
板垣李光人さん「小さい頃は元気すぎて、寝るまでが大変でした(笑)」“自分らしさ”をテーマにした物語で絵本作家デビュー!
俳優の板垣李光人さんが、自身が手がけた絵本『ボクのいろ』(Gakken)の発売を記念して、読み聞かせイベントを開催! インタビューでは、絵本の制作エピソードや作品にちなんだ質問に答えてくれた板垣さん。たくさんのメディアが出席した、イベント前の囲み取材の様子もレポートします!
イベント直後の板垣さんにインタビュー!
毎日の楽しみはお風呂♪
――ご自身の描いた絵本をお客さんの前で読み聞かせをしてみて、いかがでしたか?
大勢の前で読み聞かせをする機会はたぶん最初で最後だと思いますが、すごく新鮮でしたし、うれしかったですね。お客さんの中にはお子さん連れで来てくださった方もいて、「急に知らない人に本を読まれても困っちゃうよねぇ?」という感じではありましたが(笑)、その子たちにとっていい経験になっていたらいいなと思いますし、自分にとっても貴重な経験でした。
――読み聞かせといえば、板垣さんは小さいころ、読み聞かせしてもらわないと眠れない子だったという過去のインタビューを拝見しました。
元気だったんだと思います(笑)。夜泣きも結構してたらしいですし。『くまのプーさん』をよく読んでもらってましたけど、『ミッケ!』(小学館)とかも好きで、いろいろ探して頭を疲れさせて寝る……みたいなこともしてましたね。

――『ボクのいろ』は、主人公のヌルがとてもかわいらしくて印象的です。どんなふうに誕生したのでしょうか?
僕が昨年開いた個展で花をモチーフにした作品を描いていたので、絵本制作の打ち合わせで花をテーマにすることをご提案いただいたんです。そこから花の精を登場させることになって、ヌルというキャラクターもわりとスムーズに、その場で出てきました。いろんな形や色を持つものたちの中で、“自分だけのもの”を探すというストーリーがざっくり思い浮かんだときに、主人公はそれがまったくない、何ものでもないものがいいなって。白くてふわふわした抽象的な、生き物といっていいのかわからない“物体”くらいの……最初に頭の中に浮かんだイメージを、特に変更することなくそのまま使いました。

白くてふわふわの主人公・ヌルが自分らしさを見つける物語
――そんなヌルはお花に水をあげるのが大好きで日課にしていますが、板垣さんが毎日楽しみにしていることは?
え〜、なんだろうな……? お風呂! バスソルトが好きなので何種類か常備しているんですけど、その日の気分で選んで長湯をするのが好きです。最近寒くなってきたので、特に気持ちいいですね。お風呂の中では台本とかは見ないし、仕事のことは考えないです。家の中で、いったん仕事と完全に切り離される空間にするようにしています。
――ヌルのように、板垣さんが今疑問に思っていることもぜひ教えてほしいです。
日本って、西と東で味付けの文化が結構違ったりするじゃないですか。「これは西か東か、どちらでしょう?」みたいなクイズ動画を見つけて、1時間くらいあったんですけど、ずーっと見ちゃいました(笑)。でも解説が微妙にぼかされてて、判定が若干あやしいなって思ったものもあって、そこはまだ疑問が残ってます。みたらし団子の串に刺さってる団子の数が、どっちかが4つで、どっちかが5つ……とか。「それ、作る人によるんじゃない? 3つのも食べたことあるぞ?」って(笑)。
「変な汗が…」と緊張しつつ
記者たちに読み聞かせ!
イベント当日は、絵本の世界をイメージしたという爽やかな衣装で登場した板垣さん。囲み取材の冒頭では、「まさか自分の肩書きに“ 絵本作家 ”が加わる日が来るとは思っていなかったので、すごくうれしいです。自分の描いた作品がいろんな方のお手元に届くんだなって思うと、よろこびでいっぱいですね」と感慨深げにあいさつ。
『ボクのいろ』は、真っ白なからだをもつ不思議な生き物・ヌルが、さまざまな出会いを経験して自分の色を探していくストーリー。大勢の報道陣に囲まれながらの読み聞かせには、「恥ずかしいですね…(笑)」と照れ笑いをしていましたが、優しくもしっかりと芯のある声で、会場を温かく包みこんでくれました。

板垣さん自身のいちばんのお気に入りは、赤い妖精が登場するシーンなんだそう。「紙の絵本はページを1枚1枚めくるときの高揚感やワクワクが醍醐味だと思うので、ここは “ 本当に花が開いたんだ ”って感じさせるような華々しいページにしたかった」と話していました。


板垣さんお気に入りのワンシーン
絵本の内容に関連して自分の色を尋ねられると「黒だと思う」と答えた板垣さん。「役者って、いろんな役に染まれるという意味で白のイメージがあるかもしれないですが、黒は光の当たり方とか生地とか、条件や状況によって全然違うので。いろんな見せ方で違う表情を見せていくけど、あくまでも黒っていう部分は変わらない。僕は自分の色自体を変えるというよりも、そのタイプかな」と語っていました。ちなみに、好きな色は3カ月くらいで変わるそうで、「今季はグレーが好き」とニッコリ。

そして板垣さんからは、絵本を手にする人へこんなメッセージも。
「小学校、中学校、高校、大学、そして社会に出て仕事をするうえで、ひとりでいるよりも集団にいることで安心感を得られることもあると思います。ただ、そこから自分が少しでもはみ出てるなって感じた瞬間、劣等感を抱いてしまうことも。でも、ヌルのように夢中になれることから得た経験は何にも代えがたいものになり、それを持っていることが自分を愛することにもつながります。いろんな経験をしてきた大人は共感していただけるんじゃないかなと思いますし、小さい子どもはこれからそういう瞬間がやってきたときのために、この本を“ 転ばぬ先の杖 ”として持っていていただけたらうれしいです」
板垣李光人
いたがきりひと/俳優、アーティスト。2002年生まれ。2012年に俳優デビューし、映画『八犬伝』『はたらく細胞』『陰陽師0』で第48回日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞。2025年は、ドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』でゴールデン帯連続ドラマ初主演、現在はNHK連続テレビ小説『ばけばけ』に出演中。12月には主人公の声を演じた映画『ペリリュー −楽園のゲルニカ−』の公開が控えている。
INFORMATION

『ボクのいろ』(Gakken)
作・絵:板垣李光人
定価:1650円(税込)
ISBN:978-4-05-206253-7
インタビュー/二ッ屋絢子 撮影/徳永 徹



































