『ちんあなごの しんかいツアー』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより 第370回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子の読み聞かせにこんな絵本はいかがですか。
『ちんあなごの しんかいツアー』
大塚健太/作 くさかみなこ/絵
講談社 1815円
11月11日は、「チンアナゴの日」。
東京スカイツリータウン・ソラマチにある水族館「すみだ水族館」が2013年に11月11日を「チンアナゴの日」として申請し、認定された記念日です。
なんと今年は認定11周年で、11のトリプル並び。
このタイミングにぴったりの絵本、『ちんあなごの しんかいツアー』はいかがですか。
水底の砂からにょきにょき、水に揺られてゆらゆら。
ひと目見たら忘れられないそのフォルム、なんともかわいい、ちんあなご。
今日は、斑点模様のちんあなごと縞模様のにしきあなごが、みんなそろって深海ツアーにおでかけです。
乗り込んだのは潜水艇、「チョウチンアンコウごう」。
中には砂が敷き詰められているので、何かあったらいつでももぐれるから安心です。
魚たちが
「きを つけて
いってらっしゃ~い」
と声をかけると、ちんあなごたちも
「いってきま~す」
と、首をふってごあいさつ。
さあ、深い深い海の底へ出発です。
窓の外に見えてきたのは、今までに見たことのない、目玉の大きな不思議な魚たち。
それから、クリオネたちのかわいいダンス。
と思えば、大きなマッコウクジラとダイオウイカが迫力満点に闘っています。
さらに下へと進んでいくと、光るクラゲや魚たちの、一面のイルミネーション。
驚きでいっぱいの深海の景色を楽しんでいたら、なんと、チョウチンアンコウごうにアクシデントが……。
海の生き物好き、乗り物好きにはたまらないお話ですが、ちんあなごたちのマイペースさもよい味わい。
「こわく なったら
いつでも すなの なかに
もぐって ください」
とせんちょうさんに言われた通り、何かあると砂の中にさっともぐるみんなが、なんともキュートです。
ちんあなごを全然知らなくても、一度読んだらちんあなごファンになってしまいそう。
シリーズ第1弾、『ちんあなごの ちんちんでんしゃ』(講談社)も、ぜひあわせてお楽しみください。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、司書、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。