2021年4月27日

『としょかんライオン』【今日の絵本だより 第206回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『としょかんライオン』【今日の絵本だより 第206回】の画像1『としょかんライオン』
ミシェル・ヌードセン/作 ケビン・ホークス/絵 福本友美子/訳 岩崎書店 1760円

4月30日は、図書館記念日。
それにちなんで今回は、『としょかんライオン』をご紹介します。

ある日突然、図書館に一頭のライオンが入ってきました。
ずんずん中へと歩いて行くライオンに、図書館員のマクビーさんは大あわて。
図書館長のメリウェザーさんの部屋へ飛び込んで、叫びます。
「ライオンが いるんです! としょかんに!」
メリウェザー館長は、静かに聞き返しました。
「で、そのライオンは としょかんのきまりを まもらないんですか?」
「いえ、べつに そういうわけでは……」
とマクビーさんが言うと、
「それなら そのままにしておきなさい」。

「おはなしのじかん」の読み聞かせが気に入ったらしいライオンは、図書館のきまり通り静かにできるならば、また明日も来ていいというメリウェザー館長の言葉通り、次の日もやってきました。
ずいぶん早くからやってきたので、しっぽで棚のほこりを払ってお手伝い。
また次の日は、封筒ののりをぺろりとなめるお手伝い。
初めの内はライオンのことが怖かったみんなも、働き者で優しいライオンのことがだんだん好きになりました。
でもある日、そんなライオンがやむなく図書館のきまりを破ってしまうできごとが……。

ユネスコ公共図書館宣言(1994年)では、「公共図書館のサービスは、年齢、人種、性別、宗教、国籍、言語、あるいは社会的身分を問わず、すべての人が平等に利用できるという原則に基づいて提供される」とうたわれています。
ライオンは「人」ではないのですが、メリウェザー館長には、この図書館の原則が指針としてあるのですね、きっと。
ライオンに一体何が起こったか、そして気になるその後は、ぜひ本を開いてお確かめください。
「としょかんに ライオンがいるというのは なかなかいいものです」という言葉に、きっとあなたも共感するでしょう。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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