食事は当番制、が楽しい。総勢20人超えの親子キャンプ【我が家のごはん日記/潮田彩さんちの食卓・4】
忙しいママにとって、日々の家事の中で悩ましいのがごはんのこと。適度に手を抜きたいけれど、家族には栄養のあるものをバランスよく食べてもらいたい。では、食にかかわるお仕事をしているママたちは、家族のごはんをどうしているの?
東京・小金井市で子ども向けの料理教室「もぐもぐ子ども調理室」を主宰、講師を務める潮田彩さんの連載もいよいよ最終回です。教室の運営で大忙し、プライベートでは6歳、2歳の姉妹のママの潮田さん、今回は三連休でキャンプにおでかけ、というイベントも♪
潮田彩さんちの食卓 #week4
<月曜日・夜>
今日の夕飯は出張教室に向けた試作で、ビビンバを作りました。スープはあおさの中華スープです。 ナムルの味付けのしかた、盛り付けなどチェック。長女はあまりの野菜の多さに大ブーイング。なので、「じゃあ自分で盛り付けしてみたら?」とお願いしてみました。
少なめだけど、きちんと全部の種類の野菜を入れているところが、まじめな長女らしいなと思います。「全部の種類が入っててすごいじゃーん!」と褒め、さらに完食したことを褒めます。少しずつ、少しずつ。我が家は偏食家族(私自身は「元」)ですが、お肉と卵、炭水化物しか食べなかった夫が、野菜なども一通り出されたものをきちんと食べることができるようになったのは、私の密かな自信だったりします。なので子どもたちにも「ひとつずつ、食べられるようになればいいよね。」という気持ちでいます。
同じ商店会のやおやパリタリーさんに、幻のすもも「ケルシー」が入荷したので購入。おまけにシャインマスカットも少しいただいちゃいました。子どもたちはマスカットにまっしぐら。写真も間に合わないくらい。ケルシーは少し固めで追熟が必要みたいでした。スライスしてポリポリ食べて、残り3個をじっくりと追熟して楽しみたいと思います。
<火曜日・おやつ>
今日はスタジオでおやつ会に向けたスイートポテトの試作。おやつ会のメニューは、気軽におうちでまた作ってみようと思えたり、子どもたちが楽しめる動作を入れるように工夫しています。今回は黒ゴマを混ぜたほうが風味があっておいしかったなぁ。
<水曜日・朝>
今日の朝ごはんは納豆ごはん。朝から盛り付けする時間がないときは、どーんと大きく作って子どもたちの分は取り分けて食べます。納豆だけでさみしいときは、卵や青のり・ゴマ・ネギなど薬味をたくさん入れて。
<水曜日・夜>
毎日仕事から帰ると、長女は「今日は何を作ったの?」と聞いてきます。今週の定期クラスはハンバーグだったので、それを伝えると「私も食べたい!!」と。週のはじめに約束したので、本日はハンバーグ。お子様ランチ風に盛り付けをしてテンションを上げて、苦手なきのこをこっそり入れておきました。
<木曜日・昼>
今日のランチはキッチンスタジオ隣のまさ竜さんへ。夜はおいしい串揚げを出しているお店ですが、昼にはとんかつも。私は串揚げのミックスフライにしました。ひとつひとつ丁寧に仕込んでいる串揚げは絶品です。いつも丁寧なお仕事を見るたびに背筋が伸びる思いです。今日も本当においしかった。
<金曜日・夜>
明日から3連休で富士山のふもと・キャンプの聖地と呼ばれている「ふもとっぱら」でキャンプ。もう私の頭の中はキャンプだらけ! 朝5時出発で準備もあるので、今日はささっとラーメン。冷蔵庫にあるお肉やネギも使い切って。ラーメンは子どもたちも大好きなので、あっという間に完食。キャンプの準備もはかどる。はかどる。
<土曜日・昼&夜>
無事、朝の5時に家を出発。今回は6家族でキャンプという大所帯。子どもたちは、10か月の赤ちゃんから小学1年生まで、子どもたちだけで13人!
今回の食事は当番制。それぞれの家族がメニューを決めて買い出しし、みんなで作りました。 午前中にはテントを立ててお昼ごはん。初日のお昼のメニューは富士宮焼きそば。夜ごはんは山梨県の郷土料理ほうとうに、海鮮炭火焼き・焼きおにぎり。富士山を見ながら静岡県と山梨県のご当地料理を楽しみました。
<日曜日・朝>
2日目の朝食は朝カレー! 今日は山登りの予定なので、朝からしっかりと食べます。朝の澄んだ空気の中で食べるカレーってなんだか贅沢に感じるんですよね~。
カレーと山登りに持っていくおむすび用に2升のごはんを炊きました。大人&子ども合わせ20数名にもなったので、以前仕事で使用していた一升土鍋も持参。
久々にこの土鍋が日の目を見てうれしい。おむすびもたくさん作って、リュックにつめて山登りに出発していきました。
<日曜日・昼>
今日は赤ちゃんもいたので留守番組と山登り組とで分かれ、私は次女と一緒にお留守番。近くの牧場や道の駅に行く予定でしたが、富士山もきれいだったのでキャンプ地でのんびりすることに。朝カレーが残っていたので、ちゃちゃっと焼きカレーにしました。少し残ったごはんをガーリックライスにして、カレーとチーズで焼きます。キャンプ飯こそ、毎回残り物アレンジの力量を試されるなぁ~と思うのです。
<日曜日・夜>
2家族と一緒に我が家が夕飯の当番。メニューはローストチキンと蒸し野菜・鶏ももの炭火焼き、チーズフォンデュ。 キャンプでの子どもたちのお料理事情ですが、毎回我が子も含め興味を持った子にやってもらっています。 今回は小1の男の子が丸鶏を仕込んでいるときにとても興味深く見ていたので、「一緒にやる?」と声をかけました。
鶏に塩こしょうをすりこんでもらい、野菜をカット、ダッチオーブンに入れるまでをやってもらいました。ふたをして、焚き火台にかけて約1時間。次にふたを開けたときにはローストチキンに変わっている姿を見て、本当にうれしそうな顔。そして何より、食べておいしい。その男の子は普段料理にはあまり興味を示さないそうなのですが、その出来上がりに「おれが作ったチキン」とうれしそうに何回もおかわりをしていました。
キャンプでいいな~と思う点は、いつもの生活と違うからこそ興味を持つことがあること。うちの長女も毎回キャンプに行って、食べられる食材や料理が増えていきます。なので、食べ物の苦手を普段の生活だけで克服しようとするのではなく、いろいろなアプローチの中で苦手なものが減っていけばいいなと思っています。
<月曜日・朝>
最終日の朝は、4台のホットサンドクッカ―を使ってじゃんじゃんホットサンドを焼きます。パンに具材を挟む人、焼く人、切る人、配る人。ママが集まると本当に手際がいい!
この流れ作業は惚れぼれします。 二泊三日のキャンプ。お天気にも恵まれて、富士山から太陽や月が昇ってくる様子、雲がかかった様子や赤富士まで、様々な富士山を見ることができました。大人子ども合わせて20人を超える大所帯のキャンプでしたが、子どもたちも赤ちゃんから大人まで様々な関わりが持てた、とてもいいキャンプとなりました。
4回に渡る潮田家のおうちごはんはこれでおしまいです。プロである私も、毎日のごはんを悩んだりプレッシャーに感じたりしているんです、とスタートした連載でした。
なるべく自然な感じをと思っていましたが、正直なところ、ごはんのことをずーっと考える1か月間となりました。毎日どうしようかな~と思っていることに、あえて向き合える機会ってなかなかないと思います。記事になると客観的に見られておもしろかったです。
子どもたちの料理への関わり方も、お互いに出来ることから。部分的にでも本人がやりたいと思ったときは、任せてしまう。工程の全部でなければ逆に任せられるのです。子どもには自信になりますし、できることが増えてきます。
我が家の毎日のごはんも、子どもの料理も、こうやって少しずつ成長したらいいんだなと思えた日々となりました。プレッシャーに感じずに「まだ我が家は成長段階なんだ」と思えば気が楽になります。みなさんも毎日の料理を気負わず、楽しんでいきましょう! ありがとうございました。
ウシオダアヤ/アヤキッチン合同会社(東京都小金井市)代表。調理師免許・日本料理専門調理師調理技能士取得。ホテルをはじめとした調理場経験、調理師専門学校での教員及び教務主任を経て、親子・子ども向けの料理教室「もぐもぐ子ども調理室」を立ち上げる。2017年4月にキッチンスタジオをオープン。夫はイラストレーターのウシオダヒロアキ。6歳・2歳の姉妹の母。