2021年3月11日

言葉遊びから生まれた、妄想生き物図鑑【ぼくとフジオ・16】

『ねたあとゆうえんち』や『よなかかいじゅうイビキラス』(ともに白泉社)などでおなじみの絵本作家でイラストレーターの大串ゆうじさんが、子育ての中で日々湧いてくる「妄想」を描きます!

こんにちは。今回は「言葉遊び」をテーマにしてみたいと思います。

最近の息子・フジオ(4歳)を観察していると、興奮してめっちゃ高い声で叫んだり、意味不明な言葉を楽しそうに言ったりすることがよくあります。お店とかで叫ばれると、こっちは周りのことが気になって「シーー! 静かにして〜!」と言ってしまうのですが、言いながら「あ〜僕も子どもの頃こんな感じで注意されてたな〜」と、いつの間にか立場が逆転してることを不思議に思ってしまいます。

限界ギリギリの高い声や大きな声で叫んだり意味不明な擬音を言いたい気持ちって自分もそうだったので凄くわかります。行為そのものが楽しいし、こんな声も出るんだ?という、自分で自分自身の実験をしてるような。そんな感覚だったと思います。

それ以外にも、公園とかでめっちゃグルグル回って、「うわ〜目がまわる〜世界がまわる〜」みたいにグワングワンになりながらゲラゲラ笑ったりもしました。あれも自分実験のひとつだったと思います。僕は三半規管が弱くて、その遊びをすると大抵気分が悪くなるとわかったので、いつのまにかその実験は終了しました。

言葉遊びのひとつで、同じ言葉をずっと繰り返して発する、というものがあります。例えば蟻だったら、「アリ、アリ、アリ、アリアリ……」と言ってると、いつの間にか「リア、リア、リア、リアリア……」となってしまい、「リアってなんだ〜!?」と、変な感覚になって面白いというあれです。

今回はこの言葉遊びから誕生した、いくつかの生き物を紹介したいと思います。

「言葉遊びから生まれた、妄想生き物図鑑」

菓子シカ

「鹿、鹿、シカ、シカ、シカ、シカ……カシ、カシ、カシ、菓子、菓子…」という言葉遊びから生まれた生き物。せんべいにすると仲間から食べられてしまうかもしれないので、飴玉にしました。

メカ亀

「亀、亀、カメ、カメ、カメ、カメ……メカ、メカ、メカ、メカ…」という言葉遊びから生まれた生き物。100年動くスーパー電池が内蔵されている。

家エイ

「家、家、いえ、いえ、いえ……エイ、エイ、エイ、エイ…」という言葉遊びから生まれた生き物。ステイホームしながら海の中を見学できる。

すりリス

「リス、リス、リス、リス……すり、すり、すり、すり…」という言葉遊びから生まれた生き物。子どもが集めたドングリをこっそり取ってしまう悪いリス。

田んぼボタン

ずっと二文字だったので、三文字は無いのかな〜と思い考えました。
ちょっと強引ですが「ボタン、ボタン、ボタン、ボタン……タンボ、タンボ、田んぼ、田んぼ…」という言葉遊びから生まれました。生き物ではなくなってきてますが。

以上、この1週間くらいでお皿洗いをしたり洗濯ものを干しながら小声でつぶやきつつ考えだした生き物です。こういうのを考えてる時は楽しくてとても好きです(四文字は難しくて思いつかなかったのです)。

また次回は違うテーマで妄想してみたいと思います。ありがとうございました。

大串ゆうじ
おおくしゆうじ/1976年茨城県出身。多摩美術大学絵画科油画専攻卒業。個展などで作品を発表しながら、雑誌、テレビ、広告などのイラストレーションで活躍。著作絵本に『よなかかいじゅうイビキラス』『ねたあとゆうえんち』(白泉社)『しょうてんがいくん』(偕成社)がある。
www.senggeng.com/kushi/

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