『はらっぱ ららら』【今日の絵本だより 第114回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『はらっぱ ららら』
鈴木智子/作 アリス館 本体1300円+税
気がつけば地面にも小さな緑が増えてきて、一日一日、春は近づいてきています。
今回は春のワクワクに満ちた一冊、『はらっぱ ららら』をご紹介します。
黄色いジャンパースカートの女の子が、くまちゃんをだっこしてはらっぱへ。
そこへ、ちょうちょがひらひらとんできて……。
女の子の胸にとまりました。
「ひらひらちょうちょの ブローチみたい
こんな ブローチ ほしかったの」
女の子はうれしくて、
「ひらひらブローチ らんららん
あの はなまで スキップしよう
ららら ららら らんららん」
そして、お花をくるくる編んで頭にのせたら、ほら、ティアラみたい。
たんぽぽの綿毛をふーふーと吹いたら、袖や裾にとまって、まるでフリルみたい。
ほら見て見て、はらっぱを進むうちに、女の子の服が少しずつ、素敵に変わっていきますよ……。
スキップのリズムみたいに心はずむ、歌うような言葉。
おさえた色使いの絵は、どこかクラシックな外国の絵本のよう。
女の子の白いブラウスと黄色いジャンパースカートは、いつしかすっかり素敵なドレスになって。
たくさんの春の花と緑に囲まれて、くまちゃんとくるくる踊る女の子は、まるでお姫様。
おしゃれが好きな子は(ママも!)、きっと何度も見たくなるのではないかしら。
本を閉じた後にも胸に響く、「ららら ららら らんららん」のリズム。
黄色いお洋服を着て、明るいはらっぱに駆け出したくなる絵本です。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。