2020年1月17日

『ぬかどこすけ!』【今日の絵本だより 第101回】

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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『ぬかどこすけ!』【今日の絵本だより 第101回】の画像1『ぬかどこすけ!』
かとうまふみ/作 あかね書房 本体1300円+税

1月20日は、大寒。
二十四節気の中で最も寒いとされる時季です。
そして大寒は、「ぬか床の日」。
大寒の頃にぬか床をつくるとよいぬか床ができると言われることから、「全国ぬかづけのもと工業会」が2015年に制定しました。
そんな「ぬか床の日」にぴったりの一冊は……、こちらです、『ぬかどこすけ!』。

せともの屋さんで長いこと売れ残っていた、ふたつきのかめ。
あるばあちゃんに奇跡的に買われて、
「さあ、はじめての しごとだ!」
と張り切りますが、入れてもらったのは何やら、くちゃくちゃしたものとやさいクズ。
「ええっ。なんだよ、これ!?」
とがっかりしていたら、くちゃくちゃはぐちゃぐちゃになって、いつしかにおいもするようになって……。
そう、中身はぬか床だったのです。
「ぬかどこねえさんって、よんでね」
と微笑むぬかどこねえさんは、かめに「ぬかどこすけ」という名前をつけてくれました。

ぬかどこすけの中に最初は入るのを嫌がる野菜たちも、ぬかどこねえさんの懐で寝ている内に
「はああ~~」
「いやされるぅ~~」
「きもちいい~~」
と、いいあんばいのぬかづけになって、いい笑顔。
いつも笑顔のねえさんにぬかどこすけも心を許し、仲良く話すようになります。
そんなある夏の日、ねえさんの苦しそうな声が……。

単なるぬかづけのお話ではありません。
ぬかどこすけが自分の中に入れて守っていたのは、小さくて大きな宇宙。
ぬかどこねえさんの笑顔は優しくて、神々しくて。
「すごいものを読んでしまった……」となかば呆然として、閉じた裏表紙の絵に、「なるほど!」とまた感服です。
これを読んだ人はきっと、今日からぬかづけをはじめたくなるはず!
滋味あふれる余韻にひたりながら、「うちでもぬか床を復活させなければ」と、私も気が急いています。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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