
炊飯器の代わりに鍋。電子レンジの代わりにせいろ。ローテクな食卓のスキルを身に付けておくことが、国際交流のきっかけに【日登美のタベコト in Berlin・104】
ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。
お米の国際交流
夏のご飯作りって大変ですよね。我が家ではとにかく友達がきたり、メニューに困ったら海苔巻きを作ります。
ドイツではご飯を炊くというのがめちゃくちゃハードルが高く感じられるようで、誰もが米を炊いた! というだけでご馳走と捉えてくれるのです(笑)。なのでドイツ人のお客さんが来たらとりあえず米を炊く。そうするとみんな大喜び。それをさらに巻いて寿司にしちゃったら感動される。おむすびを結んだだけでなんて器用な! と驚かれる。……という何とも素晴らしい環境です。

海苔巻きを作れるようになるのは、ひらがなや漢字を書けるようにするのと同じくらい大事なお勉強と我が家ではとらえています(笑)。

ドイツのお友達が泊まりにきた時のランチ。とりあえず海苔巻きを作っておけば鼻が高い。
でも考えてみると、お米をお鍋で炊くって日本人でも慣れてないとハードル高いですよね。
日本の炊飯器は高価ではありますが、すごく機能がいいし便利でもあるので、今はお鍋でご飯を炊く方も少ないかもしれませんね。でも海外に出て思うのは、何でもローテクでできるスキルは持っておいた方がいいということ。そうすれば何もないところでも、とりあえず何とかできちゃいますから。
我が家には電子レンジもないので「せいろ生活」なんですが、それも慣れてしまえばこっちのもので、しかも、そういう伝統的な食卓のあれこれは、海外の人からは羨望の眼差し、尊敬の眼差しで眺められるのです。
それをきっかけに友達になれたり、出会いが生まれたり、日本の文化を尊重してれたりもして。国際交流が始まることも多々あります。

海苔巻きも野菜だけでいいからラク。むしろベルリンはベジタリアンの子どもが多いから野菜巻きが人気です。
そう考えると、ローテクな母国の伝統的食卓を家庭で紡いでいることって、これからの国際社会で楽しく生きていくのに必要な技術のひとつかもしれません。

寿司と関係ないけど、最近、凍らせたバナナとアサイーで、スムージーのような即席アイスを作るのにハマってます。砂糖不使用でもすごく美味しい!

日登美/ひとみ
3男3女6児の母。10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍、レシピ本など多数出版。現在はモデルとして活躍する傍ら、オーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに、食、暮らしと子育てのワークショップ、オンライン講座などを行う。
台所から子育て、暮らしを豊かに。「Mitte(ミッテ)」
instagram / @hitomihigashi_b
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