仕事に集中できる!?妄想給水タンク【ぼくとフジオ・17】
『ねたあとゆうえんち』や『よなかかいじゅうイビキラス』(ともに白泉社)などでおなじみの絵本作家でイラストレーターの大串ゆうじさんが、子育ての中で日々湧いてくる「妄想」を描きます!
こんにちは。今回は息子・フジオ(4歳)との散歩がきっかけで頭に浮かんできた妄想を発表したいと思います。
コロナの影響で、この1年は電車で遠くに遊びに出かけることは減り、近所の公園や家の周りを散歩することがどうしても多くなりました。フジオと一緒だと、ダンゴムシを探して土を掘る、興味ある枝や葉っぱがあれば拾って遊ぶ。恐竜ごっこに深海魚ごっこ。寄り道したり、怒ったり、スネたり、笑ったり、急に全速力で走ったり……と、大人なら15分くらいの道のりでも1時間、2時間とかかります。大変ですが楽しくて充実した散歩になります。
僕は散歩しながら何気ない風景や建物、看板なんかを見るのが好きなので、なるべく歩いたことがない未開拓ゾーンへと進んで行きたくなります。今は東京の郊外に住んでいるのですが、近所にはマンションや団地などの建物がいっぱいあります。子どもの頃団地に住んでいたこともあり、団地のある風景もけっこう好きで、夕暮れの時の団地とか、なんか胸がぞわ~ん、きゅーん、とノスタルジックな気分になります。うまく言えないのですが……、なんか好きなのです。
そんな団地やマンション上にある、水を貯水してるタンク?のようなものに最近なぜかとても興味をそそられます。フジオと散歩していてもつい無意識にタンクを見ていることがよくあります。
これです。
形は球形や四角タイプなど色々あります。色は地味で、こぢんまりと屋根の上にチョコンとあるのですが、秘密基地のような存在感が気になります。
ちょっと調べたところ、建物の屋上にあるものは高置水槽といい、建物の脇にあるのは受水槽といい、ふたつまとめて「給水タンク」と呼ばれているみたいです。初めて知ったのですが水道管の水圧だけで普通に蛇口から水を出せるのはせいぜい2階くらいまでが限界らしく、高い建物の屋上に大きなタンクを設置し、その位置エネルギーと水圧により各階に水を送っているということらしいです(近年は技術開発が進み、貯水槽を経由せず水道から直接給水している建物も増えてきているようです)。
……ということで「給水タンク」の妄想を考えてみました。
第17回 どこかに存在する!? 建物の屋上にある妄想給水タンク
その1 秘密の仕事部屋
ネットカフェなどの小さくてギュッとした空間、妙な安心感があって、けっこう好きです。「給水タンクの中が秘密の仕事部屋になっていたら集中して仕事できそうだな~。お菓子とかいっぱい常備したりして……楽しそう」と給水タンクを眺めながらよく妄想している、秘密の仕事部屋です。
その2 フジオが嬉しいマンション
屋上の給水タンクの横に巨大カルピスがセットされているマンション。カルピスと給水タンクはパイプで繋がっていて、蛇口からいつでもカルピスが出てくる。濃度は各家庭で調節可能。最近フジオはカルピスが好きなので考案しました。
その3 僕が嬉しいマンション
巨大芋焼酎を横にセットしてみました。最近芋焼酎が好きなので考案しました。飲みすぎないように焼酎はチビチビ出る仕組みになっています。
以上、散歩中に建物の屋上にある給水タンクを眺めながら色々考えた妄想でした。歩いていると妄想もよく湧いてくるので好きです。また散歩中に妄想アイディアが浮かんだら発表したいと思います。
ありがとうございました。
大串ゆうじ
おおくしゆうじ/1976年茨城県出身。多摩美術大学絵画科油画専攻卒業。個展などで作品を発表しながら、雑誌、テレビ、広告などのイラストレーションで活躍。著作絵本に『よなかかいじゅうイビキラス』、『ねたあとゆうえんち』(白泉社)『しょうてんがいくん』(偕成社)がある。
www.senggeng.com/kushi/