小学校の教材になった、ひろたあきらさんの「お絵かき生きもの図鑑」。担任の先生にインタビュー!
――「お絵かき生きもの図鑑」の「ピカピカムシ」を算数にも取り入れたと聞きました。どんなふうに展開させていったのですか?
曽根:算数で箱の形を扱う単元があり、子どもたちに、「自分の『ピカピカムシ』を箱で作るとしたら、どんな箱がいいかな?」 と問いかけました。ムシの頭・胸・腹で3つの箱を使った子もいれば、1つの箱に手足をつけた子もいます。このムシなら長細いのが必要だなと、自分で考えて持ってきた子もいます。まず箱の形を意識して、特徴によって分類をしてみるなどして学んでいきました。また、昆虫の体の仕組みを知ることは、3年生の理科で扱うような学びにもつながります。日常的な子どもの活動に合わせて総合的な学習につなげていく流れですね。ひとつの題材がほかの教科にもつながることを知ることで、より深く学ぶことができると考えています。
――普段から、こういった教材をよく取り入れているのですか?
曽根:竹早小学校では、自己実現活動という「総合的な学習」に近いものを独自で進めています。子どもたちが「やりたい」というものを元に、教師が教科をどうつなげていけるかを考えています。子どもたちが「ピカピカムシ」を作ってみたいと思ったら、図工と関連させながら、算数の時間にも入れ込んだように、ときにはそれが国語や体育になったりすることもあります。
――教科中心ではなく、やりたいことから発展させる形なのですね。幼稚園では絵本などのお話から遊びに発展することがよくありますが、小学校でこういう活動をしているのは珍しいですね。
曽根:竹早は幼小一貫教育を行っているので、幼稚園から小学校へのステップをなくしていこうという動きがあります。小学校は教科があるので幼稚園の文化そのままを残すことは難しいですが、幼稚園的な活動を小学校でも取り入れながら研究を進めています。
だから竹早小学校は時間割が流動的なところがあり、我々は毎週その週の予定を出しています。子どもたちとも翌週の活動について「ここまでやったから、来週はこれをしないといけないね」と話し合いながら決めていくこともあります。
――子どもたちの自主性も伸びそうですね。先生は絵本もよく教材として使われていると聞きました。
曽根:絵本雑誌の『MOE』や『kodomoe』にはお世話になってます。教材には、子どもが理解しやすくて、私自身も楽しめる絵本を選んでいますね。ひろたあきらさんの『むれ』も子どもたちと一緒に読みましたし、ヨシタケシンスケさんや佐々木マキさんの絵本も教材にさせていただいたことがあります。怖い本をテキストにしたことも……。どんな教材でも、大人という立場で自分がまず楽しむ、ということはすごく大事かなと思っています。
>次回は、絵本をテキストにした国語教育について、曽根先生に伺います!
※こちらのインタビューは、「ピカピカムシ」の結果発表前に行っています。
※撮影/花田梢 取材・文/日下淳子