2019年10月31日

『おすしのずかん』【今日の絵本だより 第84回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『おすしのずかん』【今日の絵本だより 第84回】の画像1 『おすしのずかん』
大森裕子/作 藤原昌高(ぼうずコンニャク)/監修 白泉社 本体880円+税

ご存知でしたか?
ハロウィンの翌日、11月1日は、すしの日。
kodomoe読者の皆さんにはおなじみかもしれませんが、やはりこの日にふさわしいのは、こちらの絵本。
『おすしのずかん』です。

「へい、いらっしゃい!
 ぺんぎんずしへ ようこそ。」
店員のぺんぎんたちのあいさつに、のれんをくぐり、ではなくてページを開けば、最初に並んでいるのは「あかいおすし」。
まぐろあかみ、まぐろおおとろ、かじきにかつお……。
あれもこれも、思わず手が伸びるくらいおいしそう。
「しょうしょう おまちください。」
と言われてページをめくると、わあ!
まぐろ、かじき、かつお、「あかいおすし」になる前の魚たちが、海の中を泳いでいます。
そう、『おすしのずかん』は、「おすしの元の魚のずかん」でもあるのです。
「しろいおすし」のかんぱちやひらまさ、「ひかるおすし」のこはだやさより、大人でもその姿を思い浮かべるのが難しい魚たちが、めくるたびに、ページの中をたくさん泳いでいます。

「図鑑って、どこが面白いかわからない……」というママは、きっと「お話でないから、どう読んであげればいいのかわからない」という悩みがセットだと思います。
『おすしのずかん』は「ぺんぎんずし」の店員たちの語りでストーリーが進むので、そんなママの外野感も払拭してくれる一冊。
大森裕子さんの精緻な、でも手描きの温かみにあふれた絵は、通常の写真の図鑑にはない、絵本感覚の親しみやすさ。
魚たちを捕まえようと奮闘する店員のみんなも、あちこちでクスッとさせてくれる、いい味出してます。

ハンディサイズで、持ち運びにも便利なこの本を読むのにぴったりなのは、なんといってもおすしやさんの順番待ちの間ではないでしょうか。
「どれがいいかなあ」「このおすしは、今日あるかなあ」「こんなお魚からできているんだね」と、いろんなおしゃべりが楽しめそう。
そしていつもよりもたくさん、おすしを食べてしまいそうですよ!

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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