2021年4月22日

『二平方メートルの世界で』【今日の絵本だより 第205回】

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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『二平方メートルの世界で』【今日の絵本だより 第205回】の画像1『二平方メートルの世界で』
前田海音/文 はたこうしろう/絵 小学館 1650円

kodomoe読者の皆様にはふだん、未就学児、一番上でも小学校低学年向けの作品をご紹介するようにしています。
今回はそれより少しだけ上なのですが、どうしてもおすすめしたく、特別にこちらを。
発売になったばかりの新刊、『二平方メートルの世界で』をご紹介します。

「私の名前は前田海音みおん
 北海道生まれの小学三年生だ。」
「病室のベッドの大きさは、たて約二メートル、はば約一メートル。」
主人公は、札幌に住む実在の女の子。
脳神経の病気の治療のため毎月札幌の大学病院に通い、年に数回入院して治療の経過観察を行い、今後の治療方針を決めるということを、3歳の頃から続けています。
面積にして二平方メートルのベッド。
「そのまわりをぐるりと囲うカーテンの中が入院中のわたしの世界のすべて」。

入院中につらいことのひとつは、「こどく感」。
「でも、まわりの目もあるし、
 もっとつらい検査をしている子どもたちのことも
 知っているから、泣けない。」
他にも多くの子どもたちが、それぞれの病気と闘っていること。
自分の入院で、家族の生活に影響を与えていること。
それを思うと、「どうして」というやるせない気持ちは、言葉に出せずに飲み込んでいます。
そんなある日、ベッドの上で横になっているとき、いつもと頭の向きを逆に変えてみたら、ベッドの足元に渡された細長いテーブルの裏に、驚くものを見つけました。

『二平方メートルの世界で』は、前田海音さんが小学三年生の時に書き、「第11回子どもノンフィクション文学賞」小学生の部大賞を受賞した作文がもとになっています。
美音さんは、現在小学五年生。
「明日のことがだれにもわからないのは、病気があってもなくても同じだと思う。」
「生きていることのすばらしさは気づきにくいということも、わたしは知っている。」
そうつづる美音さんが二平方メートルの世界で偶然見つけた奇跡を、ぜひ絵本を開いて確かめてください。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

 

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