2020年3月11日

『たくさんのドア』【今日の絵本だより 第113回】

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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『たくさんのドア』【今日の絵本だより 第113回】の画像1『たくさんのドア』
アリスン・マギー/文 ユ・テウン/絵 なかがわちひろ/訳 主婦の友社 本体1300円+税

3月もなかば、卒業シーズンですね。
今年は新型コロナの影響で全国的に卒業式の中止や縮小があいつぎ、せつない思いをしているご家庭も多いと思われます。
そんな中ですが、新しく旅立つ子どもたちにぜひ出会ってほしい絵本、『たくさんのドア』をご紹介します。

最初のページを開けば、舞い散る葉の中を、少し上を向いて歩いて行く子。
「きょうも あしたも あなたは
 たくさんの ドアを あけていく
 そのむこうに
 たくさんの あたらしいことが まっている」
林を抜け、元気に木に登り、犬とたわむれて。
そして表紙と同じ絵の場面の言葉は、こんなふう。
「やわらかな のぞみに つばさを つけて
 あなたは はばたきはじめる
 あなたは まだ しらない
 じぶんが どれほど つよいかを」

その行く先では、時に嵐に見舞われることも。
思わぬできごとが待ち受けていることも。
でも常に寄りそうのは、あなたの力を、未来を固く信じて、背中を押す言葉。
「じぶんのなかの とほうもない ちからを
 あなたは まだ しらない」

『たくさんのドア』は、日本でもベストセラーとなった『ちいさなあなたへ』(主婦の友社)のアリスン・マギーによる作品。
2010年の刊行以来、一時期は品切れとなっていましたが、「卒業時期にぜひ読みたい」という全国の読者からの熱い声に応えて、2018年に新装復刊しました。
翻訳家は『ちいさなあなたへ』と同じく、なかがわちひろさん。
原題“So Many Days”を『たくさんのドア』と訳したなかがわさんの、ひとつひとつ丁寧に選ばれた日本語が、心に深くしみわたっていきます。
特に一番最後の言葉は、こんな時節だからこそ、胸にこみあげてくるものがあり、感極まってしまうのです。

今、新しいドアの前に立つ、未来へ向かって歩き出す子と、その姿を見守る大人たちへ。
ひとりでも多くの方に、届いてほしい一冊です。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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