2020年1月10日

我が家のおせち料理は、好きなものばかり詰め込むお重です【我が家のごはん日記/吉川愛歩さんちの食卓・1】

 忙しいママにとって、日々の家事の中で悩ましいのがごはんのこと。適度に手を抜きたいけれど、家族には栄養のあるものをバランスよく食べてもらいたい。では、食にかかわるお仕事をしているママたちは、家族のごはんをどうしているの? 

今月の「我が家のごはん日記」を担当いただくのはフード&ライターの吉川愛歩さんです。12歳女子と4歳男子のママである吉川さん、新年最初の連載ということで、家庭のおせち料理をご紹介いただきました。

吉川愛歩さんちの食卓 #week1

あけましておめでとうございます。 ハレの日からはじまる1月の「我が家のごはん日記」。担当するのはフード&ライターの吉川愛歩です。食にまつわる執筆をしたり、撮影用の調理やレシピづくりをしたり、出張料理やケータリングの仕事をしながら、12歳女子と4歳男子と暮らしています。

我が家のメニューは、だいたい子どもたちとの相談で決まります。冷蔵庫整理のときなんかはわたしが勝手に決めてしまいますが、守っているのはできるだけ子どもたちの嫌いな食材は使わない、ということ。

じつは今こんなふうに料理の仕事をしているわたしも、子どものころは「食べること」が大嫌いでした。少食という言葉では説明がつかないくらい食べられない子どもで、とにかくお腹がすかない。好き嫌いも激しくて、野菜なんてほとんどが嫌い、お魚も嫌い、パンも嫌い、ケーキも嫌い。

料理を前にしても食べられない罪悪感があるうえに、大人たちには食べなさいと言われるので、ごはんの時間はとてもつらいものでした。それゆえ食事に関するトラウマも多く、大人になってからも苦労しているので、とにかく食べるときはただただ楽しくしたい。おいしいと感じられることは、楽しく生きられること、に繋がると思うのです。 そんな思いのある我が家のごはん、今回はちょっと特別なお正月料理をメインに、今後は雑な普段飯も含めて1か月間レポートします。

<水曜日・朝>

我が家のおせち料理は、好きなものばかり詰め込むお重です【我が家のごはん日記/吉川愛歩さんちの食卓・1】の画像1

子どもたちも大好きな我が家のおせち料理は、形式はさておき、好きなものばかり詰め込むお重です。人気があるのは黒豆、栗きんとん、なます。わたしが好きなようにつくるので、よく知られている味とは違うものもあります。

たとえば黒豆は、お醤油を強めにして甘じょっぱく、やや硬めに炊きます。栗きんとんは、さつまいもを皮ごとじっくり焼いてから裏ごしし、そこに甘栗を混ぜただけで、調味料は一切入れません。それでもお菓子みたいに甘くてやわらか。12歳女子がまだ小さかったころ、この子が食べられるおせちにしたいなと思ってつくったのがはじまりでした。

おせち用の紅白なますはいつも擦り胡麻をたっぷり入れてつくるのですが、なますというのかラペというのか、“千切り野菜をお酢であえた料理”は普段の食卓にもよく並びます。ナッツを入れたりりんご酢でつくったり、柑橘の実や果物を混ぜたり。もしかしたら登場回数ナンバーワンのおかずかも。

<水曜日・おやつ>

我が家のおせち料理は、好きなものばかり詰め込むお重です【我が家のごはん日記/吉川愛歩さんちの食卓・1】の画像2

朝もお雑煮を食べたのに、おやつもお餅です。我が家は「ごはん・パン・お餅」が主食と言えるほどの餅好きで、これは家族に教わった「くるみ餅」。

すり鉢でくるみを荒く擂り、お好みの量の甘味料(我が家では甜菜糖)とお湯を入れてとろみがつくまで練って、4等分に切って茹でたお餅を絡めます。調べてみたらどうやら岩手の郷土料理らしいけど、岩手に所縁のある家族が見当たらないという謎……。

家族の出身に関係ない土地でも、郷土料理に親しむことっていいなと思い、今年は新潟と山形の郷土料理をひとつずつおせちに入れてみました。子どもたちに伝承していったらおもしろいな。

<木曜日・昼>

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九州出身の父が来たので、がめ煮をつくりました。 「がめ煮」というのは九州の呼び名で、つまり筑前煮と同じもの。我が家では牛の薄切り肉を使うので、「筑前煮は鶏肉、がめ煮は牛肉」だと長いこと思っていましたが、どちらも鶏肉でつくるのが正解です。

なぜ牛肉を使うのかについては家族内で諸説めぐり、おそらく我が家には鶏肉を食べてはいけない何がしかの所以があるに違いない! とか言ってた時期もありましたが、単に「ひいおじいちゃんが鶏肉嫌いだった」というだけの理由だったことが判明。 牛肉のがめ煮は鶏肉とは違うコクと旨味があり、すき焼きのようなしっかりとした食べ応えがありますよ。

<金曜日・夜>

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どういうわけかお正月にはカレーをつくります。 でも、我が家ではカレーって実は超めんどくさい。だって4歳児が好きなカレーは激甘、12歳はそれでは甘すぎるのでカレーらしいカレーがいいと言い、玉ねぎをじっくり炒めてスパイスで……っていうカレーが食べたいのはわたしだけ。

以前は分けてつくっていましたが、カレーはもう給食とか外食とかで食べればいいいよね、っていうことになり、うちでカレーをつくるのはお正月と子どもの友だちがたくさん来たときぐらいでしょうか。

今日は母が来たので、ちゃんと3種類つくりました。 野菜や鶏肉を、カルダモンやクローブ、スターアニス、シナモンなど辛味のないスパイスだけで炒め、 トマト缶とココナッツミルクで少し煮てから、3つのお鍋に分けていきます。 4歳児のものはそこに市販の甘口ルーを入れて完成。 12歳のものには、クミンやターメリックなど、辛味が少なくてもスパイス感のある味にととのえ、 大人のものは、そこに生姜やチリペッパーなどをを入れてしっかり辛さを出します。 蓮根の梅酢漬けはおせちの残りです。

<土曜日・朝>

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 今日は朝からヨガへ。 ぼちぼち仕事再開に向けてからだを起こしていきます。ヨガの前は空腹でない方がよく、かと言ってしっかり食べてしまうとからだが重たいので、こういう日はいつも豆乳ホットスムージーを。これは、きのうのカレーでつけあわせにしていた塩茹でブロッコリーとアボカドを攪拌して、豆乳と塩を入れて温めたもの。

我が家のおせち料理は、好きなものばかり詰め込むお重です【我が家のごはん日記/吉川愛歩さんちの食卓・1】の画像6

子どもたちはこんなのでは足りないので、玄米にスムージーをかけて。上の子は黒胡椒をかけ、下の子は胡麻をかけ。食べたら味が足りなかったみたいで、粉チーズを足していましたけど。とろけるチーズをのせて焼いてもおいしかったかも。

……という感じで、最初の1週間がお正月だったとあって、ちょっと豪華なはじまりとなりましたが、普段はとても地味な食事をしておりますゆえ、次回は今回と比較してお楽しみくださると嬉しいです。来週はやっと! 母待望の給食さまがはじまります。

吉川愛歩(よしかわあゆみ)
フード/ライター。4歳と12歳の母。出版社で勤務したのち、フリーライターに。雑誌やweb、パンフレットや食品パッケージなどの調理と執筆の仕事をしている。ときおりオウチゴハンヤとして、お弁当のケータリングや出張料理を行う。野菜を中心にした、飾らない普段のごはんが好き。
Instagram @yoshikawaayumi 
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