2020年12月15日

『もうふちゃん』【今日の絵本だより 第176回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『もうふちゃん』【今日の絵本だより 第176回】の画像1『もうふちゃん』
くさかみなこ/作 よしむらめぐ/絵 小学館 本体1400円+税

そろそろ、冬も本番。
朝晩の冷え込みに、あったかい毛布が恋しい季節ですね。
そんな今の時季にぴったりの今秋の新刊、ふんわり柔らかなピンク色が目印の、『もうふちゃん』をご紹介します。

チイちゃんのお気に入りのもうふちゃんは、ふわふわであったかくていいにおい。
チイちゃんは、もうふちゃんがいないとねむれません。
もちろん、もうふちゃんもチイちゃんが大好きです。
いいお天気のある日、チイちゃんのお母さんが、もうふちゃんを洗って干してくれました。
ポカポカのひざしに、ぐっすり眠り込んでしまったもうふちゃん。
そこへ突然強い風が吹いて、空高く飛ばされてしまいました。 
気がついたら、そこは深い森の中。
急いでおうちに帰ろうとしますが、ふたごのうさぎやリスの家族、森の動物たちに会うたびに、温かそうなもうふちゃんは気に入られ、ひきとめられてしまって……。

行きて帰りし冒険物語なのですが、最初から最後までお話を包むのは、柔らかい安心感。
どこか懐かしいお話のようで、おやすみ前にお布団で読めば、親子ともども心地よく物語に身をゆだねられると思います。
画家のよしむらめぐさんは、『まめざらちゃん』(あさのますみ/文 白泉社)で第7回MOE創作絵本グランプリを受賞。
もうふちゃんもまめざらちゃんも、人ではなくて物なのですが、それを忘れてしまうくらいにいきいきと魅力的。
とびきり幸せなラストはもちろん、最後の奥付ページやカバー袖まで、どこまでも温かさに満ちている、冬にぴったりの一冊です。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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