしてドーナッツに。これは明日のおやつです。おから煮は、ホットケーキミックスと混ぜてマフィンにしたり、豆乳でのばしてスープにしたり、なんにでもアレンジできるのでいつもいっぱいつくります。

<金曜日・夜>

金曜日は無礼講デーです。 意味がちょっと違いますが、子どもたちがこの言葉を気に入り、「金曜日は無礼講だよね!」って言っています。つまり、翌日が休みなので好きにしていい日。

いつもせかせかとごはんを食べているので(と言っても子どもたちの食事は普段でも1時間かかるんですけど!)、この日は「1週間おつかれさまー!」と乾杯して、のんびりだらだら食べたり飲んだりしながら過ごします。チーズを切ったり、人からいただいたお菓子を開けてみたり、テレビをつけたりカードゲームをしたり。本当ならどんな日も無礼講で自由にさせてやりたいけれど。複雑な思いです。

この日のメニューは、茄子と厚揚げの生姜醤油焼き、茹でたブロッコリー、しらす入りたまご焼き、4歳男子作のアボカドトマトサラダ。それに友だちが買ってきてくれたおいしい焼き鳥、お味噌汁、小豆入り玄米。

皮が硬くて食べにくいという声があるので、茄子は皮をむきます。4歳男子がやりたいというので任せていたら! 皮をむくのが楽しすぎたそうで、茄子がものすごく細〜くなっていました。もったいないので皮はとっておき、後日きんぴらにでもしようかな。

次回は、徐々に忙しくなってくる1月3週目。忙しいとごはんも雑になっていきますが、毎日おんなじようになんてできるわけがありません。できるときは丁寧に、できないときはそれなりに。そんな感じで、来週もどうぞよろしくお願いいたします。

吉川愛歩(よしかわあゆみ)
フード/ライター。4歳と12歳の母。出版社で勤務したのち、フリーライターに。雑誌やweb、パンフレットや食品パッケージなどの調理と執筆の仕事をしている。ときおりオウチゴハンヤとして、お弁当のケータリングや出張料理を行う。野菜を中心にした、飾らない普段のごはんが好き。
Instagram @yoshikawaayumi 
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