困った!腕・脚、お腹、口の痛み【症状から見る子どもの救急ガイド・4】
秋は、遠足や運動会など屋外・屋内を問わず活動も多くなる時期。「腕、脚が痛い」「お腹が痛い」「口の中が痛い」などのトラブルが起こりがちです。
子どもが異変を訴えたらチェックしたい項目や、応急処置の方法などをお届けします。
腕や脚が痛い
目立った外傷はないけれど痛みを訴えるときは、ねんざや脱臼、骨折を起こしていることも。
腫れの有無や関節、骨の状態を観察して。
ここをcheck!
□どこをどうケガした?
ぶつかったり転んだりした、傷や出血などはないけれど痛む
□動かせる?
痛みが強く動かせない、関節に力が入らない
□腫れたり熱を持っている?
痛む部位が皮下出血を起こして、腫れあがり、皮ふが変色している
□左右の腕/脚の長さが違う?
腕や脚がだらりと下がって動かせない、骨の位置がおかしい
すぐにやるべき手当て
ねんざ・脱臼
患部を冷やす
腫れや内出血を抑えるために、痛みがやわらぐまで保冷剤や冷たい濡れタオルなどで冷やします。痛む部位だけでなくその周辺まで冷やしましょう。
ねんざ・骨折
患部を固定する
患部が動くと痛みが強まるので、包帯で巻いて固定します。骨折の場合は、添え木や代用できる硬いものを使って応急処置をしてから、病院へ。
こんなときはすぐ病院へ
●青紫になり腫れあがっている
●骨が飛び出している
●意識、呼吸がおかしい
お腹が痛い
下痢でなければ、便秘の可能性大。
ただし、言葉が未発達な乳幼児の場合、お腹以外が痛んでいることも。
全身をていねいにチェック。
ここをcheck!
□お腹のどこが痛い?
お腹の右下あたりを痛がる、お腹以外の場所も痛がる
□うんちの状態は?
下痢をしている、便の色や臭いがおかしい、便が出ていない
□痛がる前にぶつけたりした?
叩かれたり、ぶつけたりなどの外的原因がある、冷たいものを食べた
すぐにやるべき手当て
ラクな姿勢で寝かせる
あお向けで痛がるなら、横向けで軽く体を折り曲げて寝かせるなど、少しでもラクな姿勢を見つけてあげましょう。
下痢のとき
水分をこまめに摂る
便の状態を観察し、病院に行く前に写真に撮っておくと◎。吐き気がなければ、様子を見ながら水分を少しずつ与えます。
便秘のとき
お腹をのの字にマッサージ
うんちが出やすくなるよう、下腹部をのの字を書くようにやさしくマッサージ。
水分を摂らせて胃腸を刺激してもOK。
こんなときはすぐ病院へ
●激しい痛みで意識がもうろうとしている
●呼吸が荒い、顔が青ざめている
●おう吐をくり返す
●明らかな、ねばねばの血便
口の中が痛い
ぶつけたり転んだりして歯が折れた場合、急いで歯科医へ。
歯のトラブル以外では感染症で口内炎を起こしている可能性も大。
ここをcheck!
□歯が折れたり抜けていない?
歯の一部が欠けている、歯がぐらついている、抜けたあとが出血している
□口の中が傷ついたり、口内炎はない?
口の中をかんだり、歯がぶつかったりして出血がある、ぶつぶつの発しんができている
すぐにやるべき手当て
歯が折れていたら
歯を保存する
事故などで折れたり抜けたりした歯は、再植手術が可能な場合も。密封容器に牛乳を入れ、歯が全部つかるようにして保存し、歯科へ。
血が出ていたら
止血する
軽くうがいをさせてたまった血を洗い流してから、清潔なガーゼや脱脂綿を当てたりかませたりして、しばらく置いて止血します。
口内炎
感染症を疑う
手足口病やプール熱などのウイルスによる感染症で口内に発しんができている場合も。速やかに受診しましょう。
こんなときはすぐ病院へ
●口の中からの出血がひどい
●歯が折れた、欠けた、抜けた
伊藤隆一先生
いとうりゅういち/的場医院院長。日本小児科医会常任理事。小児救急医療の専門家として、家庭でできる救急処置を啓蒙している。
次回は、やけど、鼻血、虫さされの応急処置【症状から見る子どもの救急ガイド・5】です。
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イラスト/ホリナルミ 取材・文/田所佐月